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プロローグ
「ゆい姉、俺と付き合って欲しい。」
「ごめんね。サクの気持ちには応えられない」
(...またこの悪夢だ。まだ思い出してしまう。)
「つーか今何時だ?」
ふと、咲斗が時計を見ると、そこには、
「8時10分!?」
「やっべ、今日クラス替えなのに!」
静かな部屋に咲斗の立てる物音だけが響き渡る。
(とりあえずテレビつけるか。)
咲斗はリモコンを手に取りテレビの電源を入れた。
「んーと髪は軽く直して...歯をさっさと磨いて...飯は走りながらでいいや。」
洗面所に向かった咲斗は鏡に映った自分を見ながらそんなことを呟いている。
そんな中リビングから、
『今日の双子座の運勢は...残念!最下位です。焦りは禁物!周りをよく見て行動しましょう。ラッキーパーソンは初めて話す人です。』
(俺今日最下位かよ...)
「まあ新学期だし、初めて話す人なんていっぱいいるだろ。」
起床から僅か5分ほどで支度を済ませ、
(よし、忘れ物はないな!)
「いってきまーす」
咲斗は誰もいない部屋を後にした。