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二章 『浴衣とスーツ』 その2

時間かけたわりには若干アレですが気にせず投稿。

「擦り合わせとまいりましょうか」


 大乃の隣へ、のろのろとパイプ椅子を置いた赤井は姿勢を正し座り直した。

 傍目からでも嫌々、こいつの隣に座りたくねぇなぁ、と分かる苦い表情だった。


「君、学校でもそんな感じかい?」

「まさか。華の女子校でこんな顔、出来る筈もありません」

「お嬢様校だもんね」


 だからって外で羽目を外し過ぎじゃないのと、大乃は隣にやってきた赤井を見上げる。隣り合わせで座ることで二人の体格差が如実に現れていた。

 赤井の座高が決して高い訳では無いのだが、背の曲がった小柄な老人の隣では彼女の体格の良さが際立ってしまっている。


「そこらの男子より高いよね、百七十二って」

「……百六十九です」

「へえ、百六十九()あるんだ」


 額に青筋を立てる赤井の隣でへらへらと笑い団扇を煽ぐ大乃。


「あんたがその歳で独り身なんがが良く分かるわ」

「その年で婚約済みってのも如何かと思うよ?」


 お嬢様校でも今時無いでしょうと呟く大乃。

 実際、学校で婚約していることをうっかり話してしまったところ物凄く驚かれたのは記憶にも新しい赤井である。


「田舎では普通です」

「君達の地元の話しってさ、どうにも現実味が無くてねぇ」


 何時代の田舎だよと呆れ顔で流す大乃。自分が子供の時代でも在ったかどうかの怪しい話に首を傾げてしまう。


「佐々木君と右藤君は十四で婚約だっけ」


 中学二年生で将来の伴侶が決まるという、現代日本ではまずありえない話を思い出し大乃はその真偽を改めて尋ねる。


「そぅやねぇ」


 だが返ってきたのは若干ずれた感想で。


「ほんと、いいとこに決まってうちらも一安心でしたわ」

「……」

「ほらあの子、めくらやろ? いい人見つかるか近所のお母様方も心配しとったがやけど、佐々木家(ささきんち)なら安心やわ」


 しみじみと語る赤井は素直に友人の婚約を喜んでいる。それが二人の幸せであると微塵も疑いもせずに。

 これでもし当人達が嫌がっているようならば確かに時代遅れの間違った田舎の因習というやつなのだが、どうもそういう訳でもなく、件の二人を遠目に見る限りでは幸せそうな限りである。

 本来ならば祝福すべき目出度いことなのだが、それがすんなりと障害もなくまかり通っている事実が逆に言い難い異様さを残していた。

 もっとも、彼ら彼女らの幸不幸に関わらず、親戚家族でもない大乃がよそ様の家庭の事情に首を突っ込み、ああだこうだと異論を挿める筋合いもない。

 

「あんま出来た子じゃないがやけど、えらい別嬪さんやろ。うかうかしとる間に変ながに捕まらんかもう心配で心配で」


 赤井が十六の子供だと知っている者が観れば、親戚が集まる井戸端会議へ無邪気に加わり、うんうんと頷いているだけの様な微笑ましさもなくはない。

 だが、浴衣の裾で口元を隠しつつ饒舌に語る様は紛いも無く中年女性のそれだ。


「なんに菊さんはなんで椿なんかと。もっといい人もおったやろうに」


 まるで身内の、それこそ自分の娘や姉妹の事の様に語れる赤井は何処とは言えずともやはり異質である。


「あんのちゃべなあんぼ、どこがいいがか。うちはてっきり蘭さん辺りかと ――――」


 赤井は尚も語る。大乃から自身に向けられる不思議な生き物でも見るかのような視線に気が付きながらも気にすることはなく。

 それは大乃からだけではなく、都会に出て、新しい環境に身を置くようになってから絶えず感じ続ける周囲との歪な差異であり、埋めようのない溝。

 大乃は知っている。

 周囲が受けている自分達に対しての違和感に気が付きつつも、赤井は語ることを止めはしないのだと。

 老人はそれで良いのだとほくそ笑む。

 何故ならば、その異常性と非常識さこそが大乃の求める物だったからだ。


「―――― そうそう。地元の子なんやけど先日ご懐妊で。羨ましいわあ、うちもはよなと桜さんに言う「流石にそれは勘弁してくれないかなぁ? お上に大目玉食らっちゃうよ」

