第9話 クラヴィス・ノクス:追求
3
14
×
再確認
器具A
歪み
使用不可、弱すぎる
応力、想定外
破断
11:18:7→弱
比率 1 : 7 : 0.3
冷却 急Fd-20
結果:不安定層が分離
——再試行、再々、もっと
温度 ↓
Gh:6!
時間 短
※記録抜け
結晶、偏る
内部に空隙
圧縮時に音
不快
Cd仮定:失敗
だが方向性は近い
二段階目:可能
母材→DDH→FL
前回と同条件→不可逆
器具B破損(交換)
冷却方法
段階的に
水
空気
水
結果:形状保持
だが靭性不足
惜しい
数値のみ
11
27
××△
破断
再現性なし
——次
合金
比率微調整
0.02pc/jt
温度、さらに上
器具C、限界
警告音
またか
軽く声をかけて入室すると、助手は立ち止まった。
散らかった机の隅に置かれた盆。
その上には、朝に運んだパンとスープがそのまま載っている。
手をつけられた形跡はない。
スープの表面張った膜が変色し始めている。
「……はぁ、またですか」
ため息をついて、助手は振り返る。
今日ははもう一人要る。
奥の部屋へ小走りで行き、ほどなくもう一人の助手を連れて戻ってくると、大きめに声をかけた。
「所長、食事です!」
返事はない。
机に向かったままのもじゃもじゃ頭の男は、背を丸め、ガラス器の試料を見比べては紙束に顔を近づける。
ペン先が、かりかりと止まらない。
「クラヴィス所長!」
「うるさい」
「……食べてください」
無言。
二人は顔を見合わせ、頷いた。
「……では、食べさせます」
所長がペンを置いたタイミングで、二人の助手は素早く動く。
一人が正面に回り、もう一人が後ろから支える。
無理やり顔をこちらに向けさせると、口元にパンを押し当てた。
「はい、口」
「……」
それでもクラヴィスは手に持ったメモから目を離さない。
「所長!」
ぐい、と顎を下げて口を開けさせる。
パンが押し込まれた瞬間、
「フゴッ、んガガ」
くぐもった声を出しながらも、クラヴィスはペンに手を伸ばそうとする。
もぐもぐと咀嚼し、喉を鳴らして飲み込む。
「……そうか!」
急に声がはっきりした。
「水!」
助手が慌てて杯を差し出す。
クラヴィスはそれをひったくるように受け取り、ごくごくと一息に飲み干した。
「やっぱり……だめか?んん~」
もう机に向き直っている。
ペンが動く。
助手たちは呆れたように顔を見合わせた。
「……もう、死なないでくださいよ」
パンを小さくちぎり、再び口元へ。
「はい、ちゃんと食べて~」
「お水ですよ~、口開けて~」
「フゴ、……ん」
クラヴィスはパンを咀嚼しながら、次の数値を書き留めていく。
紙の上で、また新しい数字と記号が増えていく。
助手たちは交代でパンと水をその口に運びながら、見守るしかなかった。




