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パンゲア書記  作者: 武蔵野紫村
2章 集う
23/56

23話 剣士と拳士②

向かいあった二人は素手の時よりも鋭い闘気を放っている。

お互い余程の自信があるのだろう、リラックスしている様にすら見える。

二人は睨み合い、間合いを図る。

先に動いたアキラが距離を詰め、右上から切りかかる。少女は左の篭手で受け、腕を振り刀を弾く。

アキラはその威力を利用し、体を一気に反転させる。少女に背中を向けた状態から右足を軸に、左下からの切り上げを放つ。

少女は上体を後ろに反らしつつ飛び退いて避けるが、すかさずアキラが追撃を放つ。右足を大きく踏み込み、頭上に高く振り上げた鞘を叩きつける様に振り下ろす。

少女は腕を上げ、篭手を交差させこれを受け止める。鈍い金属音が鳴り響く。

勢いを流し切れず膝を付いた少女に、アキラが再び鞘を振り下ろす。

少女は全身の魔力を防御に回し、篭手で受けた。受け流しきれない衝撃は、地面にひびとなって表れた。

少女は思い切り地面を蹴って、距離を取る。

アキラは少女を追わず、鞘を左手で、逆手に持ち変える。

少女が空中で体を捻り、着地の姿勢に移る。

次の瞬間、アキラは目にも止まらぬ速さで鞘を振り、魔力を飛ばす。

斬撃を飛ばしたー。鞘に纏わせた魔力を飛ばした技に、アスランは魅入る。

少女も虚をつかれ、直撃を貰う。

背中から地面に落ち、表情を曇らせ咳き込む。

アキラは手を止め、魔力を纏うのを止めた。この姿を見て少女が激高する。

「まだ終わってないもん!」

少女は不満に頬を膨らませ、全魔力を腕に集めていく。しかし、アキラは動かない。

さすがにまずいんじやー。アスランが静止に入ろうとするよりも先に、少女が拳をアキラに向ける。

束ねられた魔力は塊となってアキラに放たれた。

アキラは、この魔力の塊を鞘で受け流し、上空に向けて打ち返す。

アスランと少女は大きく目を見開き、驚きを顕わにする。

「うそ…自慢の技なのに…」

少女は地面に座り込み、うなだれる。

「なかなかいい技だ。が、隙も大きいし力に任せ過ぎだ」

アキラは鞘に刀を納めながら言った。

「それにしても、お兄さんめっちゃ強いね。武器ありだとすぐにやられちゃった」

「これでも、東国の武士の端くれだ。これくらいは出来るさ」

「絶対嘘。相当強いでしょ」

少女はむくれながら言う。まだ拗ねている。

「そうだ。いきなり手合わせしてくれた礼も兼ねて、一緒に飯を食べないか」

アキラはアスランを見ながら言った。

「行くー!強さの秘訣教えて!」

さっきまでのとは打って変わって明るい笑みを浮かべる。

ここまで見ているだけだったアスランが口を開く。

「俺も気になる。二人とも強いもんなあ」

「お兄さんも頑張ればすぐ強くなると思うよ。才能ありそうだし」

「そうかなあ…」

アスランは少し照れたように言う。

こうして、三人は食事処に向かっていった。


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