第4章 25
刹那とその手勢が郭瑜の結界に護られた張爛と
その手勢に襲い掛かろうとしたその時……
「地龍波!」
という声と共に刹那とその手勢の前に土煙と
一緒に衝撃波がやって来た。
だが、寸前の所で刹那は手勢と共にその衝撃波から逃れ、
第3の関へと戻った。
張爛と郭瑜の危機を救ったのは張爛と郭瑜の危機を知った
劉・小狼が趙燕と共に駆け付けたお陰だった。
無事だった張爛と郭瑜を確認すると劉・小狼は怖い顔で
「ばか者が!……」
と張爛と郭瑜を叱り付けた。
劉・小狼が張爛を叱り付けているのを見て、趙燕は
「小狼さま。その辺で…… ここでこうしていると
敵に……」
というと劉・小狼は張爛を叱るのをやめると
第3の関を見ながら
「そうだな…… 我らも戻ろう!」
というと劉・小狼らは揃って、第2の関に戻った。
第2の関に戻る劉・小狼を狙う絶好のチャンスだったが
刹那は第3の関の門の上から第2の席に戻っていく
劉・小狼を見ているだけだった。
第2の関に戻った劉・小狼は張爛をたっぷりと叱った後、
郭瑜を自分の元に呼びつけ、
「で…… 第3の関の者はどうだった?」
第3の関を護る刹那のことを尋ねた。
郭瑜は険しい顔をしながら、
「第3の関にいる者は相当の者で……
このまま、力押しで第3の関を攻めるのはやめた方が
宜しいでしょう…… このまま、攻めても我らの損害が
多くなるだけでしょう!」
と劉・小狼に進言した。
劉・小狼と同席していた龐悦は
「では、どうするのだ? このまま、あの第3の関を
攻め落とさないと先には進めないぞ!」
と郭瑜に言うと郭瑜はこの辺りの付近の地図を
見詰めながら、
「まずは第4の関を攻め、敵を分断しては?……」
と言った。
郭瑜の計画は第3の関を護る刹那に読まれていた。
そんな事とも知らず、郭瑜は関遼と張爛を
それぞれ、2手に分け、第3の関を迂回するように
第4の席に向かった。
だが、その道筋には刹那が配置していた
伏兵の攻撃を受けた。
関遼はいち早く、刹那の伏兵に気付き、
劉・小狼らがいる第2の関へと戻る事が出来たが
張爛は刹那の伏兵の思いもよらぬ攻撃にてこずり、
気付いたら、進む事も退く事も出来ず、前線に取り残された。
「もう少しだ! 一気に敵を討ち取れ!」
刹那はそう言うと自らも前線に飛び出していき、
張爛を討ち取ろうとした。
張爛とその手勢が刹那とその伏兵に
攻撃されようとしたその時……
張爛の前に蒼の忍び装束に身を纏った者らが現れ、
張爛とその手勢に襲い掛かろうとしている刹那と
その伏兵に向かって、持っていた小刀を投げ付けた。
その後、すぐにその蒼の忍び装束の者らは張爛らを
その場から逃がしながら、刹那とその伏兵に
更なる攻撃を加えた。
蒼の忍び装束を着た者らの活躍により、
張爛はほぼ無傷で劉・小狼らがいる第2の関へと戻ってきた。
「ご無事でよかった!」
と言い、蒼の忍び装束を着た者の一人が覆面を取ると
それは元風の民の軍勢で今は劉・小狼らの領地で
暮らしている空臣だった。