第5章 15
劉・小狼は舜炎帝の降伏の申し出を受け入れた。
これによって、劉・小狼は北部を残し、
龍炎国をほぼ、手にいれた。
劉・小狼は武装解除をさせ、舜炎帝らを
水霞曉の国へと戻した。
だが、舜炎帝はもとの居城・海月宴には戻されず、
息子共々、出家させれ、南部の小さな寺へと幽閉させられ、
水霞曉は四方を修めていた四候に任せた。
これで堯閣帝と舜炎帝の反乱は終わった。
全てが終わった後、郭遼は
「君のおかげで戦いに勝てることが出来たよ!
……もし君さえ、良かったら、私の手伝いをせぬか?」
自分らを助けた幼き少年に自分のもとに
来るように勧めた。
「気が向いたならね!」
幼き少年はそう言うと何事もなかったかのように
平和になった街の中へと消えて行った。
やっと、戦が一段落し、劉・小狼は龍炎国と
風の里(国)の国境沿いの城に息子の亮といる
妻である水蓮を呼び寄せたがどこか、水蓮の
様子がおかしかった。
どんなに劉・小狼が水蓮に愛情を向けても
水蓮はそれに答えなかった。
それどころか、遠くの空を見て、重いため息を
ついていた。
訳がわからなかった劉・小狼は一緒に居た
息子の亮に
「どういうことだ? 何か、あったのか?」
と水蓮のことを訊くと息子の亮は呆れ顔で
母親である水蓮を見ながら
「北方から来た商人の男に恋をしたんだって!……」
水蓮が北方から来た商人に恋したことを
劉・小狼に伝えた。
「なに!……」
劉・小狼は激しく激怒した。
普段は平常を装っていた劉・小狼だったが
妻・水蓮の浮気が許す事が出来ず、
いつもモヤモヤとしていた。
そんな時、広大な領地の視察を終えた龐悦が
劉・小狼らがいる龍炎国の都に戻ってきた。
視察の報告を劉・小狼にしようと劉・小狼のもとに
やってきた龐悦はすぐに劉・小狼の異変に気が付いた。
「小狼さま。 どうかしましたか?……」
龐悦は劉・小狼に離しかけた。
『なんでもない!』
劉・小狼は誤魔化そうとしたが龐悦なら、
何とかしてくれるかもと思い、
「じ、実は……」
龐悦に妻の水蓮の浮気のことを話した。
劉・小狼の話を聞いた龐悦は顔を曇らせながら
「そ、それはまずいですね…… 奥方(水蓮)から
我らの秘密事項がその北方の商人の男に
流れているかもしれません。このままじゃ、
我ら、軍勢の危機だと思います……
何らかの手を打たないと……
でも、まずはその北方の商人の男のことを
調べないと……」
と劉・小狼にそう言った。
劉・小狼も顔を曇らせながら
「龐悦。お前に全面的に任せる!」
龐悦に水蓮の浮気の解決を任せた。
劉・小狼の異変を感じ取った者がもう一人、いた。




