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Aの話②

A~はアスルトルのA~♪



 結論。

 夢じゃなかった・・・


 ふっくらとした年配の侍女さん(確かポンコツが赤ちゃんの時からお世話になってるマリアさん)に起こされて目が覚めた時の絶望感といったら・・・あはははは

 もう笑うしかないよね!

 現実逃避している間にてきぱきと支度をされ、朝食に食堂へと促される。

 扉を開けるとスチルで見たより少し若い陛下(父)と王妃(母)と兄がすでに座っていた。

 うわぁ・・・

 これはもう現実と受け止めて腹をくくるしかないのかな・・・よし!女は度胸だ!


「遅くなりました。申し訳ありません。」


 急いで自分の席に着くと隣から兄が話しかけてきた。

 この人もポンコツと同じ金髪碧眼だけれど、髪の毛はゆるくウェーブがかっている。

「夜中に大声を出したんだって?」


 うっ・・アイツめ!報告しやがったな---まぁそれがお仕事なんだろうけどさぁ・・・プライバシーとかないのかここには・・・なさそうですね。はい。


「はい。夢を見たようで声を上げてしまったようです。私もまだまだ未熟ですね。」


 申し訳なさそうに言ってはみたものの


「王族たるものそんな事で声を上げるな。ガイウスはお前の歳でもしっかりとしていたぞ?」


 陛下(父)よ。10歳の子供にそれはないよー?

 というかそれだよそれ!

 このガイウスこと兄が非常に非常に(大事なので2回言った!)優秀すぎて、いつも比べられて・・・でも何に対しても勝てなくてポンコツ王子拗らせちゃうんだよねー

 でも6歳差だよ?無理だよ!子供の6歳差を舐めるな!

 それを真に受けて、年々ポンコツになる王子とか素直なんだか捻くれているんだか・・・


「はい。申し訳ありません。」


 とは思いつつ、一応返事はしておく。私って偉い!

 それで満足したのか食事が始まった。

 するとまた隣からこっそりガイウス(兄)が話しかけてきた。


『今度怖い夢を見たら、私の部屋においで。』


 ・・・怖い夢なんて言ってないんですけど、そしてその笑顔。


 はい。ポンコツが拗らせる原因がここにもなんですねー。

 兄的には弟を可愛がろうとしているようなんだけど、拗らせてるポンコツには全く伝わらずに馬鹿にされてると思い込んじゃうんだよねー兄に対して劣等感が半端なくあるからね。

 そして年々深まる溝。なんかどっちも可哀そうに・・・(合掌)


 でも傍若無人な兄がいた私にはなんてことはない!

 しかも中身年齢は大して変わらないし、今後の為にも仲良くしておいて損はない!!


『ありがとうございます。兄上』


 と極上の笑顔で答えたのだけれど・・・なんか口元を抑えてすごい勢いで横を向いたんだけど?

 食べ物が変な所にでも入ったのかな?

 まぁいいか!

 食事が終わったら少し時間があるし、現状を把握しないとね。



 *****



 本当に少ししか時間がなかった。

 王子様って忙しいのね・・・午前中は勉強、お昼を挟んで剣術とダンスの稽古とか、そしてやっと夕食までの休憩時間って鬼だわ。


 それにしてもこのポンコツ(私)、実は結構なハイスペックだったのよ?!

 勉強も1回教えてもらったことは大体覚えられるし(その頭は生前?欲しかったわ)、剣術の稽古でも動きは悪くなかった(私は運動が出来るヲタクです)というか()()()()()のに身体が覚えている感じだった・・・10歳なのに努力してたんだな~

 それなのにどうして劣等感を感じ、ポンコツになっていくのか?

 今日1日だけでなんか分かってしまった。


 優秀すぎる兄というより周りの大人たちのせいだと。


 ポンコツも優秀の部類だから期待もあるんだろうけど、それでも10歳の子供に対しての要求が高すぎるのだ。

 それに加えて「貴方のお兄様は~」としょっちゅう比較を言われる。

 そりゃあ嫌にもなるし、捻くれもするわ~。兄の可愛がり方もから回ってるし・・・

 ちょっと可哀そうになってきたけど、それはそれだ!

 憎きポンコツが私になったからにはオリちゃん(悪役令嬢オリエッタ)を破滅なんてさせない!


 机に向かいノートとペンを取り、思い出せる限りゲームの詳細を書くことにした。

 オリちゃんは私が守るんだ!




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