第5章 12
劉・小狼から命(令)を受けた郭遼は自分の陣幕内に戻り、
どうやって、龍炎国の都を攻め落とすか、思案していると
「失礼するぞ!」
と言い、郭遼の父である、郭瑜が郭遼の陣幕内に
入ってきた。
「父上!……」
郭遼が突然、現れた父である郭瑜に恐縮していると
郭瑜は郭遼の横の席に座り、
「話は聴いたぞ。 で……どうやって、攻めるのだ?」
と郭遼に訊いた。
郭遼は目の前の龍炎国の都の周囲と龍炎国の都内の
地図を見ながら
「そ、それなんです。どう攻めようかと?……」
と考え込んだ。
郭瑜も同じように目の前の地図を覗き込みながら
「まずは都の周りを取り囲み、都を攻めると見せかけ、
その隙に都の内部で工作をかけては?……」
と息子である郭遼にそう言った。
「それではこちらの作戦が都の内部にあると
すぐに知られるのでは?……」
郭遼がそう言い返すと郭瑜は龍炎国の都の地図にある
四方の城門を指差しながら
「こちらの作戦が気付かれそうになったら、
頃合いを見て、この四方の門に攻撃を仕掛けるのだ!……
そうすれば、敵の目は四方の門に向く!」
とアドバイスをした。
父であり、現・劉・小狼軍の参謀長である
郭瑜の意見を聞き入れ、郭瑜の息子の郭遼は
早速、龍炎国の都の周囲を取り囲み、
前線の指揮を父の郭瑜に任せ、蒼琥らと共に
自ら、龍炎国の都の中に潜入した。
龍炎国の都の中に潜り込んだ蒼琥は
「これからどうしますか?」
と指揮官の郭遼にそう訊いた。
郭遼は辺りを気にしながら
「まずは舜炎帝軍の武器や食料などを破壊しましょう!
ですが、その前にそれぞれが何処にあるかを調べましょう!
出来ますか?……」
と蒼琥らに指示を出した。
「わかりました!」
蒼琥は部下に舜炎帝軍の武器や食料などがある所を
調べるように命じると蒼琥の部下らは一斉に散開し、
その場から消え去った。
残った郭遼と蒼琥は暫しの間、龍炎国の都の様子を
探る事にした。
郭遼と蒼琥が町人姿に変装して、街の中を探っていると
城外を劉・小狼軍が取り囲んでいるせいか、
街のいたるところに守備兵がうろついていた。
「これは中々、警備が厳重だなぁ……」
郭遼が城内の警備の厳重さに驚いていると
「そうですね! 配下の者らも少し手こずっているでしょう!
……配下の者らが作戦を遂行しやすいようにこの街中で
少し騒ぎを起こさないといけないでしょうね?」
蒼琥が郭遼にそう言うと
「ねぇ! おじさん達、ここで何をしているの?」
郭遼と蒼琥の後ろから男の子が突然、聞こえてきた。
郭遼と蒼琥が驚いた顔で振り返ると二人の後ろには
幼稚園生ぐらいの男の子が立って、不思議そうな顔で
見慣れない郭遼と蒼琥のことを見詰めていた。




