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16話~ミナスタシア視点~

 ユータがカインと"ボーイズトーク"をしている間、6人の女性が食堂でそわそわしながら待っていた。4人のメンバーはいつもの面子で、残り2人はカインの送り迎えをしている商隊の女性達だった。挨拶もそこそこに女性達は話を始めた。


「ユータもついに大人になったという事なのでしょうか?カインさんに聞きたい事とは"あれ"の事でしょう。」

エレナが切り出した。


その言葉に、ミナとソフィアが(うなづ)いて同意する。ワンナは良く分からないという表情だ。


その様子に商人の一人が口を挟む。

「"あれ"とは所謂(いわゆる)、"発情期"の事ですか?」


「そうです、これで私も遠慮なくユータに手を出せるってものです。」

エレナが夢見る乙女風にうっとりと答える。


その様子を見て商人2人は顔を見合わせて、一人が何かを確認するように頷き、話し出した。

「エレナさんは今日、ユータさんと会ったときにどんな感じでした?」


「どんな感じって、いつも通りのかっこいいユータでしたが?」


「う~ん、でしたら多分ですが、まだ発情期ではないと思います。」

商人は何かを考えるように答えた。


「どういう事ですか?」


「発情期の男ってのは、すごく甘い匂いがするんです。その匂いを嗅ぐと、頭がクラクラして、理性が飛びそうになるんです。抑えれなくはないのですが…」

商人の女性が続ける。

「近くに父親や兄弟がいる平民の場合は、子供の頃に知る場合も多いですが、それ以外の場合だとなかなか知る機会はないかも知れませんね。平民でも父親を見たことがないと言う人も多いですし。」

商人が微妙にフォローを入れつつ、そう話をした。


「ええ~!」

エレナが初めて聞く話とばかりに、がっくりと肩を落としながらため息をつく。と思ったら"ガバッ"と顔上げながら、話を続けた。

「ちなみに、甘い匂いってどんな感じなのですか?」


「説明が難しいですが、濃い花の匂いですね。若いころは特にその匂いを嗅ぐと、抑えが利かない場合もあるので、発情期の間は関係を持って良い女性以外は近づかないように男を隔離するのが普通です。後は、匂いを香水で誤魔化すとかですね。完全には隠すことは出来ませんけど。」


「確かにユータはそんな匂いを出していませんでした。という事はまだお預けですか、私はもう我慢の限界が近いのですが…」

エレナがテーブルに「の」の字を書きながら、呟いた。


「まぁ、しかし、発情期はまだでもユータさんなりに体の変化について何か感じてるのかもしれません。意外に大人になる日は近いかもしれませんよ。」


「そうですね。前向きに行きましょう。考え方によってはまだ時間があるとも考えられますからね。」

エレナがくるりとミナの方を向いて言った。

「という事で、ミナお嬢様いい加減、ユータとの関係を進めてくださいよ。」


「なんだ藪から棒に…、大体、エレナ、お前最近自分の欲望に忠実すぎないか、ユータの気持の問題もあるだろう。」

いきなり話を振られたミナは反論した。


「はぁ……」

やれやれといった感じでエレナがため息をつく。


「むっ、何だその態度は」


「ミナお嬢様はユータと出会って1年間何をしてたんですか?私には全く関係が進んでいるようには見えないのですが」


「いやまぁ…、私には私のペースがあるのだ」

ミナが若干もじもじしながら言った。


乙男(おとめ)かっ!!」

エレナが続ける。

「ミナお嬢様は全く危機感がないですね。ユータが村でどれくらい人気があるか知らないのですか?」


「噂には聞いたことがあるが、そんなにか?」


「"そんなに"というレベルではないですよ!村の女の9割はユータを狙ってますからね。私はいつか暴動が起きて屋敷を村人が囲まないかと不安なのですからね。」


「おい、それは大袈裟だろう。」


「大袈裟なもんですか!!それに、ミナお嬢様が関係を進めないと、後が(つか)えているんですからね。今まで様子を見ていましたが、もう我慢が出来ません。」

エレナが立ち上がりながら続けた。

「ということで、私がミナお嬢様とユータの関係を進める為に、作戦を練らせていただきます。お二人にはこれを機に大人の階段を上っていただきましょう。」

食堂で一人張り切るエレナだった。がミナを含め周りも意外に期待してた。

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