「そぅなんですか?」 

「そうなんだよ」


 だからどうしたと言わんばかりの口ぶりに大乃は溜め息を付く。

 大乃にしても、お腹の大きい女子高生を隣に彼方此方連れ回す非常識さは持ち合わせていなかった。







 気を取り直し、大乃は語りかける。


「それで? 警護官五名の内二名が実行犯だと」


 赤井は頷く。


「はい。警護に当たっていた五名の内、二名が実行犯です」


 大乃は団扇を数度、額に軽く当て考え込む様に顔を俯かせる。その様子を見下ろす赤井は訝しげに顔を顰める。


「どうしたんです。何か思い違いでもありましたか?」


 自身の出した答が間違っているなどと微塵も思わない赤井は苛々と言葉をかけた。

 この程度の結論なら貴方も直ぐに行き着いたのでは、と言わんばかりに尊大な口振りだった赤井は徐々に、大乃の反応に疑問を抱く。

 擦り合わせ。

 それはつまり大乃が先に出した結論へ赤井も行き着いているのかどうかという意味の確認作業。今後、二人で被疑者確保の為スムーズに行動すべくの被疑者特定。

 被害者救出を諦めやる気の無い赤井へ、大乃が被疑者確保へ向け肩慣らしとして出した問題。その回答に大乃は考え込む。

 もしや自分は赤井の言う通り、大きな思い違いをしていたのではないかと。


「実行犯、ねぇ」


 口に出し、大乃は確認する様に呟く。


「実行犯」


 再度、大乃は唸るように呟くと団扇越しに赤井を見上げた。

 透けて向こう側が見える筈もない団扇越しに赤井を笑顔で見詰める大乃。特に意味も無いであろうその戯けた行動に赤井は渋面を造る。

 何故こんな奴を見詰めなければならないのかと、顔を会議室の正面へと向き直す。


「ええ、実行犯です」


 大乃の呟きに赤井はそれがどうかしましたかと繰り返す。

 繰り返した後、呟きの意図を察した赤井はああ、と納得して一言を付け加えた。


「二名は実行犯(・・・)であって、首謀犯(・・・)ではありません」







 赤井は後頭部で引っ詰め団子にしていた髪を解く。

 豊かな黒髪が彼女の背中で扇状に広がり、瞬く間のうちに閉じられた。

 長丁場である。

 昼前から始まった報告会は二時間程経ち、最初に感じられた集団の勢いもなくなってきた。

 その原因は冷房の故障だけでは無く報告すべき情報が出尽くし、集団の殆どが今後の方針の指示を待つだけと成ったからである。

 赤井は蒸れた頭部を細い指でほぐし、温い空気を頭髪へ送り込む。

 昨夕に拉致同然で、着の身着のまま都内の祭り会場から警視庁へと大乃に引っ張ってこられた赤井。浴衣を羽織る前に一度汗を流したとはいえ半日も帯を締めた状態が保てる筈も無く、形が崩れない程度に緩め髪も定期的に結い直している。

 昨夜から今朝にかけて集められた殺害と拉致事件の情報を大乃と共に浚っていた赤井は時間が惜しいとばかりに着替えを拒んでいた。大乃は警視庁舎にて部下に着替えの洋服を用意させたのだが、赤井はそれに袖を通すことも無く浴衣姿のままだった。

 消えた友人達を助けるべく、着替えの時間すら惜しんだのは事実である。勿論、単にいけ好かない大乃(ジジィ)がお金を出し用意をさせたという洋服に袖を通したくなかったというのも事実である。

 赤井は首の後ろで髪を一房に纏めつつ思い返す。

 数時間前に必死の形相で、事件発生後八日間の情報を資料と捜査官を通し見聞きしていた自分を。その直ぐ近くで焦りもせずに落ち着き払った様子で此方を眺めていた大乃の顔を。

 赤井は改めて、その時から既に大乃は被害者救出が目的ではなく被疑者確保が狙いであった事を確信する。

 会議室に集う刑事達より確実に有能であるはずの人物が、である。


「僕の方に情報が周って来たのが事件発生日から数え三日目。君達の内、君と鈴木君が日本に帰って来てるって知ったのがそれから三日後。昨日都内でぶらついていた君を連れ出し今に至るって訳だけど ―――」


 軽い溜め息と供に吐き出された大乃の言葉は職場のちょっとした愚痴の様だった。


「……生存の確率、ですか?」

「――― そういうこと」


 失踪、誘拐、拉致。

 これらは状況にも寄るが時間の経過に伴って生存確率が下がるという話は素人である赤井も知る所であった。


「刑事部長のお孫さんとその友人」

「恋人です」

「恋人一名と更に警護官二名の失踪。加えて警護官三名の遺体。事件当日は大分荒れたらしいよ」


 大乃は会議室の正面、自身と向かい合う形で横一列に座る数人の男達を見遣る。

 自身と同年代の男達。その中でも特に体格が良く灰色の髪を七三に分けた男を注視する。

 男の眼は怒りでギラ付き、見える筈の無い被疑者を目で射殺さんばかりだ。


「上は公安に任せたかったらしいけど、髙山君の熱意に負けたようだね」


 熱意だけでどうにかなる筈もないのにね、と呆れ顔でそう零す大乃は赤井へ椅子ごと体を向け直す。


「では改めて、君の推理を聞かせてくれるかな?」







「支給された装備品じゃねぇな、それ。機種が違うしよぉ。私物か?」


 遊び疲れた珊瑚と牡丹が眠る車内。

 車体を打つ雨音にワイパーの駆動音。

 のんびりとした空気に気が緩み、このまま何事もなく子供達を家へ送り返し仕事も終わりと思われた帰路の途中、運転席から軽い口調で、それでも明確に戒告の籠った麻倉の問い質しに車内の空気が変わった。

