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寝床から躯を起こした劉・小狼は寝床に腰掛け、
『やはり、このままだと我らは食料が尽き、
負けてします…… どうにかしないと……』
と思い、何かを意を決すると隣で一緒に寝ている
関遼と張爛に気付かれないように仮眠室から出て行った。
その足で馬小屋に行き、足の速そうな馬を選び、
蒐賽の兵に奇襲をかけようと孔游の居城・沙隆から
静かに抜け出そうとすると
「何処に行かれるのですか?……」
と言い、劉・小狼の前に同じように馬を携えた
関遼と張爛が立ち塞がった。
「水臭いなぁ…… 何処か行くなら、
俺達に声をかけてくれれば良いのに……」
張爛は自分が選んだ馬の背を撫でながら、
劉・小狼にそう言った。
劉・小狼が突然、目の前に現れた関遼と張爛に
戸惑っていると
「今からこの城を出て、奴(蒐賽)の兵に
奇襲をかけるのでしょう?……」
と関遼は劉・小狼の考えを見透かしたように
そう言った。
「なら、早く行こうぜ!……」
張爛は劉・小狼と関遼を急かした。
劉・小狼は関遼と張爛のそんな言葉は
とても嬉しかったが急に厳しい顔をし、
「一緒に行く事はならん! 死にに行くようなモノだから
お前達を一緒に連れて行く訳にはいかん!……」
と言ったが関遼は清々しい顔をし、
「それは元より承知の上!」
と言うと張爛は関遼の横で頷いた。
『お前達……』
劉・小狼は泪が溢れそうになった。
劉・小狼らは孔游に置手紙をすると武器庫から
弓矢を拝借すると沙隆を飛び出した。
沙隆を飛び出し、劉・小狼らと共に馬を走らせている
張爛は
「これからどうするんだ?……」
と訊いてきた。
「どうしたものでしょうか?…… 我らだけで奴(蒐賽)に
奇襲をかけても敗れるだけだろうし?…」
劉・小狼がそう言い、困った顔をしていると
関遼は劉・小狼の横を一緒に併走しながら
「何処か、近くに誘き寄せて、倒しては?」
と劉・小狼に進言した。
少し考え込んだ劉・小狼は
「何処か、良いところはありますか?」
と関遼に訊いた。
関遼と劉・小狼と共にゆっくりと馬を走らせながら、
少し考え込むと
「この近くに小さな森・龍臥望
という所があります。そこにアイツ(蒐賽)を
誘い込んでは?……」
と言い、龍臥望がある方を指差した。
劉・小狼が関遼が指差した方を見詰めていると
関遼の前を少し行く、張爛は腰に携えている
干し肉を頬張りながら
「何だ! すぐにアイツ(蒐賽)のところに
行かないのか?……」
と言った。
考えた末に劉・小狼は人数が少ないから安全策を取り、
関遼が言った、近くの森へ蒐賽の兵を誘い込むことにした。
「ここは近くの森・龍臥望に敵を誘い込もう!」
劉・小狼はそう言うと関遼と張爛と共に近くの森・
龍臥望に向かった。




