04 VS宝石の蜥蜴
「はぁ……面倒だけど……討伐してあげるから出てきな? 宝石蜥蜴」
「フシャー……フシュ―……」
いかにも当たったらやばそうな瘴気をまき散らしながら、その名の通り、宝石のような体をくねらせる宝石蜥蜴。どちらかというとその姿は蜥蜴というか蛇に近い。
なんで蜥蜴なんて名前つけてんのかな? 今すぐ宝石蛇に改名しようか。
「はぁ……にしてもこいつが興味あるのは、宝石だから――『覚醒』を消費、大地に付与。で、作るのは――」
青白く地面が光り輝き宝石蜥蜴よりも大きな魔法陣が作られる。
ここは、村から離れててなおかつ開けた場所だったため、運よく展開することが出来た。
魔法陣の中から出てくるのは、特殊な魔力のこもった魔宝石で作られた、ミニサイズの人形だ。
私が戦うのもなんかつまらないので、代理の人形たちに戦ってもらうとしよう。
このイベントは魔王の前のラストのサブイベントのボス魔物に設定していたやつだ。
動きやスキル、様々なものを凝って作った魔物だ。その動きを制作者である私が忘れるはずがないであろう?
宝石蜥蜴は人形たちが自身の好きなものである宝石で作られたのを確認したのか一気に襲い掛かる。
けど残念。その人形は――
ドガァン!
襲い掛かった人形に宝石蜥蜴が触れた途端に爆散し、その破片が自身の皮膚に突き刺さり、大量の擦り傷を作る。
そのことに理解が追い付いていないのか、さらに人形に襲い掛かるが、片っ端から襲い掛かった人形は、爆散・爆発していき、さらに蜥蜴の混乱を深めていくことになった。
「――制作者命令:敵のもとに行け」
この人形にはある程度のプログラムが仕込まれており、製作者の命令には絶対に従うようになっている。
そして敵のもとに向かったものから、爆発。その爆発で回りにいた人形たちの誘爆が起こり、さらに爆発は過激さが増していく。
そして、私の召喚した約500体もの魔法石人形が爆散した。
「さて、蜥蜴は――まだ生きてる……しぶといし、しゃーない。私がとどめを刺すか……」
「――ガ……グ、ァ……ガギャッヅ!—―……」
創造の力で具現化した黒剣を使いどの魔物にもある急所――核を突き刺す。
黒焦げになった宝石蜥蜴は一度、痙攣し、その後すぐに動かなくなった。
この素材は何かに使えるかもだから、死体ごと持っていこうかな?
さて……疲れた……もう町に戻ろう。
いやー生贄になったはずの私が生還してきた時の村人たちの反応が楽しみだなぁ
少し遠いが町の明かりが見える方向へと私は戻っていくのであった――
◇ ◇ ◇
「――なっ!? 貴様! 死んだはずでは! どうやって生還してきたのだ!?」
「おー……割と予想通りの展開。あの宝石蜥蜴なら私が倒しましたよ?」
「はぁ? 貴様みたいな小娘があの討伐ランクAの宝石蜥蜴を倒せるわきゃねぇだろ! なあお前らよぉ!?」
体格のいい男が私に詰め寄ってくる。
逃げ帰ってきたって思われてんのかな?
「うっわぁ……年齢だけ見てそんな差別してくるとかよくないって知ってますかぁ?……はぁ……召喚魔法〈転移〉」
煽ってくる奴らには、事実を見せつけてやればいい。
というわけで、森から運んでくるのが大変だったので、自身のふれたものが自分の目の前に転移させることのできる魔法で、召喚する。
「――これは……くすんでるが、宝石蜥蜴の死体……どうやってこいつを討伐した? そもそも貴様には拘束具をつけていたであろうが!?」
なんかエラそうな態度してんなー……この男。
「それは私の頼れる……魔道具を使ってね。この子、触れた相手を爆発させる能力があるからそれを使って倒したんだ」
創造の力で蜥蜴を倒した時に使った、魔宝石人形を見せてやる。
それを見た村人たちは驚いているがどこか納得したような表情を浮かべた。
「――貴方は、最近遠くの王都で召喚されたと噂の勇者様方のおひとりですか?」
あー……勇者だと勘違いされたかー……あながち間違ってはいないんだけどさ……
「いや、それは人違いだと思いますよ? 私は数年ほど前からこのあたりで旅をしているので」
「そうですか……ではこれまでの無礼をお詫びし、宝石蜥蜴の討伐記念の宴でもやっていきたいと思うのですがいかがでしょうか?」
「あー……了解しました。でも私は明日には旅立たないとなので、あまり夜は長く宴に混ざってはいられませんが……」
「大丈夫です! 我々も寝るのが早い者ばかりなので! では早速準備をしてまいりますので、宿屋で休息をとっておいてください!」
それだけ言うと男は走り去っていってしまった。
さっきのやつが長老だ。長老ってなんだっけな?
ま、私が設定したんだけど。ネタが欲しくて……それよりも私はふかふかのベットで寝たい。宿屋に戻ろう。
◇ ◇ ◇
宴はとても楽しかった。
美味しい食事に子供たちとの戯れ、後、宿屋の娘さんとか、私を生贄にした人たちが謝りに来てたな。
それだけ切羽詰まってたってことだから、今回は許した(次はないと、強めにくぎを刺しておいたからどうにかなると信じたい)
というわけであっという間に夜は過ぎて、面接の日になった。
ここで果たして私は、働くことが出来るのか――
そんな思いを胸に私は魔王城の門をくぐったのだった――
意外と人……じゃなくて魔人が多いな。
やっぱり魔王軍は人気だね!
本編で説明するの忘れていたと思うので主人公の見た目解説(箇条書き)
・太ももあたりまである髪を後ろで緩く二つに結んでいる
・【怠惰】スキルを使った後の見た目の変化により、自分から見て左側は前髪で覆われている
・服は暴食のベルセルクのマインみたいな感じ(大体で丸パクリというわけではない)
他にも見た目に関しては書きたいものがあるかもしれないため逐一追加していきます!