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第3話 ~魔装国家イグニアス~ 7

 7

 私はその様子を一部始終眺めた後に、のんびりとマリアンに近付く。周囲には犯人が無力化されたのを確認しに野次馬や自警団の人も出張ってきていた。先ほどの青年は、犯人を肩に担いで、その自警団と話をしている。

「ただ者じゃないなー……あいつ」

 性格に少々不真面目感が漂っているが、身のこなしは常人のそれとは一線を画している。

 後学の為に、近い内に手合わせを願いたいものだ。

 ふと気づくと、逃げるようにこちらに向かってくる人が――――、

「どうした?マリアン……?」

 尋ねる言葉に、私の手を取ることで返すと、かなり強い力で私を引っ張りつつ、足早に広場を後にしようとする。

「――――あっ!!ちょっと、そこのお嬢さん!!」

 ……心無しか歩くペースが上がった。というか、もう小走りだ。

「そこのフードの――――マリアンさん!!」

 既に身バレもしているようで、もしかしたら人違いかも、で無視して行ける雰囲気では無くなった。

 青年に背を向けた状態で、大きく溜息を付いてしまうマリアン。肩がそれなりに大きく上下したので、青年にも気付かれたのでは無いだろうか。

出来るだけ感情を押し殺すように、踵を返すマリアン。

「あら……何の様かしら?隊長さん?」

 驚くほど感情の籠っていない言葉だった。どうやら以前からの知り合いの様子。

「大したことではないよ。ただ関係者として、少々事情を聴きたいんだ。どうかな?これからお茶でも?」

 ここまで来ると、一周回って清々しいくらいの公私混同だ。しかも、一応男を連れている女性をナンパとは恐れ入る。

「申し訳ない。今は大事な客人を連れているので。後日、宿舎の方に使いを寄こしてくれると助かります。では」

「そうか、それは残念だ。じゃあ、後で聴取に向かってもらうよ」

 そう言う青年の言葉を、半ば聞き流すように再度踵を返すと、私の手を引いたまま、やはり早足でその場を後にする。


「さっきのは?」

 広場を後にし、マリアンの脚が遅くなったのを見計らって尋ねてみる。

「王都イグニアスの自警団。第一部隊隊長、アウロラ・フィッシャー。自警団の創設者で現団長を務めるジーニャス・フィッシャーの息子よ。素手のみの戦闘だけなら、師匠のジーニャスを超えた、王都に於いての最強の武人よ」

 あいつの師匠もこの街にいるのか。それは是非会ってみたい。しかし、今はそれよりも対応の方が気に掛かる。

「なるほどね……で、何であそこまで嫌っているんだ?」

「嫌っている……そうね。そう見えるわよね。でも……違うの。少し……接し方が分からないのよ」

 あー……なるほど。そう言えば、マリアンは男性の免疫が皆無だ。あそこまで押しの強い奴に絡まれると、対応に困るのだろう。

 そこで、ふと気になったことが、口を付いて出た。

「いつまで私の手を握っているんだ?」

 先ほどまでは急いでいたこともあり、止むを得ない状況だったが、今この段階で握る理由はないはずだが……、

 ――――ミシッッッっっ、と。

 何かに亀裂が入った音だった。

 しかし、その音は私の鼓膜を震わせたものでは無かった。


 さて問題だ。その場合、誰の何から発生した音でしょう。

 ヒントは、マリアンの握っていたもの.



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