第5章 11
郭遼は辺りを見廻しながら
「援軍は?……」
と関亮らに訊いた。
関亮と張越は自分らに襲い掛かってくる
舜炎帝の軍勢を打ち倒しながら
「援軍なんてないぞ! 俺たちは隠密行動をしているから……」
張越は郭遼にそう言った。
「それは困ったなぁ…… とりあえず、ここから退くか!」
郭遼は頭を掻きながら、そう言うと関亮らを助け、
その場から退却を始めた。
その様子を龍炎国の都の西の城壁の上から見ていた舜炎帝は
「まずい! 逃げる。アイツラを逃がすな!……」
と郭遼らに追い討ちをかけるように言った。
舜炎帝の兵が龍炎国の都の西門から出て、
逃げる郭遼らを追いかけようとしたその時……
ドカ、ドカーン……
物凄い音と共に爆発が起き、西門から出た
舜炎帝の兵は大きなダメージを受け、大混乱に陥った。
その隙に郭遼らは龍炎国の都の西門から立ち去ったが
劉・小狼らが陣を張る所まであと半分のところまで来たとき、
龍炎国の都のほかの門から出た舜炎帝の配下の者らが率いる
軍勢に取り囲まれた。
「ここまでか!……」
郭遼らがそう諦めかけたその時……
突然、郭遼らを取り囲んでいた舜炎帝の配下の者らと
その者らが率いる軍勢に向かって、空から無数の矢が
雨のように降り注いだ。
「よぉ! 息子たちよ!」
郭遼らの前に現れたのは劉・小狼とその仲間らだった。
そこには郭遼らの父親らの郭瑜らもいた。
劉・小狼は郭遼らの周りを取り囲んでいる
舜炎帝の配下の者らとその兵らを見ながら
「関遼。息子らを助けよ!……」
関遼は頷くと他の仲間らと共に舜炎帝の配下の者と
その兵らに襲い掛かった。
圧倒的な関遼らの強さに舜炎帝の配下の者らは
龍炎国の都に逃げ帰ったり、劉・小狼らに降伏したりした。
郭遼らは圧倒的な父親の力に呆気に取られ、
見惚れていた。
ある程度、片付くと劉・小狼は
「さあ。戻るぞ!」
と言い、自分らが陣を敷く場所へと仲間らと共に戻った。
劉・小狼らと共に陣に戻ってきた郭遼は
父である郭瑜に酷く怒られた。
しょんぼりしている郭遼に近寄ってきた劉・小狼は
「そんなに落ち込むことないぞ……
良い経験になっただろう! ……で、どう見るか?」
と郭遼を励ました。
郭遼は頷くと
「は、はい…… 今回の事で舜炎帝の配下の者と兵は
大きく減ったと思えます! ……ですが、まだまだ我らと
戦うには充分でしょう!……」
父の郭瑜譲りに冷静に劉・小狼にそう言った。
劉・小狼は龍炎国の都の方を見ながら
「なら、どうする?……」
と郭遼に言った。
「わ、私なら…… 龍炎国の都の内と外から
攻撃を仕掛けます!」
郭遼は自信に満ちた顔をし、劉・小狼にそう言った。
劉・小狼は決意を固めた顔をし、
「なら、やってみよ!」
と郭遼に言うと怖気づいた郭遼は
「む、無理です! 他の者に任せてください!……」
と言った。
劉・小狼はそんな郭遼を見ながら
「自信を持て!…… 我らがお前の補佐をしてやるから……
やってみよ! これは命令だ!」
と言った。
渋々、郭遼は劉・小狼の命令に従うことにした。