 麻倉が運転中にも関わらずバックミラー越しに睨み付けるのは三列ある座席の左端最後部。メールの着信音を響かせたスマホを取り出したままポカンと己を見返す本城誠ただ一人。

 つられて助手席の大守とその後に座っていた尾田の視線が本城へと流れるなか、本城の右隣に座る吉島だけは目の前の座先、お互い寄りかかり眠る子供達だけに向いていた。

 その時、一瞬の隙が生まれた。

 三人の意識が本城に向かう瞬間、吉島の腕が懐に伸びる。

 それに気が付けたのは吉島の左斜め前に座り、僅かに身体を浮かし後ろを向こうとしていた尾田だけだった。

 何故とっさに動けたのかは解らない。

 恐らくは警護官として、というよりは個人的に、仲良くなった高校生達の代わりに急遽編入された関わりの薄い無愛想な人間に対し無意識的に隔たりを、不審を感じていたのか。

 尾田が腕を伸ばし左隣に座る牡丹と珊瑚に覆い被さると、二人の頭部を守る様に強引に屈ませる。

 次の瞬間、二発の発砲音と共に尾田は脇腹に今迄味わった事のない激痛を受けた。


「――― がっ?!」


 意識が飛びかける程の痛みに叫び声を上げる間もなく、バン全体を覆う衝撃音と共に尾田の身体は浮かび上がり運転席のシートへとぶつかる。


(事故った?!)


 車内で一人、横這いに宙へ浮かび上がったままの尾田にそれを確認する時間は与えられない。

 だが尾田は目撃する。

 音も、痛みも、時の流れすらも緩慢に感じる極限状態の中に居ながらも、最後部座席から拳銃を握ったまま、運転席のシートを越え頭からフロントガラスを突き破る吉島を。

 大守の上着にしがみつき、なんとか車内に留まろうとする本城を。

 シートベルトが外れ空中に放り出された牡丹を。


「ッ?! ゥォオアーーーッ!!!」


 気合いを籠めた叫び声を上げ、浮いたままシートに背をあずけている尾田は両腕を広げ必死に腹で牡丹を抱え受け止めた。

 全体にして、五秒にも満たない間の出来事だった。







「警護官が五名居たにも関わらず、緊急事態発生の連絡がされなかった。突然の襲撃に遭ったとしても五名ものプロが全員、何のアクションもなくされるがままというのは考え難いです」


 赤井の言葉に大乃もかねがね同意だと頷く。


「単に連絡の取れる状況ではなかった。つまり連絡手段がなかった、という線はありえません」


 発見された遺体が所持していた無線機や支給品と私用のスマホ等の連絡機器は全て生きていた。緊急事態発生時用の救援コール発信機ですら問題無かったのだ。


「では何故誰とも、何処と連絡を取ろうとしなかったのでしょうか」

「警護対象が捕えられ、もしくは薬品と等で行動不能にさせられて……というのも考え辛い」

「遺体からの薬物反応はなく、人質等に関しても、ワンプッシュ型救援コールが使用されていないのを鑑みるにありえません」

「意図的に連絡しなかった」

「連絡する事を躊躇われたのでしょう。警備部、延いては救援に来る部隊に対し猜疑心を抱いたのかも知れませんね」

「そりゃあ、部隊内に二人も離反者が居たと、した、ら…… ―――」

「……」


 ここでふと、大乃は考える。本当に誰にも、何処にも連絡はしなかったのかと。

 だが大乃自身その可能性は既に考慮し、捜査に加わり出してからは調べ尽くしてもいた。だからこそ最初は、全く連絡を取ろうとしなかった警護部隊に対し疑問を抱き、残りの二名に背中を刺される形で連絡する間もなく始末されたのだろうと、そう結論付けていた。

『……生存の確率、ですか?』

 少し前の会話。

 赤井の口振りを思い返す。

 会話の流れ的にはおかしな所はなかった。大乃自身、珊瑚と牡丹の保護を諦める大きな理由でもあったし、赤井も同じ理由からだと考えていた。


(本当は別の如何しようもない、あの子達の明確な死を認めざるをえない理由があったから、あっさりと諦めた?)


