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獣人ニケ

デュエルで負けた獣人はまだ、道にうずくまっていた。彼女の名前はニケ。ニケは悔しさから涙を流していた。

今日はもらった金で宿にでも泊まろうかな。

まあ、そのうち彼女でも作ろう。

そんなことをぼんやり考えていた。

「あっ」

来た道に獣人の彼女がまだうずくまっていた。もしかして死んでしまった?

おれは慌てて駆け寄ると。

彼女は泣いていた。

「君大丈夫か?」

「お兄さん……。」

「ああ、大丈夫か?」

「私負けて。」

負けてからずっとここで泣いていたのか。

コクリとうなずく。

「実は今晩泊まれる宿を探してるんだけど。」

「来てくれるんですか?」

俺は彼女を抱き起して手をつないで夕暮れの道を歩いた。


泣き止んだ獣人の少女はニケというらしい。俺に気前よく部屋を提供してくれた。

「あまりきれいな部屋じゃないですけどどうぞ。ベッド使ってください。私は床で良いので。」

「ええ、それはちょっと。」

「いいんですよ。来てくれただけでうれしいっす。」

「ケンタさん。負けた私でよかったんですか?」

「別に気にしてないよ。」

「ニケは一人暮らしなの?」

「そうっす。なかなか彼氏が見つからないっす。」

「この世界女性の競争激しそうだからなあ。」

「自分の場合体が小さいのでデュエルは苦手っす。魔法なら使えるんですが。デュエルでは使えないんですよ。」

「そうなんだ。」

「魔法使うと死者が出ますから、危ないですし。」

「なるほど。」

「ケンタさん彼女は何人目なんです?」

「まだいないよ。」

「ええいないんですか?」

「今日転移したばかりだから。」

ニケは料理をしながら俺との会話を楽しんでいるようだった。

「それは声をかけてよかったっす。」

「一人目がニケだった。」


俺はベッドで横になりながら天井を見上げた。

今日一日過ごしてみて、この世界は彼女を作ることで苦労することはなさそうだ。

そして、仕事も彼女に任せてぶらぶら遊んですごすことも出来そうだ。でも、それもまた味気ない。結婚相手も自分で探したいし。すこし旅に出るのもいいんじゃないか。

「ご飯できたっす。口に合うといいですが。」

「ありがとう、頂きます。」

何かの焼肉とジャガイモの付け合わせだった。

肉はたれが効いていてなかなかに上手かった。

「この肉料理上手いね。」

「ほんとですか。」

「たれがいい感じだ。」

「うれしいっす。」

きっと、恋人同士で食事をするってこんな感じなんだろうな。

「兄さんはなんで戻ってきたんですか。この国だと負けた女は捨てられるのが常識です。」

「なんでだろうな。彼女とデートしてる時も気にはなっていたんだよ。」

「そういう人は珍しいです。」

「そうなのか。」

「それがデュエルです。負けたものは持っているものも奪われるのです。」

「すごい世界観だな。」

「月間デュエルにもそう書いてあります。」

そういうと彼女は雑誌を見せてくれた。デュエルと書かれた雑誌には男受けする服や香水、美容法、デュエルの戦い方指南。トレーニング指南が書かれていた。女性向けとは思えないタイトルの雑誌には、この世界の過酷なモテ指南が書かれていた。

「この世界だと女の子は大変だね。」

「そうですね。なんせ男性が少ないっすから。」

俺も日本での婚活アプリや結婚相談所での惨敗を思い出して彼女に同情せずにはいられなかった。そう、婚活って大変なんだよ。


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