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仙龍創乱3  作者: 劉・小狼
第1章
10/136

 10

 「言葉を慎まんか!……」


 濤轍は持っていた剣で張爛の躯を押さえ付けたが


 「よさぬか! 濤轍……」


 孔游は張爛を押さえ付けている濤轍にそう言った。

 孔游は困った顔で目の前に座らされている劉・小狼らを

見詰めながら


 「一つ、お前らに訊く…… 街で豪商の息子を襲ったか?」


 と言った。

 劉・小狼は真っ直ぐな目で目の前に立っている孔游を

見詰めたまま、


 「豪商の息子かはわからぬが…… 確かに街で騒ぎを起こし、

人を傷つけた!」


 と正直に孔游にそう言った。

 孔游は残念そうな顔で劉・小狼らから顔を背けると


 「その者らを牢へ入れておけ!……」


 と濤轍に命令をした。


 「こっちに来い!」


 濤轍が乱暴に劉・小狼らを立たせ、その場から

立ち去ろうとすると


 「孔游! 待たんか……」


 と言い、孔游らがいる部屋の中にあの黒いフードを被った

老婆が現れた。

 孔游らは突然、目の前に現れた黒いフードを被った

老婆を見るなり、その場に片膝を付き、


 「月影さま……」


 と深々と黒いフードの老婆に頭を下げた。

 黒いフードの老婆(月影)は孔游の玉座に

ゆっくりと腰掛けると


 「濤轍! すぐさま、その者らの縄を解きなさい!」


 と怖い顔で濤轍を睨み付けながら、濤轍に

そう命令をした。

 濤轍はまるでへびに睨まれた蛙のように


 「は、はい……」


 と言い、立ち上がると劉・小狼を拘束している

縄を解こうとした。


 「ま、待つんだ! 濤轍……」


 孔游は慌てて、濤轍の行動を制した。

 孔游らが恐縮するのも無理はなかった。

 黒いフードの老婆(月影)は元々、この沙隆を収めていた

孔游の祖父の妻で孔游の祖母なのだから……


 「月影さま。今、この者らを解放されては困ります……」


 孔游はいつも自分が座る玉座に座る、黒いフードの

老婆(月影)にそう言うと


 「たわけ者…… この方を誰だと思っているのだ

あの伝説の勇者がこの世に舞い戻って来てらしたのだ……

控えんか!」


 黒いフードの老婆(月影)は劉・小狼の事を見詰めたまま、

孔游にそう言い放った。


 「伝説の勇者?……」


 孔游と濤轍は驚いた顔で劉・小狼の事を見詰めた。

 一向に自分の息子を傷付けた劉・小狼らが見つからない事に

苛立った沙隆の豪商・蹉跌さてつは妻の実家の蒐賽家へと

助けを求めた。

 蒐賽は沙隆の豪商の申し出により、自分が追っている者と

沙隆の豪商が追っている者が一緒であることにすぐ気が付いた。

 だが、孔游が収めている沙隆と友好関係を結んでいた蒐賽は

すぐには沙隆の豪商の申し出を受ける訳にはいかなかった。


 「そんな事を言わず、何とかならんか。 蒐賽殿?……」


 沙隆の豪商は蒐賽に泣き付いた。


 「困ったの……」


 困った顔で腕組みをし、考え込んだ蒐賽は何かを思い付き、

配下の者を使いに出した。

 蒐賽の配下の者が蒐賽の手紙を持って、向かったのは

蒐賽や孔游が護っている地を統括している水霞曉の西南の臥炎州を

収めている年老いた老人の老霍ろうかくのもとだった。


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