第5章 19
郭瑜に言われ、劉・小狼のもとにやって来た水蓮は
北方の商人の事などの事を必死に弁解した。
「そうか……」
水蓮の弁解に初めは信じず、疑っていた劉・小狼だったが
「まずは奥方のことをお信じになっては?」
という、劉儀の言葉にとりあえず、水蓮のことを
信じてみることにした。
出城の建設に着手し、程なくして、龐悦は劉・小狼が
水蓮のことを許し、仲良くしている事を知り、
『なんていうことだ! 折角の私の計画が……』
怒りをたぎらかせた。
『何とかせねば……』
龐悦は新たなる策を講じるべく、密かに北方の
仮面の男【劉閣】の配下の韓忌と連絡を取った。
龐悦が密かに仮面の男【劉閣】の配下の韓忌と
遭っている事を各地の様子を手の者と一緒に調べていた
蒼琥がキャッチした。
『まさかな?……』
半分疑いつつも手の者を龍炎国の都にいる郭瑜の元にやり、
自分は密かに龐悦のことを探った。
すると、龐悦は密かに北方との国境沿いの荒寺の
壬深【みみ】寺の中に入っていった。
その荒寺の中にはすでに韓忌がいた。
「待たせたな! では、これからの事を話すとするか!」
龐悦は韓忌と対峙して座るとそう韓忌に話し掛けた。
「当初の計画が頓挫しつつある! どうするのだ?……」
韓忌は少し不機嫌そうに龐悦にそう話し掛けてきた。
密かに蒼琥が龐悦のことを探っている頃……
都の自分の部屋で一人で色々な事務作業などを行っている
郭瑜のもとに蒼琥の手下が
「郭瑜さま!」
密かに現れた。
突然、現れた蒼琥の手下に郭瑜は少し驚いた表情で
「ど、どうした?……」
と突然、現れた蒼琥の手下に言うと
蒼琥の手下は少し恐縮しながら
「龐悦さまが不穏な動きをなさっているそうです!」
と郭瑜に言った。
「そうか……」
郭瑜は蒼琥の手下の報告に全く驚くことなかった。
自分の配下の者が郭瑜に龐悦が不穏な動きをしていることを
報告している頃……
龐悦と韓忌の話に夢中で聞き入っていた蒼琥は
自分が韓忌の手の者に囲まれている事に気付いていなかった。
龐悦と話している韓忌の後ろに突然、黒装束を着た
怪しき男【死鏡】が現れた。
突然、現れた死鏡に気が付いた韓忌は死鏡の方に
振り返ることなく、
「死鏡か! どうした?……」
と言うと死鏡は片膝を付いて座ると
「ねずみが紛れ込んでいるようで……」
というと韓忌は顔色変えず、
「そのねずみ、捕らえて、連れてまいれ!」
というと死鏡は深々と頷くと一瞬にしてその姿を
その場から消え去った。




