傘を忘れた日
傘を忘れた日
ある日の放課後 傘がなくて困っていた僕に ビニ〜ル傘を貸してくれた君。
「その傘あげる。返さなくていいから」
君はそれだけ言ってカバンから自分の折りたたみ傘を出してその傘をさして帰ってしまったね。
僕は君が言った言葉の意味をしばらく考えていた。 どれくらい時間が経ったのだろう。
気がつけば雨は止んでいて 君から借りた傘をさすことはなかった。
明日返せばいいや そう思い次の日借りた傘を君にかえそうとしたけど君はいなくなっていた。
そう、君は次の日転校してしまったんだ
だから傘がなくて困っていた僕のためにわざわざ自分のビニ〜ル傘をくれたんだ。
僕は知ってたよ。君が傘が好きなこと。いろんな種類の傘を集めていたこと。
そしてその大切な傘を僕にくれた君の優しさを。 だけど傘をもらったとき
恥ずかしくて君にありがとうって言えなかった。
君からたくさん今まで優しくしてもらっていたのに。 僕は泣いた。
君がいなくなって 泣いた。僕は君が好きだった。 最後に告白したかった。
僕の涙につられてなのか、その日の放課後雨が降り出した。
持ち主がいなくなってこのビニ〜ル傘も悲しんで泣いてるのかもしれない。僕がそう思いながら傘を開いた瞬間あっと僕は思った。そこには小さくずっと前から好きでしたって書かれてあった。
僕が君に告白する前に君に先に告白された。僕はちょっと恥ずかしくてそして嬉しかった
おわり