『二名は実行犯であって、首謀犯ではありません』

 何故その結論に至ったのか。

 何故、確信を持って主謀犯と実行犯が分かれていると結論付けたのか。

『警備部、延いては救援に来る部隊に対し猜疑心を抱いたのかも知れませんね』


「土壇場でさあ、普通そこまで考えられるものなのかな、赤井君?」

「さあ? 麻倉さん位のキレ者なら十二分考えられるとも想えますが、他はどうでしょうね。桜さんや菊さんなら兎も角、私では無理かと」


 では如何にして赤井の結論は弾き出されたのか。

 大乃の脳内は赤井の結論も加味し、ぐるぐると回転し先程の疑問に巻き戻る。


(本当に誰にも、何処にも連絡はしなかったのか?)


「……赤井君。君達が帰って来たのは何時だったかな」

「八日前の今頃です」

「事件発生直後だ」

「はい」







「珊瑚君か牡丹君。どちらからか連絡、届いてたね?」







「―――――― ……ゴハッ?!」


 息苦しさの余りもがき苦しむ本城は無意識の内に全力で手足をバタつかせ、なんとか仰向けになり気道を確保することで漸く覚醒した。

 明滅する視界と震える手脚。

 今も尚、雨に打たれ続ける身体は冷え、夏だというのに寒さまで覚える程だ。過呼吸を経て数回大きく深呼吸した後、本城はやっと自身が生きている事を実感する。

 だがそこに喜びは無かった。


「クッ……ソぉ」


 悪態を吐く気力はあるものの、直ぐ様この場から走り去る程の体力は無いと判断した本城は取敢えず身体を起こすため腕に力を入れる。


「……はんっ」


 思わず鼻で笑ってしまった本城だったが、明後日の方向にねじ曲がる右腕の気持ち悪さは笑えるものではなかった。

 全く腕の痛みを感じていないからこそ、その非現実的な光景の可笑しさに嗤ったのかもしれないが、今の本城にとってはむしろ歓迎すべき状態らしく。


「身体が動けるのならなんだっていいさ」


 上半身をやっとのこさで起こし、慌てず冷静に周囲を見渡す。


「……俺が生きてんのなら、アンタ等の負けだ」


 アスファルトの上、足を投げ出し座る本城の周りには細かなガラス片が飛び散り、隣には白目を剥き仰向けで倒れる吉島が、顔の穴という穴から血を垂れ流している。車体には折れ曲がった車止めのポールにめり込み、フロント部分は拉げ、薄らと煙を上げている。浮き上がったバンパーの隙間からは雨水の所為か時折火花を散らし、運転席から身体が半分飛び出た麻倉に降りかかっていた。







「届いていませんよ、そんなもの」

「あれ?」


 間の抜けた大乃の反応に赤井はやれやれと首を振る。


「良い線までいっとるがやけどねぇ」


 何処となく上から目線で大乃にはカチンとくる物言いだったが、それは呆れよりも同情の色が強かった。


「あんたの可笑しな所は、態々うちらの常識外れに付き合う所なんやけど」


 心底不思議そうに語る赤井の前置きを、口元を閉めて続きを促す大乃。


「だからって、あんた自身の感覚までうちらに合わせんでもいいがに」

「それはどういう……」


 大乃には心当たりがなかった。

 さも、自分が彼女達に迎合しているかの様な言い草だったが重要なのはそこではない。赤井から見て大乃が知らず知らずの内に、自分達に毒されていると判断された事の方が重要なのだ。


「問題です」

「っ?!」


 だからこそ焦る。

 常識が世間から外れるどころか宇宙へ飛び出し、異世界へワープしかねない連中と同期しつつあるなどと言われてしまえば、大乃も黙っている事は出来ない。


「交際中の高校生カップルが夏休みに海外へ出掛けました。何しに出掛けたのでしょう?」


 これは大乃がまともな思考を保てているかのテスト。

 一般的な常識を用いて推理を行う問題。

 赤井達に同類とみなされない為にも、直属の上司として舐められない為にも、大乃は答えを間違える訳にはいかない。と同時に、これは『私達が海外に行った理由、答えられるものなら答えてみなさい』という赤井からの挑発でもあると大乃は直感した。

 更には何故、赤井が警備部に主謀犯が居ると半ば断定的に話していたかも答えなければいけないと。


「……ふっ。何かと思えば、そんな簡単な問題」


 大乃は思い返す。

 夏休みが始まる前、想い人が噂で聞いたのだと嬉しそうに楽しそうに、年齢を感じさせない可愛らしい笑顔で教えてくれた赤井達の海外渡航理由を。

 だが彼女の言葉とて鵜呑みにする訳にはいかない。

 少々穿ち過ぎにも思えるが、春からの短い付き合いでも気位が高く指図される事を嫌う赤井(女狐)が平気な顔で他者を利用し嵌める姿を知る大乃は確信する。赤井がワザと珊瑚に渡航理由を流し、珊瑚()から又聞きした彼女(祖母)の口を使い大乃に流布させる事で虚偽を信じ込ませるという、実に下らないうえ回りくどい嫌がらせが行われていたと。


