ギルド1
中には昼間からお酒をのむ男たちと付き添いの女たちであふれていた。職業あっせん所とはいえ飲食店も兼ねているようだ。
「職業コーナーは向こうです。」
俺たちは酒を飲んでいる男たちと。席に座らずに立って周りを警戒している女たちの間をぬけ。
ギルドの求人コーナーにたどり着いた。
男性向け求人と女性向け求人があり女亜人たちが仕事を探している。
「ケンタさんこんなのもありますよ。男性限定、役場の管理職のお仕事です。」
「いきなり管理職なの?」
「ええ、この国では男性は少ないので管理職になることが推奨されてます。」
この世界は男であるというだけで大分下駄をはかせてもらえるようだ。
「まあ働かずに後ろの人達みたいに妻たちに働かせて昼から酒を飲むのもアリです。」
確かにああいうのも悪くないな。
けれど、せっかく新しい世界に来たんだ。冒険をしてみたい。やはり異世界と言えば冒険者だろう。指輪で5人と契約し協力しながら冒険をして世界を救うというのも悪くないな。
「冒険をしてみたい」
「冒険者ですか」
「ああ。そういう仕事ってあるのか?」
「冒険者の場合、女性向け求人のクエストをこなして街を転々とすることになるっす。」
「ああそういうシステムなのな。」
「そうっす。」
だとしたら仲間になってくれる冒険者を探さないとな。
「求人を出すことはできるのか?」
「もちろんす。冒険の仲間を募ることもできます。」
「じゃあそれを出そう。任せていいか。」
「わかったっす。」
ニケは受付に書類の申請にいく。俺はこの世界の男達と話してみることにした。この世界にはまだまだ知らない常識や慣習が沢山あるに違いない。
「あの、楽しんでいるところすいません。新米の転移者なんですけど。」
「オー兄ちゃん新人かい。まあ座ってくれよ。歓迎するぞ。」
男は席を指さし座るように合図した。
「おいねーちゃん。彼に酒と、それから肉の燻製を3人前だ。」
そうウエイターの娘にいうと俺の肩をポンポンと叩いた。
「どうだいい世界だろう。男の楽園だよな。」
「そうですね、まだ慣れませんが。」
「嫁が稼いで俺は適当に働いて家事も子育てもすべて女がやってくれる。」
「逆に男は何をするんですか?」
「なにも?だから昼間からこうやって酒を飲んでいるというわけだ。」
「ちなみにこの酒代も……。」
「もちろんこの女のおごりさ。」
そういって後ろの美女を指さす。色黒で長髪のスレンダー美女だ。それでいて体は引き締まっている。美しさと強さを兼ね備えたような体つきだ。おそらくデュエル対策だろう。
「はい、お兄さんの分も私が払わせてもらいます。」
「いいんですか?」
「もちろんです。男におごるのが女の甲斐性ですから。」
本当にこの世界の女性は自立してるな。現代日本との価値観の真逆さに毎回驚かされる。
「この世界だとずいぶん男であるだけでメリットがありますね。」
「そうとも、男であるだけで働かなくていいし、毎日遊んで暮らすことも出来る。仕事も安全な仕事が多いな。あとは好きな時に離婚して女を入れ替えることも出来る。」
「そんなことができるんですか?」
「嘘だと思うかい?」
もう一人の男が俺に尋ねる。まあにわかには信じられないな。
「おい、お前は離婚だ。」
「えっ??」
後ろで待っていた色白の美女が突然動揺する。
「待ってください。私に何か至らない点でも……。」
「お前はよう済みだ。契約解除。」
そう彼が指輪に向けて唱えただけで彼女の方の刻印が消えていく。
「そんな……。」
「なあ兄ちゃん離婚は男の側から一方的にできるんだすごいだろう。」
「ちょっと待ってくださいよ。さすがにそれは酷くないですか。」
「少しでもむかついたらこれでいいんだよこの世界は。なんせ女なんて吐いて捨てるほどいるんだからな。」
「ご主人様まことに申し訳ございません。もう一回チャンスをください。」
「ったくしょうがねえな。今以上に金を稼いで来いよ?」
「はい、何でもします。」
エルフは泣きながら懇願する。色白の巨乳エルフは必死に彼に縋りつく。
「結婚契約。
そう指輪にいうと再び文様が腕に現れる。
「こうやって簡単に離婚も結婚もできるわけよ。」
「あと、女同士を交換したりしてもいいことになってる。」
「友達の女と仲良くしたいなら話し合って借りれるのさ。」
「そんなルールが。」
「ああ、じっしつ浮気し放題だな。」
どうやら男尊女卑では説明がつかないくらい男に有利に作られた社会らしい。しかしどうしてこんな世界になったんだろうな。
「そういえば王子の第三妻が募集されたんだってな。」
「ああコロッセウムで大会が開催されるんだよな美しく強い女たちが命がけで男を奪い合うんだ。あれは見ものだぜ。男は女2人まで連れて入れる。」
「デュエルの大会か…」
この国を知る上では見に行くのもいいかもしれない。
「ケンタさん手配しておきました。」
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