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パンゲア書記  作者: 武蔵野紫村
2章 集う
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30話 刺突と鉄槌

「アレキサンダーさん!」

ルーが叫ぶ。

微笑みを返し、アレキサンダーが言った。

「君は馬鹿かね?一人で魔族の元に行くなど自殺に等しいですよ」

良く見るとこめかみに筋が立っている。

「すいません…」

ルーはアレキサンダーに悪魔以上の恐怖を感じていた。

「それと、馬鹿は貴様らもだ…」

やおらコロッソたちに目線を向ける。

「私の弟子はもちろん、要人に害をなすなど万死に値すると思え」

温厚かつ、敬語を絶やさないアレキサンダーの語気を強める。

木箱に座っていた男が立ち、叫びながらアレキサンダーに向かって殴りかかる。

アレキサンダーの手元が動いた瞬間、男の上半身は消し飛んでいた。

手元に何かを持っている。

「これは鉄の棒の先端に、トゲがある鉄球をつけています。モーニングスターと言うらしいですよ」

モーニングスターを振るい、へばりついた肉片を飛ばしながら言った。

腕は盛り上がり、鉄製の柄が潰れそうなほどの強さで握っている。

コロッソとアレキサンダーは同時に動いた。

コロッソは目にも止まらぬ速さで突きを繰り出す。

アレキサンダーはレイピアが届く前に、へし折っていた。

「馬鹿な…」

コロッソはレイピアを捨て、新たに取り出したレイピアで再び突き技を放つ。

今度の一撃はアレキサンダーに直撃する。

コロッソは笑みを浮かべるが、すぐに顔が曇った。

「抜けん…」

盛り上がった筋肉でレイピアを絡め取っていた。

アレキサンダーはモーニングスターを振り上げる。

次の瞬間、弓なりにしなりながら、先端の鉄球が振り下ろされる。

コロッソは後ろに大きく跳んだ。

しかし、纏われた魔力の塊に直撃し、後ろの壁に向かって吹き飛ぶ。

壁に激突し、動けなくなったコロッソに、アレキサンダーが歩み寄る。

「あなた…何番目ですか?」

「さて、なんのことやら」

「とぼけないでください。私は大分詳細に知っています。だからこうして何番目の部下であるかを聞いているのです」

アレキサンダーが続ける。

「まあ、おそらく一番目辺りでしょうか。聞いた話によれば、紳士風で形式ばったことを好むとされていますし」

モーニングスターを肩に担ぎ上げる。

コロッソは息を荒げながらも、笑う。

「私を殺せる程度では、魔王には及びませんよ。せいぜい足掻くといいでしょう」

コロッソの挑発にも乗らず、淡々とモーニングスターを叩きつける。

「では、三人を見付けて帰りましょうか」

ルーを振り返り、話しかける表情はいつものアレキサンダーの物だった。


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