「僕が聞いた『十六歳の婚約者同士が行う伝統的な婚前旅行』というのは、嘘」


 このクソ生意気な小娘の裏をかき、鼻を明かす時が来たのだとほくそ笑む。


「実際は君達を警護対象から引き離す為、僕に知られず婚姻と子作りを早く済ませたい君達の心情を利用しそそのかした警備部内の誰かが考えた建前な訳だ。君達も特定の国で出した婚姻届は日本でも有効とか出鱈目な情報に踊らされて国外へ誘導されてしまった。だからこそ君は自身の失態に気が付き起きてしまった悲劇に意気消沈していた。それこそ全て諦める位に。違いないね?」


 一息で言い切り、どうだ参ったかと得意満面になる大乃。

 鼻を明かしてやったぞと好い気になる大乃へ赤井は悔しげに拍手を送った。


「おめでとうございます」

「なあに、この程度の簡単な推理 ―――」

「晴れて貴方も私達の仲間入りですね」

「――― え?」

「そもそも論で申し訳ないのですが」


 先程の焼き直しに赤井は再度、本当に残念だと首を振る。


「普通、高校生のカップルは夏休みに海外旅行へ行ったりなんかしませんよ」







「シートベルトが根元から外れるとか……」


 ふらふらと立ち上がり、いつの間にか細工が施されていた車内を外から観察した本城は、全てのエアバッグが作動していない事に軽く目眩を覚える。まんまとしてやられた状況にもだが、アスファルトへの着地の衝撃も一層酷かった。


「吉島は確実として…麻倉主任も……知ってたらここまでの無茶はしない…か?」


 思考を態々口に出すのは意識を保つ為。

 普通ならば救急車が来るまで身動ぎすら命取りの絶対安静の重体。

 にも関わらず本城が立ち上がったのは警護官としての、子供をもつ父親としての意地だった。


「動けるのが俺だけなら……俺の仕事だ」


 子供達の安全確保こそ、この現場における最優先事項。


「大丈夫だ……生きてる、間に合う」


 だからこそ、それを望んでいるからこそ本城は救援要請も忘れ、いち早く確認に向かおうとする。


「吉島ぁ」


項垂れる本城は振り返らない。感傷に浸る暇も無いと。


「博美ちゃん連れてよぉ」


それでも。


「プール行くんじゃなかったのかよぉっ!!」


 落ちていた拳銃を拾い上げベルトに挟み込むと、肩を振ることで漸く動く足を使い車へと進む。

 子供達を助ける為。

 この場から離れる為。

 自分の背に顔を向け続ける存在から逃げる為。

 暖かく赤い血は雨で流れ、冷たく残った抜け殻は本城の知らない、見知らぬ誰かだった。







「……名目上は公務員として、研修として、海外(あちこち)に飛ばされる事になったと事務次官から伺ったのですが、貴方は聴いていないのですね?」

「僕が聴いていたのは人員の増加だけで、君達が海を渡った理由が研修だとは知らなかったよ。……しかし、海外旅行の話を流したのは瀬田(せだ)君かぁ」


 赤井の言葉にやれやれと首を振る大乃の顔には瀬田事務次官なる人物に対する落胆と失望が見て取れた。

 ただ重く受け止めてはいないのか声色は今迄通り軽いもので。


「そもそも、瀬田君(事務次官)程度が君達の情報を握ってる訳ないだろう?」


 寧ろ赤井達の迂闊さに対して呆れを見せる大乃だったが、自他共に同程度の人間であると判明した今、赤井も容赦はしない。


「杜撰な組織管理がもたらした不祥事の原因を私達(学生)に押し付けないで下さい」


 尤もな主張だったが少女をただの学生扱いしていない男には響かない。


「君達は僕の直轄なんだから、僕以外からの指示には疑問を持って然るべきじゃない?」

「確かに、貴方の部下(瀬田)の言葉なら疑って然るべきでしたね」


 暗にお前の事も信用してねぇぞと明言しつつ『ですが』と続ける。


「外部とはいえ警務部長に警備部長と他数名の連名書。更には別紙で大臣官房の名まで出された異動辞令です。偽造すらされていない正式な公文書を叩きつけられては形式上宮仕えの私達は頷く他ありません」


 『貴方と髙山さんの名前も入っていましたよ』と言われてしまえば大乃も呻くしかない。赤井達に近付ける人間だけではなく、自身と同等、もしくはそれ以上の地位を持つ者達が関わっているのだから。

