50話 目覚め
次の瞬間二人は目を覚ます。
「お互い、しっかり話し合えたかな?」
ドラクエルが問う。
「おかげさまで、父の本心が分かりました。ありがとうございます」
ルシウスはすぐさま立ち上がり、深く礼をする。
アスランも同様に礼をする。
満足そうに見つめ、ドラクエルは言う。
「そうか、それは良かった。ニコラスもルスも、後継者に恵まれて良かった。今となっては、それは君たちの力だ。成すべきことの為に使うと良い」
二人は力強く頷く。
カリンとアキラも二人の変化を感じ取っていた。
「二人とも顔つき変わったね」
「ああ、更に心強い味方になったと思う」
心なしか、漂う空気感も多少変わった。
特にルシウスからは自信を感じる。
それから一行は、ブラッドに見送られ、飛空艇の戻った。
「また、困ったことがあったら尋ねるといい。ヨ―フラムは、こちらでなんとかしよう。君は自分の信じた道を行け」
「なにからなにまでお世話になります」
「君にはドラクエル様も期待している。頑張れよ」
ブラッドは優しい笑みを浮かべる。
―父と同じ、優しい人だ。
ルシウスの目に熱いものがこみ上げる。
「行ってきます」
それだけ伝え、飛空艇に乗り込む。
一行はいよいよ東国を目指す旅に出るのであった。
ドラクエルも、その様子を窓から眺めている。
しばらくして、若い衆を一人呼ぶ。
「お待たせしました。ドラクエル様」
「タブーに伝言を頼む。ルスが残した双子について話がある。そう伝えろ、頼むぞ」
「直ちに」
瞬間、男の輪郭はぼやけ、すぐに霧と化した。
「魂だけになっても魔王と戦うなんて、お前らしいな。腐れ縁だ、俺も最後まで付き合うよ、ルス」
アスランに宿る親友を思い出し、独り言つのだった。
 




