15話 刀
アスランは、フランチェスコからもらった刀を改めて握る。言われてみれば、力が抜ける感覚もある。
「どうだ、魔力を出す感覚。分かるか」
アキラが聞く。
「なんとなくだが…繰り返せば慣れてきそうだ」
アスランが答える。
この刀は持ち主の魔力を強引に引き出す。魔力に乏しい者が持てば、生命力を奪われる呪いの刀だが、今のアスランには必須との言える魔力を〝纏う〟ことの練習に使える。
「ちなみに、これなんて名前なんだ?」
「さあなあ…なんせ叩き売りされてた品物だ。ちゃんとした名前は分からん」
フランチェスコは顎をさすりながら答える。
「まあ、付けたくなれば名前を付ければいい。そのうち愛着も湧いて付けたくなるさ」
アキラが言う。
「そういうアキラの刀、名前はあるのか?」
「こいつか…こいつは紫苑。追想って意味があるらしい」
「ふーん、意味まで考えてるのか」
アスランは唇を尖らせ思案にふける。
「おっしゃ、そろそろ行くか!」
フランチェスコはそう切り出し、二人は頷く。
三人は馬車に揺られながら、ウットイムの町を目指して再び出立する。
三人はそれから、一日かけてウットイムに着く。おおよそ太陽が頂点に着いた頃のことであった。