 明らかに話の規模が変わってきた事で大乃の声は僅かに固くなる。


「警察庁はなにやってたんだろうねぇ」

「ころころと責任を押し付ける先を変えないでください」

「あぁ~あ。部長クラスから洗い直しとか勘弁してくれないかなぁ」


 眼鏡を外して目頭を揉む老人を冷めた目で見下ろす女子高生は鼻で笑う。


「貴方の所も含めて、膿を出し切るいい機会ではありませんか」

「軽く言ってくれるねぇ。首から上がそっくりそのまま別人に挿げ替わるかもしれないってのに」







「何する気?」


 背筋がしゃんと伸びる様な、生徒の間違いを正す学校の先生を彷彿とさせる声に本城は歩みを止める。


「お、大守…隊長?」


 下半身が重く、上手く動く事の出来ない本城は首だけ回し背後の人物を確かめる。一瞬、吉島が起き上がった可能性も考えたが、彼女はアスファルトの上で横たわったままだった。


(何時の間に……)


 車へと視線を戻し助手席を見ればもぬけの空。成程、一緒に外へ飛び出たが身体の軽い大守の方がより遠くへ、自分を通り越したのかと納得し、今度は身体ごと振り返る。


「もう一度聞く。何をする気だ(・・・・・・)


 続けて飛ぶ大守の質問に本城は何と答えるかを考える。

 本城としては一分一秒すら惜しい状況で、『子供達を助けに行く』と言ってそのまま前進したかったのだが、彼女が握る拳銃を眺め、それは困難だと把握する。


「落ち着いて下さい」


 大守を説得しにかかる本城は心中焦る。

 事故直前の麻倉との遣り取り。そして吉島の発砲と咄嗟に掴んでしまった大守の上着。更には一緒に仕事をしていた期間が短く、同時期に部隊へ編入した自分と吉島が牡丹から避けられていた事。これら全てが材料となり、大守の猜疑心を形作っていると理解したからだ。

