第6話 クラヴィス・ノクス:追求
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14
×
再確認
器具A
歪み
使用不可、弱すぎる
応力、想定外
破断
11:18:7→弱
比率 1 : 7 : 0.3
冷却 急Fd-20
結果:不安定層が分離
——再試行、再々、もっと
温度 ↓
Gh:6!
時間 短
※記録抜け
結晶、偏る
内部に空隙
圧縮時に音
不快
Cd仮定:失敗
だが方向性は近い
二段階目:可能
母材→DDH→FL
前回と同条件→不可逆
器具B破損(交換)
冷却方法
段階的に
水
空気
水
結果:形状保持
だが靭性不足
惜しい
数値のみ
11
27
××△
破断
再現性なし
——次
合金
比率微調整
0.02pc/jt
温度、さらに上
器具C、限界
警告音
またか
軽く声をかけて入室すると、助手は立ち止まった。
散らかった机の隅に置かれた盆。
その上には、朝に運んだパンとスープがそのまま載っている。手をつけられた形跡はない。スープの表面張った膜が変色し始めている。
「……はぁ、またですか」
ため息をついて、助手は振り返る。今日ははもう一人要る。
奥の部屋へ小走りで行き、ほどなくもう一人の助手を連れて戻ってくると、大きめに声をかけた。
「所長、食事です!」
返事はない。
机に向かったままのもじゃもじゃ頭の男は、背を丸め、ガラス器の試料を見比べては紙束に顔を近づける。ペン先が、かりかりと止まらない。
「クラヴィス所長!」
「うるさい」
「……食べてください」
無言。
二人は顔を見合わせ、頷いた。
「……では、食べさせます」
所長がペンを置いたタイミングで、二人の助手は素早く動く。
一人が正面に回り、もう一人が後ろから支える。無理やり顔をこちらに向けさせると、口元にパンを押し当てた。
「はい、口」
「……」
それでもクラヴィスは手に持ったメモから目を離さない。
「所長!」
ぐい、と顎を下げて口を開けさせる。
パンが押し込まれた瞬間、
「フゴッ、んガガ」
くぐもった声を出しながらも、クラヴィスはペンに手を伸ばそうとする。もぐもぐと咀嚼し、喉を鳴らして飲み込む。
「……そうか!」
急に声がはっきりした。
「水!」
助手が慌てて杯を差し出す。クラヴィスはそれをひったくるように受け取り、ごくごくと一息に飲み干した。
「やっぱり……だめか?んん~」
もう机に向き直っている。
ペンが動く。
助手たちは呆れたように顔を見合わせた。
「……もう、死なないでくださいよ」
パンを小さくちぎり、再び口元へ。
「はい、ちゃんと食べて~」
「お水ですよ~、口開けて~」
「フゴ、……ん」
クラヴィスはパンを咀嚼しながら、次の数値を書き留めていく。
紙の上で、また新しい数字と記号が増えていく。
助手たちは交代でパンと水をその口に運びながら、見守るしかなかった。




