07 魔王様登場!
「やぁ、君が今回の合格者にして、異才の少女にして、怠惰の悪魔の名前をかたるもの――ベルフェゴール。そうだな?」
玉座に座る、漆黒のドレスに身を包み、何色あるか分からないほどの不思議な浮遊体を浮かせている妖艶な女性、魔王だ。
「えと……そう、です……魔王様、でひゅか……ですか?」
肝心なところで舌噛んだ……ヒリヒリする……
「うむ。我こそが数いる並行世界の魔王内でも最強にしいて不滅――魔王帝、デヴィルナ。それが我のなじゃ。ところでだが、貴様はどのようなスキルを所有している? もちろん偽った場合は我直々に首をはねてやろう」
……偽ることはできないなら正直に言うしかないか……でもなーんか嫌な予感がするんだよなー……面倒ごとを押し付けられそうな予感が……
「どうした? 何か言えぬことでも?」
「あ、いや! 違います! ただ……」
「ただ?」
「私のスキルは特殊なので……うまく言えないと言いますか……」
「それは面白いな。うまく言えなくともよい。我ほどの頭脳があればスキルの名前を聞けば大体の効果などはわかる」
何だよその権能。強すぎんだろ。チートか? チートなのか? ていう私も大概チートスキル持ってたわ……
まあここまで促されて言わないのはよくないだろう。正直に言おう。
「――私のスキルは……【怠惰】です……」
「――っ!? 何故……? いや……ベルフェゴール、お前、異世界人なのか?」
その問いかけに私は首を縦に振り肯定する。
「なるほど……それなら大罪スキルを所有していることもわかる……そういえば三日前ほどに怠惰の魂が脱走していたな……それは宿主が生まれたからか……」
「……?」
内容はわかるけど分からないフリしとこ。
何か勘繰られたらやだし。
「いや、気にしなくてもよい。しかしベルフェゴール。お前は希少な才能の持ち主が故に我が幹部勢【大罪幹部】に取り立ててやろう。先に言っておくが拒否権はないぞっ☆」
とってもイイ笑顔で圧をかけてくる魔王様。
退路もふさがれた……てか拒否権がないなら私はもう【大罪幹部】にならなければいけないのでは?
「お待ちください魔王様! それは……まだ軍に入隊して一日も経っていないのですよ? それに【怠惰】は……」
「――黙れベルゼブブ。我の決定は覆らぬ」
……帰りてぇ……!
今すぐに帰りたい! 何なのこの威圧感そして部外者感のにじみ出る私の半端ない気まずさ! 誰かどうにかしてくれ……胃が痛い……
「――分かりましたそれが魔王様のご意志とあらば……私はそれを受け入れましょう」
「あぁ、それでよい。それではベルフェゴール。これから君は魔王軍最高地位【大罪幹部】の仲間入りだ♪」
「えっと、あー……はい? よろしくお願いします?」
「……ふふ、そういうところは変わらぬのだな……それじゃあ早速仕事を――」
「――すいません急に用事を思い出したので帰っていいですか?」
仕事という単語が出た途端に全力で拒否の意を示す
が、
「ベルフェゴールにはベルゼブブと共同で空席になっている大罪幹部、【強欲】【嫉妬】【色欲】の三人を探してきてほしい。期限は今日から、この中の大罪スキルを持つものを見つけぬと魔王城に入れぬことになっておるからよろしくな♪」
そんなことはお構いなしに仕事内容を告げ、さらに、大罪スキルを持つものを見つけなければ魔王城に入ることが出来なくなると言われた。
酷い! こんなブラックな職場がどこにあるんだ!
しかし権力とは偉大なものだ。
上司からの命令とあっては私も逆らえない。
まぁ、ベルゼブブも巻き添え――じゃなくて、協力してくれるみたいだしいっか。
「まぁ、大罪スキル持ちはそうそう見つかるものではない。だからこれを使うがよい」
ぽいと玉座から投げ渡されたのは赤く錆びたコンパスのようなものだった。
コンパスのようなものには三本の針が付いており、その針は力なく下を向いている。
「それの使い方はそれに向かって【探知】というだけでいい。使い方は教えたぞ、しっかりと大罪スキル保有者を見つけて戻ってくることじゃな!」
「――へ? ってうわっ――――――」
空間に謎の力が働き、魔王の玉座を仕切る扉をすり抜け、城外まで飛ばされる。
さっさと探しに行って来いという事らしい。
全く……面倒だなぁ……
そう考えながら私は立ち上がるのだった。
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