 片腕を上げた本城の視線が、拳銃を構える腕から大守の瞳へと移る。

 部隊の内二人が先に(・・)撃たれた。

 専守防衛の四文字が頭を過る。


「俺は ―――」


 子供達だけではなく妻や息子の顔まで思い浮かべる本城は返す言葉を考える。死ぬ訳にはいかないと、眼前の恐怖から逃れる為、いち早く信じて貰う為。

 だからこそ、本城は態々聴かれてもいない事を口にしてしまう。


「俺は、子供達(・・・)の味方です」

「そう」


 笑みを浮かべた大守に、本城も安堵の息を吐く。


「じゃあ、私達(・・)の敵って事ね」

「……ぇ?」


 本城に訊き返す時間は与えられなかった。両腕で確りと構えられた拳銃の銃口は本城の身体を狙い、撃鉄は既に引き起こされ、そして ――――――。







「色々と話しましたが結局の所、現場に残された遺体と状況証拠のみの推理であって、事実か如何かは判りません」

「そう? 良い線いってると思うけどなあ」


 仮定の話だとしても十分信憑性は有ったらしく、赤井が送った辞令のコピーデータを自身のスマホで方々にニヤ付いた顔で送信する大乃。


「人事部に恫喝ですか?」

「数人呼び出して簡単な質問するだけだよ」


 赤井の中で『数人拉致って拷問するだけ』と変換される大乃の呟きは無視された。幾ら事件解決の為とはいえ、法外で人道にもとる捜査は少女も望んではいない。

 だが親しかった者達の無残な遺体を見せ付けられ、子供達の生還も絶望的となった今、確かに赤井は色々と諦めていた。真っ当な方法では解決出来ないのだと。


「……やはり杜撰過ぎると、そうは思いませんか?」

「ん?」

「主謀犯の計画についての話です」


 先程の組織管理如何の蒸し返しかと、急な赤井の語り出しに大乃はスマホから視線を外すが内容は違っていた。

 赤井は相変わらず正面の真っ白なスクリーンに目を向けたまま此方を見向きもしない。


「君達二人の一時帰国と事件発生日が重なっていることかい?」


 事件が発生した直後と思われる時間、二人は空港に降り立っていた。

 二人の一時帰国は偶然であり、赤井側の話では予定に組まれたものではなく研修受け入れ側の『夏休みで担当者の数が減ったから』というものだった。

 日本では中々に有り得ない話だが、海外研修自体が内部犯の急な計画だとしたら受け入れ先との調整に不具合が出ても頷ける。


「君達の急な帰国の知らせに慌てた奴さんがボロを出した。それだけのこ ―――」

「メールを、送ったがです」

「――― ………」


 僅かにだが、震えていた。

 大乃は何も言わず正面に向き直る。

 小さく、鼻をすする音を聞いた。


「私が、私達が連絡を取ったがです」


 『珊瑚君か牡丹君。どちらからか連絡、届いてたね?』と、先程口にした質問が随分前の事の様に感じる。


「ひと月も経っとらんがに、あの子達、久し振りに会いたい会いたいって……」


 珊瑚と牡丹との、最後の遣り取りだったのだろう。


「その日の夕方、一緒に、食事に行こうって。麻倉さん達…も、…行き、ま……って」


 自分達の、私の所為だと小さく途切れ途切れに罪を語るのは懺悔。

 その内容に、大乃は驚愕する。


その日の(・・・・)夕方(・・)?」


 乱暴に音を鳴らし椅子から立ち上がる大乃は蹲る赤井を見下ろす。


「それじゃあなにかっ?!!」


 普段は絶対に見せない大乃の慌て振りに赤井は俯いたままか細く不気味に『ふふ』と笑みを零す。


「君達は僕らが事件を知る前から!!! ……いいや遺体発見の通報がっ!! 第一報が警視庁に送られる、その、前…から……」


 荒げた声は段々と尻窄みに。最終的に全てを察した大乃は黙り込み、倒したパイプ椅子を直して再び座り直す。


「現場の第一発見者でもある通報者の男性(・・)は身元も行方も不明、か。君は運良く捕まえることが出来たけど、八日間も隠れて一人で何してるのやら」


 その疑問に赤井は応えず、目元を押さえていた桜色の手拭いを勿体ぶる様に、ゆっくりと広げ濡れた箇所を内側に畳み込み懐へ仕舞い直す。


「私たちの帰国は全くの偶然でした」


 そう答える赤井の声音は鼻声でも涙声でもなく、先程から時たま見せる虚ろな表情でも無い。毅然とした、はっきりとしたものだった。

 赤井は背筋を伸ばし、大乃を見詰める。


「首謀犯の方はさぞお焦りになったでしょうね。海外にまで退かした厄介者達が急に日本へ帰ってきたんですから」


 大乃はサウナの様な会議室内で冷や汗を流す。


「さぞ間抜けに映ったでしょうね」


 拙い事になったと。


「何も知らず、悪魔共に喜々として情報を流していた私達はッ…!!」


 叫ぶと同時に今度は赤井が立ち上がり大乃へと掴みかかった。

 延ばされた両手首を反射的に掴み取り動きを抑えようとする大乃。女子とは思えない腕力でぎりぎりと腕は延ばされ、終には大乃のシャツの襟を握りしめ、止まる。


 握り締める赤井の両手はとても小さく、小さく小さく震えていた。

 大乃は自分が握り込んでいた少女の手首を、見た目以上に細く感じたそれを放す。

 赤井の表情は伺えない。

 己の襟を掴み、背を曲げ俯き、力なく膝をついて呻き声を上げる赤井は、ただの女子高生だった。

 見付からなかったと、ごめんなさいと。

 そう聞こえた呻き声に、かけてあげられる言葉は無かった。


 集団の、後方の列にいた何人かの刑事が後ろを振り返り、何やら騒がしいぞと目を向ける。

 しかし、後ろへ向いた意識は直ぐに正面へと引き戻される。

 一人の刑事が会議室へ慌てて入室し髙山刑事部長に対し大声で、警備部部長が何者かに攫われた旨を伝えたのだった。







「やってくれたな」


 髙山はパイプ椅子に座る大乃と赤井を見下ろす。


「何の事かな?」


 大乃は、パイプ椅子の上で器用に体育座りをして膝に顔を埋める赤井に向けて団扇を煽ぎつつ答える。

 今にも殴り掛からんとするほど肩を怒らせ二人を睨め付ける髙山。しかし、声だけは驚くほど平坦で落ち着いたものだった。

 髙山健悟(たかやまけんご)

