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仙龍創乱3  作者: 劉・小狼
第1章
12/136

 12

 孔游らは劉・小狼らを囲んで蒐賽の対応を話し合った。


 劉・小狼は目の前に机に大きく広げられた

沙隆の周辺の地図を覗き込むように見ながら、


 「やはり、我らが先に出て、奇襲をかけては?……」


 と進言した。

 月影も劉・小狼と同じように目の前の机に広げられた

地図を覗き込むように見ながら、


 「待ちなさい! あの小心者の蒐賽が単独で

ここまで兵を進める訳はあるまい。

 おそらく、蒐賽の後ろには誰か、おるじゃろう!……」


 と言った。

 同じように机の地図を覗き込むように見ていた孔游も

渋い顔をしながら、


 「私もそう思います!…… おそらく、蒐賽の後ろにいるのは

老霍ではないでしょうか?……

 もし、蒐賽の後ろに老霍がいるなら、迂闊に動かない方が

よろしのでは……」


 と言った。


 話し合いの結果、天然の地形を利用して、

造られた鉄壁の要塞である、孔游の居城・沙隆に

篭城することになった。

 今後のことが決まったら、孔游は配下の濤轍らに命令し、

沙隆の民らを北門から安全の場所へと避難させた。

 一応、透徹は騒ぎのもとである、街の豪商にも声をかけたが

すでに豪商の一家の姿は何処にもなかった。


 豪商の一家はその頃、すでに沙隆を密かに抜け出し、

蒐賽の陣へといた。

 蒐賽の兵の動きを警戒し、劉・小狼らは沙隆の城門の上で

見張りをしていた。

 劉・小狼は城門の上で蒐賽の兵の動きを警戒し、

遠くを眺めながら


 『本当に私はこんな所でこんなことをしていて

良いのだろうか?……』


 と思っていた。

 劉・小狼がそんな事を思っていると


 「お食事です!」


 と言い、水蓮が劉・小狼が見張っている所に

食事を運んできた。


 「すまないなぁ……」


 関遼と張爛は水蓮が持ってきた食事を取り、

頬張ったが劉・小狼は一瞬、水蓮の方を見て、

会釈をすると再び、外の方を警戒した。

 そんな劉・小狼の横に水蓮はそっと佇み、

劉・小狼と同じように外の風景を見ながら


 「ごめんなさい…… 私のせいで貴方をこんなことに

巻き込んで……」


 とぽつりと呟いた。

 劉・小狼は水蓮の事を見ることなく、外を見詰めたまま、


 「いや。君のせいではないよ…… 前の街で同じことをして、

追われる身になっているからどの道、いずれ、何処かで

こんなことになっていただろうし…… 君のせいではないよ」


 と優しく、水蓮に声をかけた。

 そのまま、劉・小狼も水蓮もまるでカップルのように

押し黙ってしまった。


 少し気まずくなった劉・小狼は水蓮が握り締めている

おにぎりが目に入ると


 「少しお腹が空いたなぁ…… そのおにぎり、貰えるかな?」


 と水蓮にそう言うと


 「こ、これは?……」


 水蓮は握り締め、形が崩れたおにぎりを慌てて、

恥ずかしそうに隠そうとした。

 だが劉・小狼はそのおにぎりを水蓮から取り上げ、頬張ると


 「うん! おいしい!」


 と水蓮に優しく、微笑んだ。


 「よかった!……」


 水蓮も嬉しそうに微笑んだ。

 水蓮との食事を終え、見張りを変わった劉・小狼は

関遼と張爛と共に暫しの仮眠を取ったが劉・小狼は

中々、寝付けなかった。


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