第5章 4
前後を関遼らと刹那に挟まれた忌航は勝ち目がないと感じ、
持っていた武器を地面に投げ捨てると
「わかった! 降参する!」
というと忌航が率いた兵らも全て、持っていた
武器を捨てると忌航と同じように劉・小狼らに降参した。
刹那と忌航が劉・小狼軍に寝返ったことが
風の里【国】の全土に知れ渡ると関所以外に守っていた
他の者らも次々と刹那や忌航を通し、劉・小狼軍に寝返って行った。
気付けば、風の里【国】で劉・小狼軍に刃向かうのは
仙堯閣帝と仙鵠とその配下の者だけだった。
「もはや、勝敗は決した!」
郭瑜はそう思い、仙鵠らに降参を促す為に刹那を
仙鵠らのもとに使者へと向かわせた。
風の里の都の城門の前までやって来た刹那は
城門の上にいる仙鵠らに
「勝敗は決しました! 降参をしてください!」
と降参を進めた。
だが、仙鵠の配下の天迦は
「裏切り者! そんな事ができるか! 取りたいなら、
力尽くで来い!」
というと自分の手勢の兵に命じ、使者と来た刹那に向かって、
矢を放った。
「後悔しますよ!」
刹那はそう言うと、劉・小狼らがいる第4の関へと戻った。
第4の関に戻った刹那は哀しげな顔をし、降参説得に
失敗した事を劉・小狼らに報告した。
「だ、大丈夫ですよ!…… よくやってくれました!」
郭瑜は刹那の労を労い、自分に寝返ってきた
風の里の諸侯らに何やら、作戦を告げた。
郭瑜と龐悦は風の里【国】の諸侯らを風の里【国】の都を
ぐるりと取り囲み、風の里【国】の城門の上から
矢が届かない場所に配置し、こちらから攻撃を仕掛けなかった。
初めは威勢の良かった風の里【国】の都にいた兵らだったが
時が過ぎるうちに敵が攻めて来ないことに緊張は段々と蓄積し、
兵らは疲れ切っていった。
そんな中、密かに風の里【国】の都に潜り込んでいた
空臣とその配下の者らは風の里【国】の都を護る兵らに
「ここはもうダメだ! 俺は近いうちにここから出て、
敵に降参するぜ!」
空臣はそう言うと、空臣の配下の者らは空臣に
賛同するかのように
「俺も…… 俺も……」
と言い、偽の情報を流した。
すると、風の里【国】の都を護る兵らも揺らぎ始めた。
途中で風の里【国】の護り兵に化けた空臣らが
風の里【国】の都の中からいなくなると動揺した
風の里【国】の都の護り兵らは
「俺たちも……」
一人、また一人と風の里【国】の都の中から抜け出ると
劉・小狼軍に投降した。
一ヶ月ほどすると、風の里【国】の都の中の護り兵は
数人になっていた。
それを見た天迦は
「これではもう戦えぬ!……」
と思い、仙鵠と堯閣帝を説得をし、
風の里【国】の都の城壁の上に白旗を掲げ、
風の里【国】の都の城門を開け、劉・小狼らに降参した。




