第6章 1
劉・小狼らが龐悦が立て籠もる出城に向かって、
すぐに郭閲は今まで劉・小狼らがいた陣を引き払い、
父である郭瑜から預かった兵と共に近くの高台へ
その姿を隠した。
そうとは知らず、死鏡は劉・小狼らの後ろを襲おうと
郭閲がいる高台の下を通りかかった。
死鏡とその兵を確認した郭閲は
「いまだ! 撃て!」
一緒に潜んでいた兵に向かって、合図を送った。
それと同時に潜んでいた兵が一斉に現れ、
死鏡とその兵に向かって、無数の矢を射掛けた。
突然の矢の雨に驚き、大混乱に陥った死鏡は
立て籠もっていた火竜関に逃げ帰った。
死鏡が兵を残し、自分だけ火竜関に逃げ帰った事で
前線に取り残された死鏡の兵は
『もうやってられるか……』
次々と郭閲に降伏した。
思わぬ、郭閲の抵抗にあい、行く手を阻止された
死鏡は多くの兵を失った。
「このままじゃすまさんぞ!」
死鏡はそう言うと土から泥兵を作り上げ、
兵力を増強した。
その頃。
郭閲は投降してきた死鏡の兵から
劉・小狼の奥方・水蓮の居場所を聞き出していた。
死鏡の兵から聞き出した水蓮の居場所は
すぐに郭閲の父である、郭瑜に知らされた。
息子の郭閲から知らせを受けた郭瑜は
「引き続き、そちら(死鏡)の方は
お前(郭閲)に任せる!」
死鏡の方を引き続き、息子である郭閲に任せた後、
郭瑜は劉・小狼軍を龐悦が立て籠もる出城の周りに
陣を敷くと都に戻った劉・小狼と仮面の男【劉閣】に
知らせを送った。
郭瑜からの知らせを受け、都に戻っていた
関遼らと共に郭瑜のもとに急いだ。
劉・小狼らが再び、龐悦が立て籠もる出城の
近くに向かったと知った仮面の男【劉閣】は
「我らはどうする?……」
新しく、仮面の男【劉閣】の参謀長となった杜闑は
龐悦が立て籠もる出城と死鏡が立て籠もる
火竜関の周辺の地図を見ながら
「我らはこちらに行きましょう!」
死鏡が立て籠もる火竜関を指差した。
それぞれの想いで動いている頃……
『ここからどうにかして抜け出さないと……』
水蓮は自分が捕らわれている火竜関から
抜け出す方法を密かに考えていた。
だが、中々、良いアイデアが浮かばなかった。
そんな時。
「食事だ!」
死鏡が定期的の食事を持って、水蓮が
閉じ込められている部屋の中に入ってきた。
水蓮は怖い顔で自分をとこんな所に閉じ込めている
死鏡のことを睨み付けながら
「いつまで私をこんな所に閉じ込めているの?……
早く帰してよ!」
というと死鏡は少し追詰められたような顔をしながら
「少し事情が変わったのだ! もう少し我慢をしろ!」
というと持って来た食事を部屋の机に置くと部屋を
そそくさと後にした。




