表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンゲア書記  作者: 武蔵野紫村
2章 集う
32/56

32話 天使

ゾフィーはアスラン、カリン、ルシウスを倒した後、アキラと対峙していた。

アキラは鬼の様な怒気をはらみ、噴火寸前の火山の様に、燃え滾る怒りを抑えていた。

そんな姿を前にしても、ゾフィーは笑みを崩さない。

「申し訳ないが、もう今日は戦えない。喧嘩は今度相手しますから、ひとまず落ち着いて」

「知らん、たたっ切ってやる」

アキラはかつてないほど、魔力を集中させ刀に纏う。

刀を握り締め、アキラが動き出す。その瞬間だった。
































ゾフィーの横に全身を黒衣に包んだ男と、白衣で包んだ男が立つ。二人とも余計な装飾もなく、質素な姿だが、気品を感じさせる。

黒衣の男が口を開く。

「お待たせしました。ゾフィエル様。例の司祭を名乗る魔族、もう殺しちゃいました?」

「いいえ、裏で磔にしています」

そう言ってゾフィエルは親指で後ろを指す。

そこには、両手と両足で十字架を描くように、壁に磔にされ虫の息の大男がいた。

「さっすがあ、じゃあ、後で色々聞いときますね」

黒衣の男は満面に笑みを浮かべて、両の掌を合わせる。十代中頃の容姿で、若々しさが動きに出ている。

「アイン…天使様の前だぞ…よくそんな態度が出来るな…」

白衣の男は頭を抱え、呆れたようにため息を吐く。

「アハト兄さん、僕はいつでもマイペースって決めてるから」

口元に余裕のある笑みを浮かべ、アインは答えた。

「それと、司祭を名乗る男はともかく、この男はなんなんです」

アハトはアキラに目を向ける。

「この男…というより、そこで寝ている三人組が私を偽の司祭と勘違いしたのです。なので、ちょっと遊んであげようかと」

「へえ…魔族が相手と知っても迷わず戦う。勇敢な者は案外いるのですね」

アハトは目を細める。

「素質はありますよ。いずれ魔王にも手が届くかもしれません」

「なるほど。では、来るべき戦に備えて生かしておきますか。アイン、行くぞ」

そう言い、踵を返す。がアインはアキラに興味津々だ。

「兄さん、この剣士、多分僕たちに気付いてるよ。この時間の中で意識だけはついてこれてる」

アインはアキラを見つめる。鋭い視線だ。

「ほう…止められた時の中で意識があるとは…何者だ?」

「さあ…剣持ってるし、王国の騎士か東国の武士じゃない?」

「東国か。今は七人目に支配されている国だな。となると、こいつは」

「二人とも、そろそろ仕事に移ってください。私はもう猶予がないので」

ゾフィエルが会話を途切れさせる。

アインはまだ興味があるようだが、兄に続いて裏で磔にされている大男の元へ向かう。































アキラは一歩踏み出す。しかし、既に戦う意思はない。

三人を倒したゾフィエルも消え、事情も聞いていた。

「時を止める能力…。そんなことが可能だとは…」

アキラはゾフィエル達の残像を睨んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