 張りのある四角い顔に灰色の髪を七三に分けた頭。大きな口は横一文字に強く結ばれ目は鋭くギラギラと光を灯している。

 その相貌は確かに管理職然としてはいるが、熊の如く大き過ぎる体と強過ぎる目力はどうしても現場職の人間で在る事を表していた。

 警視庁刑事部部長。

 つまり東京都の刑事のトップで、武骨な体格とは反し所謂キャリアである。髙山は今回の事件を刑事部長の権限により特別捜査本部の設置を発令していた。

 髙山の小学生になる孫が友人と都内のプールへと遊びに行った帰り、友人と共に行方を晦ましたのだ。当時、同行していた警視庁警備部警護課警護第四係の二名も、である。

 本来、親族の人間が関わる事から髙山は捜査から外される筈であった。だが髙山はこれを拒否し、公安委員会や警視総監に直接掛け合い捜査権を掴み取ったのだ。

 部下達は何も言わずに付いて来ていたが外部から見れば孫可愛さに強権を振るう哀れな男に写っていたことだろう。

 だが髙山は知っている。

 自分達刑事部が大々的に捜査を行う半面、公安も静かに動いていた事を。

 『それでいい』と、大柄で荒々しい雰囲気に似合わず理論的で冷静な髙山の頭脳はこれが最適である事を理解していた。

 自分が大きく動けば動くほど此方に視線が集まり、刑事部に捜査権が移されたとして注目から外れた公安が警視庁内外で動きやすくなる事を。

 しかし、この件は目立ち過ぎだった。


「聞こえただろう。一時間程前、権田(ごんだ)警備部長が外出の際に何者かに拉致された」

「それが? 僕達に何の関係が有るんだい?」


 髙山に顔を向けず、何か言いたげな表情で赤井に向かって返事をする大乃。

 先程は赤井を扇いでいた団扇で何故か今は赤井の後頭部をぺしぺしと叩いている。

 特に意味の無さそうなふざけた行動をする大乃に髙山は溜め息を付く。狙ってなのか、この男はこういった行動で相手の毒気を抜いたり煽ったりするのだ。自分のペースに巻き込もうとしているのだろうと、そこそこ付き合いの長い髙山はそう考える。

 傍目からでも『落ち込んでいますからほっといて下さい』という状態の赤井を見兼ね、髙山は大乃から団扇を奪い取る。

 会議室の最後尾での様子をしっかりと観察していたのだ。今はそっとしといてやれとばかりに大乃の後頭部を団扇で叩くと赤井の右隣へ、床に直接どかりと座り込み胡坐をかく。

 熊の様な体格の刑事部長と椅子の上で体育座りをする浴衣姿の女性に胡散臭そうな小柄な老人という何とも奇妙な組み合わせに、会議室に居た刑事達は結局あの二人組は誰なんだと首を傾げ部屋から退出して行く。

 警備部長拉致という問題発生の為、報告会は即刻中止となり手の空いている者達は捜索に駆り出される事と成ったのだ。


「珊瑚達の件は正式に公安へ移る事に成った」


 髙山は団扇を扇ぎつつ語る。


「俺は権田警備部長の捜索を任された。こいつ等を借りるぞ」

「え~~? 僕達は関係無いのにぃ?」


 尚も真面目に取り合わない大乃に対し髙山は写真を一枚、赤井の座るパイプ椅子の脚元に腕を通して大乃へと手渡す。


「白を切りたいのなら赤井をちゃんと着替えさせてやるべきだったな」


 はてと、大乃は隣を見遣ってから手元の写真へ目を通す。

 それは高所から街中の風景を写したと思われるカラー写真。

 そこに映るのは見覚えのある腹の出た丸顔の中年男性と、やはり見覚えのある浴衣姿の長髪美女。


「不倫現場?」

「違う」

「意外と禿が目立つね」

「そこはそっとしといてやれ」


 色々と間違いでは無いが違っていると首を振る髙山。


「化粧をしていて解り辛いが鈴木だろう。そしてこの浴衣」


 明るい黄色の生地に銀糸で派手に菊唐草を誂った浴衣である。究め付けに白色の帯に描かれた一輪の真っ赤な椿が。


「……君達の服飾のセンスってさ、中々あれだよねぇ」


 本気で呆れた声を出す大乃に俯いたまま『ほっといて下さい』と小さく答える赤井。


「大きく騒がれる前に方を付けたい。山戸桜(やまとさくら)関胡蝶蘭(せきこちょうらん)山椿(やまつばき)の三人だ」

「君さ、その三人のこと結構気に入っているよね」


 『勝手にどうぞ』と赤井の頭上で写真を返す大乃。


「…好きに動くのは構わんが、手綱はしっかり握っておけ」


 写真を受け取った髙山はそこに写る浴衣姿の髪の長い美女、鈴木を渋い表情で見詰める。


「お前達には、迷惑を掛けたな」


 それは大きな体には似合わない小さな呟きだった。


「何時も孫が、珊瑚が我儘を言って」


 ぽつり、ぽつりと零す言葉は小さく。


「海外に居たお前達と行けるかも分からない、祭に行く口だけの約束なんかもさせて」


 雫となり写真を濡らす。


「俺は喧嘩を売る相手を見誤った。用心してはいたが、まさか本当に手を出すとはな」


 責任は俺に在るのだと、そう語る。


「警視庁内部でも怪しい動きをしている連中が居るのは知っていた。だが尻尾を掴めなかった」


 髙山は立ち上がり手に持っていた、祭りの文字が入った青い団扇を赤井の帯へと差し込む。


「今回は見逃す」


 大乃と赤井を見下ろすその表情は、既に孫を想う年老いた祖父ではなかった。


「鈴木に伝えておけ。動機は何であれ、再び俺達に歯向かうのであれば容赦せんとな」

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