第6章 4
孫嘉は張爛と邦戯との一騎討ちを反対していたが
張爛は
「おもしろい! 受けてやる!」
邦戯との一騎打ちを受けた。
一騎討ちが始まると両者の力はまるで互角だった。
あまりの手ごわさに一旦、休憩を取った邦戯は
『中々、アイツ【張爛】、やるな!……
我が、部下にほしいわい!』
と思っていた。
息を切らしながら、休憩に戻ってきた張爛は
「中々、やりおるわい! 久しぶりの豪傑に
出遭ったわ……」
邦戯との戦いを喜んでいた。
だが、龐義は中々、張爛と邦戯の決着がつかない事に
少し不安を抱いていた。
邦戯と張爛との決着が中々、つかないことに
不安を感じた龐義は劉・小狼のもとに舞い戻り、
邦戯と張爛との決闘のことを劉・小狼に報告した。
劉・小狼は張爛の決闘の事を聞くと
「アイツ【張爛】は何をやっているんだ!
ちょっと行って、事を治めてくるから
その間、郭瑜、ここを任せて良いか?……」
と郭瑜に言うと
「わかりました! 敵【龐悦】が気付く前に
戻ってきてください……」
郭瑜はそう言うと劉・小狼を張爛が戦っている
場所へと送り出した。
劉・小狼の陣の慌しさは立て籠もっている龐悦も
気付いていた。
その事は郭瑜もわかっていた。
「手を打つか! 雷神丸はいるか?……」
郭瑜は雷神丸を呼びつけ、龐悦が立て籠もる出城を
攻めるように命じた。
邦戯も張爛も体力の限界だった。
休憩に戻った張爛は
『次が最後かな?……』
と思いながら、休憩明けに一か八か、
邦戯に向かって、突撃を仕掛けた。
それは邦戯も一緒だった。
張爛と邦戯の懇親の突撃がぶつかろうとしたその時……
突然、張爛と邦戯の前に一本の剣が振ってきて、
地面に突き刺さった。
「双方ともそこまでだ!」
という声が聴こえてきた。
立ち止まり、張爛と邦戯が声が聴こえてきた方を向くと
そこには龐義が連れて来た劉・小狼の姿があった。
「あ、兄者……」
張爛は驚いた顔で突然、現れた劉・小狼を見た。
圧倒的な劉・小狼の威圧感と存在感に張爛と邦戯は
まるで金縛りに掛かったように身動きが出来なかった。
劉・小狼は二人の間に割って入ると地面に
突き刺さっている自分の剣を抜き、鞘に納めながら
「張爛!」
と怖い顔で張爛のことを睨み付けた。
劉・小狼の威圧感に張爛は一遍に背筋が凍りつき、
震え上がった。
震え上がったのは張爛だけじゃなかった。
邦戯までが一緒になって、震え上がった。
劉・小狼は怖い顔で張爛のことを睨み付けたまま、
「今、前線では郭瑜が一人で踏ん張っている!
お前は直ちに立ち戻り、郭瑜の手助けをせよ!」
と張爛に命じた。




