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仙龍創乱3  作者: 劉・小狼
第1章
16/136

 16

 劉・小狼が関遼らと共に孔游の居城・沙隆に入ろうとすると

瞳に泪をいっぱい溜めた水蓮が劉・小狼の前に立ち塞がった。

 劉・小狼は自分の前で泪を溜める水蓮に戸惑いながらも


 「た、ただいま……」


 と自然に水蓮に優しい微笑みを向け、水蓮にそう言うと

水蓮は溢れ出しそうになる泪を必死で堪えながら


 「バカっ!」


 というと劉・小狼の頬を思い切って、引っ叩くと

沙隆の中に走り去った。

 劉・小狼の周りにいた者らは一瞬にして、凍りついた。

 劉・小狼自身も一瞬、何が起こったのかわからなかったが

水蓮が引っ叩いた頬が異様に痛がった。

 劉・小狼らが蒐賽の兵と撃退した事を労い、

孔游は沙隆の居城内で盛大に宴を開いた。

 だが、その宴に劉・小狼の頬を引っ叩いた

水蓮の姿はなかった。

 宴にいなかったことに気になった月影は水蓮の部屋に

様子を見に行くと水蓮は自分の寝床でうつ伏せで泣いていた。


 「どうしたのじゃ?……」


 月影が優しく、泣き崩れている水蓮に話しかけると

水蓮は寝床から起き上がり、泪を拭いながら


 「な、何でもないわ……」


 と誤魔化そうとした。

 だが、水蓮の心内を見透かしたかのように月影は


 「彼(劉・小狼)を好きになったのじゃな?……」


 と優しく、水蓮に言うと水蓮もそれに答えるかのように

小さく頷いた。

 宴の翌日、孔游のもとにやって来た劉・小狼は

再び、自分らの勝手な行動の事を孔游に深く詫びると


 「……ですが、このまま、あの者(蒐賽)らが

引き下がるとは思えないのですが……

 彼らが息を吹き返す前に彼(蒐賽)の拠点を

押さえるべきでは?……」


 と言うと


 「うん…… それなら……」


 と孔游が劉・小狼にそう言おうとすると


 「ただいま。戻りました!」


 と言い、孔游と劉・小狼の前に鎧甲冑を着た

透徹が現れた。

 孔游は透徹を見ながら


 「首尾は?……」


 と透徹に尋ねると透徹は晴れやかな顔をし、


 「首尾は上々! 蒐賽が戻ってくる前に

彼の居城・我箕がみは私らの兵が抑えました。

 蒐賽は私らの旗を見ると逃げるように

敗走していきました」


 と孔游にそう報告した。

 劉・小狼が孔游に進言する前にすでに孔游は

配下の透徹を使い、先手を打っていたのだった。

 拠点を奪われた蒐賽は助けを求め、

老霍のもとへと向かったが老霍も牙狛侯の叱りを受け、

謹慎の身でまるで身動きが出来なかった。

 その牙狛侯も老霍らが勝手な行動を取ったせいで

舜炎がいる水霞堯に呼び出され、他の3侯らに

激しく責められていた。

 元々、気象の荒い牙狛侯は自分が他の3侯に

責められたことに苛立ち、怒りを募らせていた。


 『このままでしておくか!……』


 牙狛侯は謹慎中の老霍を密かに自分の屋敷に呼び、

今回のことを聞いた。

 その席に蒐賽も一緒にいた。


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