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第1話

「いっけなーーーい!遅刻ちこくぅ〜」

などと、少女漫画の主人公みたいなことを言いながら咲斗は走っていた。もちろんパンを咥えながら。

(よし、あの十字路を過ぎれば学校だ。)

見通しの悪い十字路だったが、咲斗は左右を確認せずに横断し始めてしまった。

もしもこの時咲斗が左右確認をしていたのなら違った運命だったかもしれない...

ブオオオオー!

(やべぇ、トラック来てる、悪ぃ...俺死んだ...)

減速することなく十字路に入ってきたトラックを見て、咲斗は自分の運命を悟った。

グイッ!

しかし、力の抜け切った咲斗の体はいきなり後方へと引き寄せられた。

ドサッ...

腰を抜かした咲斗は咥えていたパンと共にその場に座り込む。

(...っ、助かった。)

振り返るとそこには同じ高校の女子生徒が立っていた。胸元のワッペンを見るに自分と同じく、今日から2年生なのだろう。

「...っ、あ...りがとう」

先の出来事のせいで上手く声が出ない。

「あんた、気をつけないと死ぬよ?焦るのは分かるけどもっと落ち着け。」

言ってることは尤もだが...

(なんでそっちはそんなに余裕なんだよ!)

そんな事を思いながら女子生徒の顔を見ると、

「なんでそんなに余裕そうなんだって思ってるでしょ?人間ってさ不思議なもんで、間に合わないってわかると逆に冷静になるじゃん。つまりそういうこと。」

スマホを見るともう既に始業の時間は過ぎていた。

(やべぇ...進級早々遅刻だ)

「んじゃあ、あんたも気をつけて学校いきなね。ばいばいー」

女子生徒は急ぐこともなく、優雅に学校へ向かって行った。

女子生徒と別れて数分後、気持ちが落ち着いた俺もパンを食べながら学校へ向かった。


これが俺と彼女のラブコメの王道から少し外れた出会いだった。

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