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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Resident Evil――選択すべき現実と異世界

作者: 鬼京雅


 2022年・年末の満月の夜――。

 日本代表サッカーW杯優勝という奇跡を起こしたばかりの年の瀬。突如、新宿駅に異世界への門が開かれた。


 その門はファンタジー世界へ行ける異世界の門だった。それは「イセカイゲート」と呼ばれ、日本中だけで無く世界も大いに盛り上がる事になった。


 異世界と現実を自由に行き来出来るのは、時間にして約一日である。その期間を過ぎると、また満月の夜まで待たないとイセカイゲートは出現しなかった。そのゲートは異世界でも現実でも、どこに現れるかは不明だった。



 そして、異世界へ行ってその日に帰還した人間達は本物のスライムやゴブリンなどと出会い、異世界の村や都市を見つけた話をした。


 それにより、日本はイセカイゲートの出現する国として世界から特別な存在として扱われた。日本は世界のトップに立つ事になったのである。元々の富裕層はさらに巨万の富を得て、下層にいた人間さえも働けばかなりの財を得る事が出来た。


 だが、それも長く続かない。

 下層にいた人間達はイセカイゲートを抜けて、ファンタジーの異世界へと活路を見出したのである。現実世界ではある程度の富は約束されたが、もう使われるだけの日々はウンザリだったのである。

 異世界に夢と希望を得た日本人を中心に、世界からイセカイゲートを抜けて異世界へ旅立つ者が増えた。


 それにより、日本の人口は労働者を中心に一気に減る事になった。異世界というものを全く知らない人間達も異世界への興味本位や、金を稼げる、年齢に関係無く新しい生活が出来る理由などで、暴力的な死が待ち受ける異世界へ進んだ。


 そうして、下級層と言える人々が消えた事により富裕層は困惑した。自分達が利益を手にする駒であった労働力が消えたからである。すでに移民などの外国人に頼るというレベルは超えており、もう日本経済そのものが成り立たないレベルに陥っていた。


 イセカイゲートにより世界の頂点に立った日本は、簡単に世界のトップから陥落した。


 そこで、富裕層は異世界へと活路を見い出そうとしていた。異世界へ行った人々を金で雇えば、また現実と同じになると期待していたのである。


 しかし、その富裕層達は異世界で全て虐殺された。


 男も女も、子供も老人も関係無い。それらの死はモンスターではなく、異世界へ渡った人間達によって殺されたのである。


 異世界において、下級市民だった雇われ労働者は異世界のモンスターを倒して生き延びる事により、まともな人間では勝てない強さを得ていた。その人間達は姿は人間だが、行動はモンスターと変わらない。いや、人間だからこそ醜悪だった。

 そして、殺した理由は過去に虐げられたからでは無い。


 殺された理由は単純に弱いから。


 異世界においてのルールは強いか、弱いか。ここでは現実のルールなんて通用しない。強欲なはずのモンスターより、知能がある人間の方がタチが悪かったのである。


 こうして、異世界とは現実世界の虐げられた人間の目指す場所として認知された。現実で希望を失った者は、死の危険こそあるが異世界こそが生きる場所と考えていた。


 そうして、現実世界では法律もまともに機能しない国となる日本は、自分の身は自分で守る戦国の世に変貌した。島国だからか、過去に鎖国をした国なのかはわからないが、日本人はイセカイゲートを利用して世界と渡り合う国へとも変わる。


 日本人は、異世界と現実の特異点として特別な自意識を持つ民族になった。かつて、世界に平然と喧嘩を売った時以上の狂気の民族に――。

 



 異世界と現実への出入りは自由だ。

 満月の夜に現れるイセカイゲートまで来る事が可能なら、そこから現世へ戻れる。その逆も然り。知っての通りイセカイゲートは現世も異世界においても、どこに現れるかは不明だ。その為、その周囲は誰もおらず、その行き来を邪魔する者はいない。


 そのイセカイゲートを運良く、運悪く見つけてしまった時――。


「アナタ達は、どちらの世界を選ぶ?」

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