06 第三次試練終了
「――面倒だけどしょうがないからこれで相手してあげるよ」
双剣を構え、啖呵を切る私。
その双剣を見て、彼女の表情が急速に変わっていく。
「……その、武器、は……?」
おー……心当たりがあるみたい。
私が召喚した武器――大罪兵器、《スロウス》は私、というか【怠惰】保有者が使うことのできる特別な武器だ。
大罪兵器は、使用する人が確定で大罪スキルを持っているからという理由でのネーミング。
兵器というよりかは武器だけど……まぁそこについての説明をすると長くなりそうだしやめときます☆
誰かがどこかでまとめてくれるはずだろうし……というか私が魔王城のどこかに設定資料収隠してたんだよなー……あれまだ無事かな?
それより今はこいつと戦うのが優先事項。
結果はすぐに分かるだろうし……え? 私のテンションがおかしい?……気のせーじゃない? ほら! 私、元気……ではないね! 眠いよ。すっごく……スキルの効果とは言えキツイ……
てなわけでちゃっちゃと終わらせちゃいましょうか! この長話、飽きたでしょう?
「――んー……えいっ」
右手に持っていた剣をまずベルゼブブに向けて放つ。
もちろん避けられるのは計算済み。だけどその先には――
ドガァン!!
「――なっ!? 貴方、いったい!?」
爆発に巻き込まれ軽く灰っぽくなっている服をはたきながら私に問う。
「んー簡単に言うと剣を投げた瞬間に魔法石人形――あ、さっき爆発したやつね。を同時に投げただけだよ☆」
「……そうですか。そういえばあなたの名前は? 伺っていませんでしたので」
「私の名前? ベルフェゴールだよ。魔王様の役に立ちたいから魔王軍に入った」
大体ホントのことだから。役に立ちたいかどうかは知らないけど。私がやりたいがために魔王軍ライフを満喫したい。そのための……なんだろ? 遊び道具……的な? 言い方は悪いけど。
「そう……ですか。合格です。貴方は私が本気を出しても倒せないほどの力を持っている……今のも、本気じゃないでしょう?」
「ありゃ、バレてた?」
「――それはもちろん……では部屋に案内いたします」
「あれ? ほかの人……魔族、魔人は待たなくていいの?」
「はい、全員第二次試練、地獄の滝つぼ落としで脱落しました」
何それ……地獄の滝つぼ落とし……? こっわ! そんな試練受けたくないって! 第二次試練免除になっててよかったぁ……
悶々と地獄の滝つぼ落としの恐ろしい風景を想像していたら、目の前のベルゼブブとぶつかってしまった。
「ちゃんと前を向いて歩いてくださいよ……もう……はい、ここがベルフェゴールの部屋です」
「すいません……というかここ……魔王城最上階付近では……? ここら辺は地位の高い者しか使用禁止だったような……」
「いいのですよ。詳しいことはまた明日話しますので、今日はもう寝た方がいいかと」
まぁ、確かにさっきから【怠惰】の効果のせいでめちゃくちゃ眠いし……今日はお言葉に甘えて寝ようかな? それに詳しいことは明日聞けるってことだったしね。
「ではまた明日……?」
「えぇ、おやすみなさい」
部屋の中に入ると豪華な装飾のベットや睡眠用具。机やらなんやらがそろっている部屋だった。
生贄にされた村の宿とは大違い……というか比べるのもおこがましいほどだ。
そんなことより私は眠い! てなことでとっとと寝よう!
ふかふかのベットに体をうずめ、意識が遠のいていく――
◇ ◇ ◇
「――起きてください! 今日はやることがありますよ!」
「……んー……あと五分……むにゃぁ……ちょうちょー……食べる?」
意識が浮いている。ものすごく眠い。しかし、職場の上司が呼んでいる。行かなければならない……けど眠い……思考がループしている。
「――はぁ……そのベット捨てますよ?」
「はい! 起きます、起きます! というか今起きましたぁ!」
このベットを捨てられるのが一番つらいため、意識が一瞬で覚醒する。
何だろう。ものすごく自分が虚しく感じる……それより……服は幸い着替えてないからそのままでも行けるかな? 髪は……気にしなくていっか。
「――まったく……やっと起きましたか……今日は魔王様に面会する日ですよ。それに珍しく魔王様が興味を持たれていたので」
「……離してください」
部屋から出てきたのもつかの間、魔王に面会をしに行くという話を聞き終わらないうちに、部屋へUターンしようとしたが、ベルゼブブに腕をつかまれ、阻止される。
いやだぁ! 私はまだ死にたくない!
自由な方の腕を振って、どうにかしようとするが抵抗虚しく私はベルゼブブに引きずられ、豪奢な扉の目の前まで引っ張り出された。
帰っていいかな? 駄目ですかぁ……
ギシィ……
古めかしい音を立て、扉が開いていく。
暗い空間に足を踏み入れる――というか強引に引っ張られる。
ふっと、明るくなり、中央の玉座を照らし出す。
やけに凝った演出だなぁ……私がこういうの好きだからラスボス前とかはこんなものばっか作っちゃうんだけど……
「やぁ、君が今回の合格者にして、異才の少女にして、怠惰の悪魔の名前をかたるもの――ベルフェゴール。そうだな?」
その玉座に座る、漆黒のドレスに身を包み、何色あるか分からないほどの不思議な浮遊体を浮かせている妖艶な女性――……魔王がいた――
地味に威圧感合って怖いなぁ……
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