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パンゲア書記  作者: 武蔵野紫村
2章 集う
46/56

46話 歓迎

外套に隠されていた男達の手には鋭い爪が備わっている。

カリンに向かっていく男は右手を振り上げ、叩きつける様に下ろす。

カリンは身を捩り、回転しなから右の踵で男の腹部を狙う。

男は後ろに飛び退いた。

ーさすが魔族ってとこ?

カリンの目はいっそう鋭さを増していく。

一方のアキラは、相対する男の手を斬る勢いで、刀を振り上げる。

男は魔力を纏い、切断は避けたが弾かれる。

すかさずアキラが追撃放つが、凄まじい反応で避けていく。

「やるなあ、お前」

口調は強気だが、額に汗の筋が出来る。

アキラは何か違和感を感じ眉をひそめる。

今度はアキラが仕掛ける。

流麗な剣技は次々と男に迫るが、全て紙一重で躱されている。

…こいつら、やけに守りに徹するな…。

再び向かい合い、間合いを図る。

横では、カリン達が体技の応酬をしている。

が、こちらも男は最初の様に積極的に攻撃しない。

「埒が明かないなあ…」

カリンは苛立ちを見せ、纏う魔力を強める。

「ちょっと本気で行くよ!」

眉尻を上げ、口辺を上げる。

そして、顔の前で両腕をクロスさせ、薄い膜の様に魔力を纏う。

「うろこ…?」

カリンと相対する男は呟く。

そして、高まる魔力を感じ、自身もブラッドの様に、表皮を黒くする。

互いに拳を握り、急接近し、ラッシュを放つ。

残像が見える程の速さで殴り合う。

それを横目に、アキラは言った。

「こっちも本気出すか」

髪をかきあげ、刀身だけでなく全身も纏う。

男は本能で恐怖を感じる。

次の瞬間、

「すまん!俺の負けだ!」

両手を合わせて必死にアキラに懇願する。

「なんだと?そっちが仕掛けて来たのにか」

アキラは見るからに不満そうだ。

「実は、ブラッド様に手練れっぽいから相手をしてみろって言われてて…仕方なく」

既に魔力を解いて、座り込んでいる。

カリン達も、戦闘を止めている。

「さすがに、死の危険を感じたからギブします…」

二人はさっきまでの殺気を放っていた時とは打って変わって、素直な印象を与えている。

「どれくらい戦えるか確認したってことだよね。どうだった?」

カリンは猫の様に目を輝かせながら聞く。

「どうもなにも、まだまだ余力ありそうだし…ブラッド様くらい強いかも」

「おお、そんなに認めてくれるの?ありがと」

カリンの笑みに、男たちの頬が紅潮する。

「今のは聞き捨てならんな」

いつの間にかブラッドが四人の側に現れていた。

眉間に皺が寄っている。

男は慌てた様子で弁明する。

「いや、今のは言葉のあやでして、許してください!」

「冗談だ。気にするな」

ブラッドが微笑む。

「それはさておき、君たちの連れは用事の真っ只中だ。部屋に案内することも出来るが」

「行ってもいいのか?」

「ああ、構わん」

「では、案内をお願いしよう」

「ああ、ついてこい」

ブラッドは、アスランとルシウスの時と同様に、階段を上がる。

カリンとアスランはその後をついていくのであった。


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