気づいたら時すでに遅し
今回は過去編ではなく、今の話をします。
小さい頃から三人のわがままな弟たちがいて、親の苦労を考えて、気づいたら自分から弟たちの面倒をちゃんとみれるお兄ちゃんになっていて。
それからはなにも特に変わらなくて、学校の友達や両親にも信頼され、いつも誰かに頼られて尊敬されて、常に何が起きても平常心を保ち、落ち着いて冷静な判断をとっていた僕だったのですが。
あ、申し遅れました。初めまして、僕は野田 正といいます。
今、僕の目の前で、中学二年の時に出会った誰よりも女子が苦手な空風月綺君が、この学校に転校してきたばかりの黄瀬 明花さんを抱きしめています。
「えぇえぇぇぇぇぇえぇ?!!!」
あまりの異常な光景に混乱し、とにかく叫びまくる部長、小早 橙星くん。
というかちょっとうるさいよ。
「えーと、えーと、」
想定外中の想定外な現場にどうすればいいのか分からない僕。
「る、月綺君・・ちょ・・とくる・・しぃ。」
月綺君に強く抱きしめられ、わずかに言葉を伝える黄瀬さん。
このよく分からない現場と空気を感じ、無理やり脳を落ち着かせて、僕がとった行動は
「橙星君!とりあえず二人を離して君は月綺君の相手を!」
「了解副部長!!」
僕の突然の指示に素早く答えた橙星君。
橙星君のおかげで、とりあえず二人を話すことに成功した。
この状況に気づいた月綺君は、なにも言わずに橙星君と一緒に隣の撮影部屋に移動した。
さて、僕は黄瀬さんに何をまず聞けばよいのだろうか。僕が考える暇もなく、彼女から僕に声をかけてくれた。
「あの、えっとなんかすみません。」
「いやいや、黄瀬さんと月綺君がどんな関係かは知らないけど、とりあえずさっきのは月綺の方があれだと思うから。」
黄瀬さんは苦笑いをして、僕にすべてを話してくれた。
「実は、私と月綺君は小学生の頃からの幼なじみで、家が隣なんですよ。」
「え?ていうことは、月綺君の小さい頃の友達ってこと?」
「簡単に言うとそんなかんじですね。」
この話を聞いて僕が思ったことは、家がお隣さん同士なら、中学やこの高校だって同じなこともあるはずなのに、中学の時に月綺からはそんな話は一度もなかったこと。
なぜなのか、もしかしたら喧嘩でもして、気まずいままいままで過ごしていたのだろうかとも考えたが、そんなことが起きていたら、先程のような『女子にいきなりだきつく』ことはないはず。
「えっとですね、小学までは同じでいつも一緒にいたのですけど、中学が別々になっちゃって、しかも私の通う学校は寮せいのところだったので、あれから家は隣でもお互い運が悪くて、一度も・・・。」
なるほど、そういうことか。しかし、そこまで会う機会がなかったというのもある意味すごいけど、どうやら何度か家に帰って来た時に何度か訪問はしたけど、毎回本人が出掛けていて会えないことが多かったらしい。
「じゃあ、さっきの月綺君が君にとった行動はなんだと思う?」
「あはは、久しぶりに再会したので、嬉しくなっただけだと思いますよ?」
「あぁ・・そうなんだ・・・。」
おそらくだけど、月綺君のあの行動はそれだけではない気がするのだけど、黄瀬さんは少し鈍いところがあるのかもしれない。
黄瀬さんの話も聞けたし、そろそろあっちの方も落ち着いているだろう。
せっかくだから、新入部員の歓迎会を今度行おうかな、あとは黄瀬さんがなに希望で入ったのかをきかないとね。
またこの部活は更に盛り上がりそうだ。
これは面倒見があって少し楽しくなってきた気がするなと思った今日この頃。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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