52話 学校へ
翌朝、ルーはアレキサンダーの元へ赴いていた。
訓練場に入ると、すぐに見つけることが出来た。
「アレキサンダーさん!」
声をかける。
ルーに気付き、近づいてくる。
「決まりましたか?」
「はい、その学校に行きます。家族の為に」
アレキサンダーはルーの肩に手を乗せる。
「その意気です。それさえ忘れなければ、きっとどこにいっても上手くいく。そうと決まれば、カスパール殿に伝えなさい。話は私からしてありますから。そして、少々お待ちください」
そう言って、奥の倉庫に入って行く。
戻ってくる時、その手には、何か破片の様なものを持ってくる。
「なんですか、これは」
「これは、魔力を吸う壺の一部。正確には、魔力を無理やり引き出す性質を持つ金属が入った板です。いつでも思い出せるように餞別ですよ」
「おお!ありがとうございます!」
かつて、ずっと壺を抱えていた修行を思い出す。
「今生の別れではないですから、この位にしておきましょう。いざ魔王と戦うとなれば嫌でも会うでしょうから。それと、なにか困ったら、すぐ戻ってくるんですよ?」
「はい。お世話になりました」
深々と頭を下げる。
そして、訓練場を出た。
メルキオールの研究所に戻ったルーは、カスパール達に、全てを話した。
準備が出来次第、祠を抜けた時の様に、移動するとのことだった。
四人で一緒に食べる最後のご飯だと、メルキオールの奢りで食事をした。
出発の挨拶を済ませ、祠へと向かう。
―随分と懐かしく感じる。
この中王国に来てひと月すら経っていないが、大分長い時間を過ごした様な感覚だ…。
祠に到着し、中に入る。
日差しが無い分、ひんやりとしていて、心地が良い。
「これを抜ければ、すぐに魔法学校に着ける。準備はいいかの?」
「ええ、別れの挨拶も済みました」
「よし、では行くぞ」
カスパールは杖を取り出し、祠の水をかき混ぜていく。徐々に濁っていく。
ひとしきりかき混ぜ終え、杖をしまう。
そして、水に体を沈めていく。
ルーもその後を追って入る。
通り抜けた先は、大きな部屋の様だった。
 




