12 首が物理的にも精神的にも飛びかけた今日この頃私は元気でございまする(報告ミスはやめよう)
「……いやー……マジで怖かったー……ね? ベルゼブブ?」
「えぇ……今でも震えが止まらないなんてそうそうないですよ……?」
何があったのかを説明しよう。
魔王城に帰りとりあえず夜も遅かったので、部屋の高級ベットで寝た。
で、翌日、まだ目覚めない、マモンをタンカのようなベットに乗せて魔王様のもとへと連れて行った。
ついでに証人としてグリードも連れて行った。
そこまではよかったのだが、彼らが【強欲】だという事の説明をすっぽかしてしまい、そのまま報告を続けたら、魔王様にマジ切れされかけた。
急いで報告したら実にいい笑顔で許された。
これは後々面倒ごとを押し付けられるな……
そう予感してしまった……
ま、自分が悪いし働きはするけどね!
報告ミスはやめよう!
そして、グリードはマモンが主人のため、マモンが目覚めない限り、どうするかが決められない。
そのため、とりあえずとして、魔王軍に仮採用された。
「遊び人」はどうするのか聞いたところ、
「あー……あれはまぁマモンがやりてぇって言ってたからやってた、趣味みたいなもんだ。休暇届でも出せば問題ねぇさ」
と返された。
そんな簡単に休暇届って出せるものなんだ……
てか、休暇届って存在したんだあそこ……完全ブラックかと思ってた……
「……けどよ、お前はいいのか?」
「心配無用。別に問題ないよ? 分身体作って働かせてるから」
「んだよそれ……チートじゃねーか!」
「ずるいとか言わないでよ? これは私のスキルの権能だから。問題は別にないの!」
「そーいやお前ってスキル何なんだ?」
「あれ? 言ってなかった?」
「あぁ、【大罪幹部】の【怠惰】って地位についてるぐれぇしか聞いてねぇよ?」
「え? 気づいてない? 【怠惰】だよ、私のスキル」
「は? いやでも怠惰は……いや」
「それってどういう――」
「仕事の割り振りが出来たので来てください!」
ベルゼブブがグリードと私を呼んで、そこで会話をぶった切られた。それ以降、この話題はなくなった……というか、聞いてもはぐらかされるだろうから聞いていない。
でもなんでみんな【怠惰】に反応するんだろう?
別に問題ないはずなんだけどな……
◇ ◇ ◇
そこからはしばらく、書類仕事に明け暮れる日々が続いた。
これが日常だというのだから仕方がない。
しかし、この書類の量は異常すぎる気がする。
何でこんな大量に存在するんすかね……
ガラガラ、ドッガァン!!
「ふぁっ!?」
両横開きの扉から絶対に出されてはいけないような音が鳴り、何やら走ってきたのか息切れを起こしている、グリードがいた。
「ぜぇっ、はぁ……マモンが目覚めた! 早く来い!」
「えー? 急がなきゃダメ?」
「覚えてねぇのかよ! マモンが目覚めたら、魔王のもとへ行くって話になってただろ!」
「あー……そうだっけ……? そうだったら、行くわ」
~しばし走ること数十分~
「……あ、こんにちは……えっと、マモンがお世話になってたみたいで……」
「あ、あぁ、いや、全然、私の管轄じゃなくて、ベルゼブブが担当してくれたし……ぜぇ……はぁ……なんでこんなに遠いの!? 医務室!」
「……まぁしゃーねーだろ……にしてもあの仕事はなかなかにだるかった……」
「な、なにを……やらされて……?」
「ん? あぁ……いや、言わない方がいいな……」
仕事の内容は大変気になるのだが、遠い目をするグリードが可哀想なため、聞くのはやめておいた。
私には良心ってものがあるんだよ!
「で……これから魔王のままでダッシュ?」
「……あ、あぁ……そういう事だな……」
グリードの顔はかなり引きつっていた。
まぁそれはそうだろう、私も同じだ。だって、ここまでダッシュしてきたんだよ!?
……まーた走んのかよ!
てなわけで、城内ダッシュ!
え? マモン? あー……まあいいんじゃない? え? 病人を走らせるな? なら、グリードが背負えばいいじゃーん!
そんなこんなで、城内をダッシュする女子(【大罪幹部】)とチャイナ服を着たサングラス男が同じような見た目をした男を担ぎながら走るという謎光景になってしまったのだが気にしない!
私より、グリードの方が目立ってるもんねー!
◇ ◇ ◇
「……なぜ城内を走ったのかは聞かないでおいてやるが、あまり廊下は走るなよ?」
「あっ、はい」
そんな学校みたいな注意を受けるとは……
「よし、では話を聞こうではないか、マモンよ」
「ひぃ……はっ、はい……こんなのでもよろしければ……」
そこからしばらく尋も……じゃなくて、質問が続いた。
前に私たちがお茶会で話した内容とほぼほぼ同じだったため、ここでは省いておく。
「――ては、マモン。貴様、【強欲】スキルを持っているとベルゼブブからは聞いたが――」
「が?……何ですか……?」
「貴様、本当に、持っているのか? 証拠を出してみよ。そうじゃな……うむ! ベルフェゴールの素性でも探ってみろ」
「……そんなに疑われますかねぇ……まぁ、いいですけど」
マモンは何度も繰り返されたであろう質問類に途中から飽きてきていたのか半開きになっていた眼を見開いたとたん、彼の目がサングラス越しに赤く光り輝く。
「……名称ベルフェゴール、性別女、年齢17、好きなものは読書、寝ること、甘い物など、苦手、嫌なものは塩分過多の食べ物、学校……?、黒歴史は、頭のおかしい単語を施設の人に見られたこと。例を挙げると――」
「ちょっ! やめて!? 黒歴史暴かないで!? つーかなんでそんなことまでわかるわけ!?」
「もうよい、辞めてやれ、さすがに可哀想だ。それに貴様が本当に強欲スキルの持ち主だという事もわかったしな。そこで改めて聞こう。お前は【大罪幹部】という地位が『欲しい』か?」
「……まぁ、ぶっちゃけるとそこまで……ですけど……ただ、『贈与される』なら『欲しい』です」
「そうか、ならよかろう。これからマモン――お前には【大罪幹部】の【強欲】の地位を授けてやろうではないか」
「――はい」
「そしてグリード、お前はマモンの補佐に着けてやる。二人でしっかり仕事をしろよ?」
「へぇへぇ、分かりやしたよ……マモンと一緒ならオレには異論はないです」
そんなやり取りもあり、二人が魔王軍入りしたのであった――
◇ ◇ ◇
二人が魔王軍入りしてから、二週間ほどたったころだろうか。
私は今日も今日とて書類仕事にいそしんでいた。
ドガッ! ガンガラドン!
「ねぇ、明らかに今、ドアからなっちゃいけない音したよね!? ドアの修繕費高いんだけど!? 誰だよ! またグリード?」
またもや派手な音で開けられた扉(ぐしゃぐしゃの半折れ状態)を横目にしながら、部屋に入ってきた人物を見る。
「ってあっれぇ……マモンじゃん。どうしたの?」
「――……グリードが攫われた」
え?
「面白かった!」
「今後どうなるの……!」
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デジタルイラスト……描けない……アナログは色塗りミスったら修正できない……何だこれ……なんでマーカーで塗ったんだ自分……
※時々主人公が勘違いしているのは、設定とかビジュアル設定を途中まで練って、放置→ボツにしたからです。
だから忘れている物もある! だって、人間だもの
そしてやっと動き出した状況。