街中
俺は日の光を浴びて目を覚ました。確か昨日はニケと抱き合いながら寝てしまったのか。
「おはよっす」
「おはよ。」
「朝ごはんは食べますか。」
「ああ食べる食べる。」
「ちょっと待っててくださいね。」
台所で調理するニケを見ながら、もし結婚してたら新婚生活ってこんな感じなのかなと思ってしまう。日本では実現しなかった夢。
「異世界一日目にして夢がかなうとはな。」
なんかそう考えるとおかしくなってきた。
食卓にはベーコンエッグの様なものとパンが並ぶ。ベーコンは何のベーコンなんだろうか。この異世界の野生動物とかだろうか。
「今日は何処かいくんですか?」
「今日は街をブラブラしてみようかと思うんだけど。」
「男一人で女を連れずに街を歩くのは危ないですよ。」
「なんで?」
「時々もてない女にさらわれたり無理やり結婚させられたりするっす。」
そんなアホな。言おうかと思ったが昨日の街を思い出すと、この国の女たちならするだろうなと思った。確かに男に飢えた女なら誘拐くらいはしかねないな……。
「今日は一緒に出掛けませんか?指輪をつけずに女を連れてれば安全っす。」
なるほど、確かにニケが付いてきてくれると色々楽だな。
「おいしい店しってるんで、ご馳走しますよ。」
「えっおごってくれるの?」
「もちろん。女の常識です。」
この国だと女が男に食事をおごったりするのが普通なのだろうか。そういえば、昨日のエルフ族もおごってくれたな。
「じゃあ、今日は街を案内してほしい。まだ二日目だから。」
「了解っす。」
彼女は金貨を棚からだし、嬉しそうに尻尾をふっている。きっとデートとかするのも、久し振りなんだろうな。ニケくらい可愛くても、この町は割と美形が多い印象なので結局は奪い合いになってしまう。そうなるとデュエルになってしまうのだろうな。
「ん?何やってるの?」
「月間デュエルのトレーニングっす。今日は足を鍛える日っす。」
そういえば、ニケの足力が入ってないときは柔らかいけど、力を入れると引き締まってたな。
「タックルや締め技の時に足の内側の筋肉は大事っす。」
「はあ、すごい努力だな。」
この世界の女性は美容も格闘もトレーニングも仕事も求められるものが多い。日々が女磨きのようだ。
「そろそろ行きますか?」
「ああ。」
俺はニケと共に王都に繰り出した。
街に出た俺は行く先をニケに任せてついていくことにした。ニケは嬉しそうに尻尾を振って笑顔だ。
「ケンタさんは何かやりたいことはありますか?」
「やりたいこと?」
「仕事とかです。公務に関わる仕事や経営幹部なんかの仕事をあっせんしてくれるところがあるっす。」
「ちょっと見てみたいな。」
「了解っす。職業ギルドにいくっす。」
よく異世界ファンタジーにある職業あっせん所みたいなものだろうか……。
この世界を知るうえでギルドを見てみるのはいいかもしれない。
「ここっすよ」
「ここがギルド……。」
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