05 魔王軍面接
長い魔族たちの列は3つに分けられ、番号の書かれた札を振り分けられた。
その番号の近い人と一次試練は受けることになるらしい。
私の番号は1322番で大体ここに来た魔族たちが1500人ほどだったことを考えるとかなり最後の方に試練を受けることになっている。
「それでは1300から1399までの方は会場にお入りください!」
ウトウトしながら順番を待っていると割とすぐに呼ばれた。
やけに大きい扉をくぐり、廊下を抜けると、大量の机と椅子のある部屋に出る。
ここで一次試練が受けられるのかな?
空いていた席に座ると机に一枚の紙が出現する。
「――全員が着席したようなので試練の説明をさせていたただきます。
一次試練は、目の前にある一枚の用紙にある問題を解くことです。80点以上で通過することが出来ます。
もちろんカンニングなどの不正は即失格となるのでご注意ください。また、95点以上が取れた方は第二次試練が免除となりますので頑張ってください」
え! 第二次試練免除!? 何それ超最高なんだけど! よーし、こうなったら頑張って95点以上取ってやろうじゃないですか!
張り切りながら私は、問題用紙を見る。
問一
魔王の学校時代は何部だったでしょうか?
――ぐぶっ!?
もしかしなくても……この問題って、私が過去に使おうとしてボツった案では……!?
他の問題にも目を通すが大体が似たような感じでボツになった案ばかりだった。
何故に?……確かにおまけ要素でこんなものもやったような気がしなくもないけど……
……あ、そういえばおまけのエイプリルフール企画で『ボツネタテスト』なるものをやったな……そういえばその問題文だこれ! つまり楽勝で解けちゃうのでは!? 私まだあの問題文と答え、全部暗記してるし!
そう考えるとすらすらと問題が解けていく。
基本的には選択式だが、所々に交じっている、筆記式の問題も躊躇なく解ける。
そうして、100問ほどあった問題を私は面接者の中でも最速の速さで問題を解いた。
早速、解答用紙を面接官の人に渡すととても驚いたような顔をしていた。
「こんなに早く解けるわけが――……!? なっ、全問回答しているだとっ!?……どうやったのだ……?」
最初はギブアップの誘いかと思ったのか、全回答してある解答用紙を見てさらに驚いていた。
あんまり私をなめちゃいけませんよ?
一抜けで試練をクリアし、採点を待つだけとなった私は、試練会場から、待合室へと移動していた。
んー……することもないしなー……あ、ベットあるじゃん。
よし寝よう。
ちょうど頭がぼんやりして、眠たくなってきたとこだったし……
ベットに勢いをつけて飛び込むと、ふかふかとした反動が私の体に跳ね返る。
そのふかふかに意識が吸い込まれ――
◇ ◇ ◇
「――第一次試練の結果が出ます! 第一次試練の結果が発表されます!」
けたたましい鳥の声に目を覚まし、あたりを見回す。
休憩室のベットで寝て……で、試練の結果が出るからと起こされた……てな感じでいいのかな?
うー……まだ頭がぼやぼやする……後でじゃダメかなぁ? 結果なんて……あ、でもこれ80点以上取らなきゃ不合格で落ちるのか……
渋々結果を見に行くと私は100点を取っていた。
よっし! これで第二次試練免除&もしかしたらだけど初の満点になるんじゃないのかな? 目立つのは面倒だけど……
私のほかにも残っているのは50人ぐらいだろうか、かなりの人数がこのテストで落ちたらしい。
まぁ、あんな意味の分からない問題だされたらそりゃ困惑しますよねぇ……
「第二次試練が免除された方は早速最終試練に挑戦してもらいます! それでは左の扉から会場にご入場ください!」
え? 休めないの?
マジで?……ふざけんなと言いたいところだがまぁ面倒ごとは早く終わらせるべきだろう。
そんなことを考えつつも私は扉をくぐったのであった――
◇ ◇ ◇
「―—貴方が初の第二次試練を免除した子ですか? かなり若いですね……」
扉の先には一人の女性がいた。
その女性は不思議な形をした布製の仮面のようなもので両目を覆っている。
更にドレスの胸元には蝶の形をしたかなりの大きさの金属製の装飾が施されている。
この人が面接官の方かな?
「あぁ、私の名前は【大罪幹部】ベルゼブブと申します。私が今回の試練の担当をするのでよろしくお願いします」
「あ、はい……よろしくお願いします……」
かなり丁寧な人だな……この人ならうまくやれるかも? 礼儀正しいし。
――ん?【大罪幹部】? 今この人、大罪幹部って言ったよね?
【大罪幹部】っていうと私が設定した魔王配下の最高地位で、【大罪スキル】を所有するものしか入ることのできないところでは……
ハッタリの可能性……はないだろうなぁ……名前が暴食の悪魔、ベルゼブブだし……じゃあスキルは【暴食】なのかな?
「――まぁ長話をするのもなんでしょうし、早速、試練を開始いたしましょう。第三次試練は、私と戦い、私を降参させることです」
「――へ?……ってあっぶ!?」
言いたいことはもうないとばかりに私に急接近し、いつの間にか彼女の両手に握られていた、食事用ナイフで首元が斬られそうになるのを体ごと後方に飛ぶことで避ける。
狙いは相手が疲れるのを待ってひたすらに避ける! 以上! 無理に戦うのは疲れるし面倒! 面倒なことはパスする! それが私!
「――ほう、今の攻撃が避けられますか……でも安心はしないことですね、まだまだ行きますよっ!」
更に飛んでくる食事用の――フォーク!? いやフォークは投げちゃ駄目でしょ! スプーンはさすがに使えないかもだけど! フォークはナイフよりも凶器だって!
あの先っちょ絶対痛いやつじゃん! 私まだ死にたくないですぅぅ!
更に飛んでくるフォークやナイフをどうにかして避けたり弾いたりすること数十分。
そろそろベルゼブブも限界が来る頃だろう。
「……すいません、一つ補足事項があります。40分以内に私に降参を言わせないと、失格になりますのでお気を付けください。そして残り5分ほどとなりました。さて、どうします?」
……マジかぁ……そのルールもっと早く教えてほしかったなぁ……それだったら最初っから頑張ってたのに……
多分相手は私が本気を出すのを望んでるのかな?
ま、本気を出したら魔王城ごと吹っ飛ぶからやだな……となると武器だけ……
「――《大罪兵器開放》、《スロウス召喚》……しょうがないからこれで相手してあげるよ」
私の両手に握られていたのは、禍々しさを様々なところから放つ双剣だった――
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