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パンゲア書記  作者: 武蔵野紫村
2章 集う
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44話 空旅

アスランは目が覚めると、机に書き置きを見付けた。文字は読めないが、フランチェスコがいないことを考えると、すぐにピンときた。

ルシウス達が起きるのを待って、読んでもらいフランチェスコの心の内を知った。

表面には出さなかったが、思う所はそれぞれにあった。

激励の言葉を見て、改めて気を引き締めて、飛空艇の所に行く一行であった。


すでに他のメンバーは集まっており、ロタリオも水晶の感覚を調整している。

アスランは飛空艇に乗り込む。

中は二階層構造だった。荷物を置く一階に、各々が待機する二階部分となっている。

二階では、ガラスが前面にあり、その目の前に地図やら水晶やらが置いてある。

ロタリオとコラソンが水晶とにらみ合いをしている。

「順調そうか?」

アキラが問う。

「ああ、なんとかな。良い船だし水晶の質も最高だが、どうしても調整は必要だ。まあ、任せとけって。こいつもあるしな」

ロタリオが、高そうな酒瓶を持ち上げ満面の笑みを見せる。

「安全運転でお願いしますね」

コラソンが釘を刺しながら言う。

「それと、皆さんには空路でも体が鈍らないように、後方に訓練室を設けました。後で見に行って下さいね」

「おお、本当ですか!」

食い気味にルシウスが言う。

「思ったよりも体を動かすっていいですよね。ずっと屋敷にいたらこんなに動くことないですから」

「じゃあ、私が鍛えてあげる」

カリンが微笑む。ルシウスの吸収が早く、教え甲斐のある生徒だった。

「では、そろそろ行きましょうか」

コラソンの言葉にロタリオが頷く。

目を閉じて、両手を水晶に合わせる。

淡い光を放った瞬間、浮遊感が全身を襲う。

前面のガラスから覗く風景が下に流れていく。

「すっげえ!」

アスランは思わず叫んでいた。

カリンもルシウスも目を見開き、驚きを顕わにする。

瞬く間にアイセンブの街並みが小さくなっていく。

「ようし、ひとまずは問題ねえな。しっかし、この船悪かねえな。あっという間に着くぜ」

ロタリオが言うや否や、飛空艇が傾き、前進する。

すぐに勢いに乗り、ぐんぐん進む。

初めて飛空艇に乗るアスラン達はまるで子供の様にガラスに食いついている。

これまで馬車で来た道を信じられない速度で逆走している。

―なるほどこれは、商業に有利な訳だ。

ルシウスは感動しつつも、冷静に飛空艇の素晴らしさを考察する。

アキラはガラスの外よりも、水晶に釘付けだった。

魔法陣が内部に渦巻いている。

―きわめて複雑な構造の様に見えるが、おっさんはこれを一晩でやったのだ。

改めてその才能の片鱗を見せる。他の設計士らが嫉妬するのも納得だった。

それから、アキラもガラスの外を眺めて流れる風景を楽しんだのだった。


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