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なんでも投稿部!  作者: 果物のなし
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またあの頃のように

るきあす会きたー!!

と、思うのは私だけでしょうか?

 自由行動となった俺たちは、新入部員の明花もいれて、相変わらずマイペースにそごしていた。

 そこで、この学校を何も知らない明花に、俺が特別に紹介してあげることにした。


「明花、まだこの学校のこと何も知らないでしょ。この時間に俺が教えてあげる。」

「ありがとう、月綺くん!」


 俺が誘うと、明花は嬉しそうに答えた。


 可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い・・・あぁ、疲れた。


 とりあえず、まずはこの部室のことを紹介することにした。

 最初は『ここ』。


「まずここは部室。ここでは今後の作品投稿の計画をしたり、行事の計画や話し合いをしたり、普通にしゃべったりお菓子食べたり・・・まあ、とにかく自由スペース。」

「ふんふん・・・なるほど・・・!」


 いろいろとざっくりと話したけど、これでも普段に比べれば、十分丁寧に話したほうだ。そして、そんな適当な説明にも真剣に聞く彼女の姿はとてもとても可愛らしい。

 先に言っておくが、これは純粋な恋心だ。決して変態な訳ではない。人の好きな人を見てニヤニヤしているどこかの誰かとはちがうのだ。

 やはりあいつではなく、正にすればよかった。選択をミスった。


 続いて次に紹介するのは投稿部屋、ここの話しもすませて、ついに避けたかった校内の説明が始まる。

 とりあえず頭に真っ先に出てきたのは音楽室だった。この場所ではないが、明花と俺だけの二人の思い出には、一番多くの記憶に残している所だ。

 明花に音楽室を紹介すると言うと、明花は「また音楽室で遊べるといいね!」と言い、上目使いで満面の笑みをみせた。

 好きな女の子が上目使いで俺だけに見せた笑顔を足されたらそりゃまあ、キュンとくるわけで、今度絶対音楽室行こう、そうしよう。また一つ学校に来る理由ができた。


 音楽室へ向かい、廊下で二人仲良さそうに話していると、それをガン見する外野たちの小声が聞こえてくる。


「おい見ろよ!あの月綺が女子といる!」

「マジだ、あいつホモだと思ってたのに!」

「うわ、しかもよりにもよって美少女だよぉ!!」


 黙れ外野ども、俺は美人に手を出したクズではなく、『幼なじみ』だからなんだよ。

 いつかいきなり再会したときのために、もしかしたらルックスで惚れてくれるかもと思って中学二年からイケメンになろうと努力しておいてよかった。

 お前らとは努力した数値が違うんだよ。絶対明花は渡さねえからなコラァ。


「月綺君どうしたの?顔がちょっと怖い気がするけど・・・?」


 さすが明花、この俺が『表情すらつくるのがめんどいから』という理由で、いつしかポーカーフェイスがかなり上達していた俺の感情を見抜くとは、やはり俺の将来には明花しかいない、確実だ。

 心配してくれる明花の様子が嬉しくて、思わずポーカーフェイスが崩れてフニャッと笑ってしまった。


「大丈夫だよ。それより、あれからずいぶんと髪がのびたね。」


 俺の知っている明花は、いつも髪をショートにして、動きやすいようになっていた。

 そう言うと、明花は何かを思い出したかのように驚いて、こう答えた。


「思い出した!月綺君が『髪長い子』が好きって言ってたから!」

「へぇ・・・・・・っ?!」


 彼女のあまりにも素直な答えに、思わず反応が遅れながらもしっかりと反応する。声に出なくてよかった。

 彼女の純粋な納得に、きっとそういう意味は含まれていないのだろう。

 しかし、気になるのでダメ元で質問することに、すると、


「・・・それは、どういうこと?」

「へ?その方が話しやすいってことでしょ?」


 分かっていたことだが、ほんの少し、わずかに期待していた俺の心境がどこかにあった。


 そして、何だかんだで以外にも校内紹介はあっという間に終わってしまった。

 どの場所に行っても、明花は俺の適当な説明を真剣に受けた。


 こんなにも早くに終わってしまうとは思わず、これからどうしようかとなり、明花が喉が渇いたらしいので、とりあえず自販機のあるところへ向かった。

 俺は緑茶、明花は牛乳を選び、飲み干してからまた部室に向かうことに。

 途中、歩きながら明花に、どうしてイチゴ牛乳にしなかったのかを聞いた。明花は普通に甘いものが好きなのを知っていたからだ。

 すると、どうやら俺が、緑茶を選んだのを見て、少し甘いのを我慢して大人になろうとしたからだそう。その話を聞いて、特に可愛い以外の答えが頭にでなかった。


 部室に着いて、中にはいると橙星と正がいなかった。今思うと、なぜ投稿部屋に隠れているという考えが出てこなかったのだろうか、その時の俺は、頭の思考が都合よく理解されてしまい、明花にこんな話を持ちかけた。

「ねえ、また今度コラボしたの投稿してみない?二人の。」


 なぜいきなりこんなことをいったのか分からないけど、でもきっと、純粋にまた二人で直接歌いたかったからなんだと思う。

 そして、明花も同じ気持ちだったのか、とても嬉しそうに微笑み、「うん!」と答えた。


 やっとこの時が来たんだ、この学校で、また君に会えて、また君と楽しく話せて、時間はまだ沢山ある。それまでにはきっと。


 部室で二人、笑い合いながら過ごした、今日この幸せな時間。


 それなのに、まさかこれから邪魔者が登場するだなんて、誰が予想したことだろうか。














最後までありがとうございます。

今回ちょっと短かったかもしれませんね。

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