08 【幕間】コンパスは幽霊の声
今回は少し短めです。
代わりにもう一話投稿するのでどうかご勘弁を……
「働きたくない……働きたくない!」
「……働いてくださいよ。どんだけ怠惰なんですか?……というか私も大罪スキル持ちを探さなきゃ魔王城には入れない取り決めになっているんですよ?」
私――ベルフェゴールは現在、とてつもなく働きたくなくなっていた。
しかし、それでは魔王城に入ることが出来ず、野垂死にする可能性は――無いか。
私は別に食べなくても死ななかった。
睡眠だけとっていればどうにかなるもんね。
「ならこちらも切り札を使いましょうか……――幹部専用高級ベットで寝なくていいんですか?」
「はい行きます。探しに行きましょうか」
ベルゼブブは私の扱い(睡眠に関することをエサにする)に慣れてきたらしい。
くそぅ……ただふかふかのベットで寝たい……それだけは本当だ……!
なら働かなきゃなのか……まぁ幹部専用の高級ベットのためと考えれば惜しくない!
さあ働こう!
「――でも具体的には――……あ、そっか。魔王様にもらったコンパス……? みたいなものがあったからそれを使えばどうとか……」
「……もう使い方を忘れたんですか? コンパスに向かって【探知】と唱えるんですよ」
「あー……そうだったような……?」
駄目だ全く話聞いてなかった。
てか吹っ飛ばされた衝撃で色々と抜け落ちてるかも……おもに仕事内容とか。
さてさて、そんなことはまぁ後で思い出せばいい話だろう。
てなわけで大罪スキル持ちをとっとと探し出そう。
「――えーと……【探知】?」
最後に疑問符が付いたが、コンパスは言葉を唱えたと認識してくれたようで、三本の針がぐるぐると勢いよく回り始める。
んえ……? これコンパス巨大化してない?
コンパスは私の手から離れていき、どんどんと巨大化していく。
そして私を優に超える大きさとなったとき急激に動いていた針が停止し、言葉を放った。
『――強欲な彼は中華町の組織「遊び人」に。色欲を持つ少女は遠い異界に星を見上げながら。嫉妬のあの子は暗い闇の底まだ目覚めぬ』
すっごい中二病勘半端ないセリフ来たぞ……誰だよこんなセリフ作った奴!
……私だよ! そうですー! 私が作りましたー! 中二病で何か問題でもあるんですかね!?
……はい落ち着きましょう。ベルゼブブに全くかまってなかったけどどうし――
「……今の声……絶対怪奇現象だ……ここにお化けがいるんだ……」
「ぐぶっ!……あ、待って、ベルゼブブ。その手に持ってるものは何? ナイフだよね? ちょ、落ち着こう!? 私まだ死ねないって! 別に笑いたくて笑ったわけじゃないから!」
見た目によらずかわいらしい言動と、丁寧な口調ではなく子供じみた口調になっていたのが笑いに拍車をかけた。
代わりに笑い声を聞かれて、ナイフを向けられたけど! これって立派な同士討ちでは?
「……さっきの声がお化けや怪奇現象の類じゃなければ何ですか? はっ! まさか……幽霊!? それか怨霊!?」
「幽霊もお化けも一緒だって! ついでに言うと怨霊も大体そんな感じ! くくり的には違うけど! ……ってそうじゃなくて……さっきの声は大罪スキルを持ったものがどこにいるかを表してたってこと。OK?」
「お、おーけー?……ゴホン、つまりコンパスの声が指示したところに大罪スキル持ちがいるわけですね」
「そゆこと。で、一番近いのが【強欲】で中華町にいるからそこに向かうのが手っ取り早いかな。それでいい?」
「えぇ、私は正直コンパスの声を聴けてませんでしたから。それでいいですよ」
さてここで中華町についての説明をしよう。
中華町は私が一度だけ夢で見た街並みを具現化し、再現したものである。
明るいランタンや綺麗な美男美女が町中を歩き回り、美しい街となっている。
ただ実情は、町の裏を裏社会組織「遊び人」が取り仕切る超ブラックな町だ。
しかも【強欲】はその「遊び人」に所属しているとのことだ。
「――だから、こうで……」
「……なるほど……それならば、変装をしていけばいいですかね?」
「うん、そうなるね」
それを簡潔かつ分かりやすくベルゼブブに伝えた後、私たちは、変装するために、少し森の奥に行き、色々やって、変装を完了させたのであった――
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【次回予告】主人公とベルゼブブ。ドキドキの潜入捜査開始――!