17話 酒場と仲間
ウットイムに着いた三人は、二人と一人で別行動することにした。アスランとアキラは志を共有できる仲間の情報を得に、酒場に向かっていた。一方のフランチェスコは、仕入れた商品を売るべく、町を練り歩いている。
酒場に来た二人は、晩御飯もここで済ませることにした。
「そういや毎回こうして酒場に来て、どれくらい情報は集まるんだ?」
料理を受け取り、食べ始めた頃にアスランが聞く。
「そうだな…これくらい大きい町なら、何人かは骨のある奴がいるって情報はあるだろうが、そこから目的が同じ仲間ってなると見つかるか微妙だな」
アキラはスプーンで、オートミールを口に運びながら答える。
以前寄ったウタツの町は、都市部の人口が千人程度だった。一方のウットイムの町は、西方の地域でも、有数の大きさの都市だ。都市部だけで三千人が生活を送っている。衛星都市の様に存在しており、壁に囲まれた地域に集中的に人が住み、その外側は森が生い茂っている。
「この大きさでも見つからないのか…難しいな」
アスランはグラスを傾けながら、呟く。
「そもそも魔物と関係があって、戦おうとしてる者自体少ない。それだけ平和ってことだ」
「こっちの大陸にも普通に生活してる魔物っているんだよな?」
「ああ、いるぞ。西方にも大魔候くらいいるだろ。確か」
「あんまり実感はないけどな…ずっと村周辺しか行ったこと無かったし」
アスランは椅子の背もたれに体を預け、宙を仰ぎ見る。
大魔候とは、超大陸に人間と同じく住んでいた原住民族の長である。自分達の住む土地を守るため、魔王と戦った魔物の一族、すなわち人類に友好的な魔族である。超大陸には現在十一人の大魔候が存在している。「候」というだけあり、各々が爵位を持ち、名誉貴族という名目で人類とも関係性を構築している。
「だから時々、大魔候の関係者が協力してくれることもあるんだ」
「ふーん、なるほどなあ」
「興味ないか?」
「興味ないってか、難しいことは分からん!」
「意外に直感派だよな、お前」
アキラが笑う。
「笑うな。弟が優秀過ぎて、計算とかは任せきりだったからな」
両手を頭の後ろに回し、上を見上げる。
食事を終えたアキラは両手を合わせる。
「よし!飯も食ったしちょっと掲示板見てから宿に戻るわ」
「おう、じゃ先に帰ってるわ」
こうして二人は別々に帰ることになった。




