17話
誤字報告ありがとうございます。まとめて適用しました。
カインさんが館に訪れた夜。俺をこの世界に転移させた"あの女神"を呼び出すことにした。カインさんと話せたおかげでこの世界の常識はある程度理解出来たが、同時に新しい疑問も出来た。異世界転移時に与えられたスキルである”通神"は残り2回だが、温存するのは無しだ、例の誘拐事件以降、積極的に情報収集をしていたが、俺の体の事やスキルについては、あの女神しか答える事が出来ない。
”通神"以外に俺に与えられたスキルは"超絶回復"と"隠蔽"だ、どちらも大人にならないと発動しないらしい。分かっているのは"超絶回復"は魔力を回復するスキルである事。"隠蔽"は特定の状態を隠すスキルである事だ。これらのスキルは俺が元地球人である事に配慮して与えたとあの女神は言っていた。それに今日得た情報を統合すると俺の中で一つの答えが出た。特にあの女神は俺が曖昧な聞き方をすると、答えをはぐらかす気がする。なのである程度確信が持てるまで待っていたわけだ。
早速頭の中で女神を呼び出す。
『女神様、女神様、居ますか?』
このやり取りも久しぶりだなと思っていると。
『アロハ~、女神さまのお困り相談室ですよ~』
うん、この女神の性格については、もう触れまい。
『こんばんは、女神様、早速ですが質問いいですか?』
『はいはい、通神2回目って事ね。いいわよ』
この女神性格はいい加減だけど、話は早くて助かる。
『最初の質問ですが、俺のスキルの発動条件である"大人になる"ですが、これの基準は"男の子の日"という事でいいですか?』
"男の子の日"、いわゆる"精通"というやつだ…
『そうね。その解釈でいいわ。』
ふむ、やはりそうか。この時点でほぼ俺の予測が正しいことに確信が持てた。
『次はスキル"隠蔽"について教えてください。この隠蔽とは"発情状態"を隠すスキルと考えていいですか?』
『それも合ってるわ、何よ、私に聞く必要なんてないじゃない。』
いやいや、予測を確信に変えておくのは必要だと思うけど
『スキルについては最後の質問です。"超絶回復"は発情状態が常時続くという解釈でいいですか。』
『正解ね』
これだけは、最後まで謎だった、魔力の回復が発情状態にどう結びつくのか分からなかった。ただ、"元地球人である事に配慮"とこの世界に"発情期"がある事から総合的に考えてでた結論が"発情状態が常時続く"という答えだった。
『魔力の回復が発情状態にどう結びつくのでしょうか?』
ダメ元で聞いてみる。
『う~ん、それはこの世界の生物の進化に関わる事だから、答えることは出来ないわね。それを解き明かすのは人間側の仕事ね。』
うん、やっぱり答えてくれそうにないな。この女神は何故俺にこんなスキルを与えたんだろう?もちろん、性欲は人間の3大欲求だから、地球からの転移者である俺に配慮したと言えばそうなのだが、というか、それ以前にこの世界の男に何故"発情期"があるのかも気になる。まぁ、そこら辺の疑問も教えてはくれないだろう。という事で次の質問に行くことにした。
『では、今度は俺の容姿について教えてください。今の俺の姿は地球の若いころの俺の姿とは違う気がするのですけど?』
これもずっと疑問だった、単に地球に居た時の俺を若返りさせただけなら、ここまで"イケメン"ではないはずだ。
『その姿は間違いなく地球にいた頃のあなたの遺伝子データを元に復元したものよ、ただ、"美の女神"である私が少し最適化したけどね』
え?こいつ美の女神だったの?そっち方が驚きだわ、というか、遺伝子データを元に復元か、ふーむ、納得できるような出来ないような、最適化でここまで変わるだろうか?まぁ、"イケメン"で損することもないし、考えても分からないので最後の質問に行く事にした。
『最後の質問です。この世界は剣と魔法の世界と聞いていたんですが、今まで魔法を見たことがないのですが?』
この女神が俺を異世界に勧誘する際の謳い文句が"剣と魔法の世界"だったはずだ、ファンタジー小説を多少なりとも見る身としては、少し期待してたのだが、それらしいものを見たことがない。
『魔法についてはあなたは見たことがあるはずよ、確か助けられた際にエレナとかいう女の子が使っていたはずよ。肉体強化の魔法ね』
あれ魔法だったのか?確かに尋常なく強かったけど
『ちなみに、炎が出たり、凍らせたりするような魔法はあるんですか?』
『今の所そういう魔法を使う人間はいないわね。』
ないのか、ちょっとがっくり。
『今は魔法の草創期なのよ、そのうちそんな魔法を使う人間も出てくるわ、たぶん』
『わかりました、今回聞きたい事は、これで全てです。』
『そう、ではまた会いましょう、あなたには期待しているわ。』
期待している?謎の言葉を残して女神は通神を切ったのだった。




