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人の国は竜王国から一山越えた平野に無数に存在している。この山は人の間で「巨大竜の遺骸」と呼ばれるほど大きく、竜信仰のもの達の間では神格化されるほどのものでもあった。そのため越えることは非常に難しく、人間は越えたものが誰一人としていないという。
竜には関係ないけどね。空飛べるし。
という訳で、今私は竜化して人の国の上空を飛んでます。あ、もちろん見つからないように。
竜化できないレオンは背中に乗ってます。
「俺が目星をつけている国は、イゾルデ王国ですね。あそこにある自治区には移民が多くやって来るので怪しまれにくいですし」
「....ねえ、レオン。今、兄さん達いないから普通に話したら?何か堅苦しい」
「....悪い、つい癖で。....それで、だ。移民に紛れて入ろうと思うから、少し手前で降りれるか?」
「うん、大丈夫」
私は身を隠していた雲の隙間から下を覗き、誰もいないことを確認してから下降した。
大きな音をさせないように、慎重に降り立つとすぐさま人型に戻った。
「どう?まわりに気配はない?」
「大丈夫だ。向こうの森に動物の気配があるぐらいだな」
そう言うがはやいか、レオンはさっさと歩いていってしまう。遠くに見える城壁がそのイゾルデ王国の自治区だろう。竜の眼だからこそ見えるけど、普通の人間にはなにもない平原としか思わないだろうな。
「それにしても、レオン。本当にズボンはいたらダメなの?スカートって何か居心地悪くて」
普段着なれている動きやすいズボンとは違い、ゆったりとしたシルエットの丈の長いスカートはどうも居心地が悪い。
「我慢しろ。それが人間の普通の格好なんだから。人間の女はズボンをはくことはあまり快く思われないらしいしな」
仕方ない....諦めます
大勢の人間が城門前で一列に並ぶなかに私達は紛れ込んでます。こんなに簡単に入れ込めたらダメなんじゃないだろうか。と、心配になるもののちゃんと対策はしてあるのだろう。
移民達が一人ずつ通っている門には魔法をかけた跡が見えるので、あれで害意を持つ者を選別しているのだろう。あ、一人どっかにつれてかれた。
「ね、ねえ。私達大丈夫だよね?捕まらないよね?」
「大丈夫だろ。何も破壊活動をしに来た訳じゃないし。....まあ万が一の場合は竜化でもして暴れてくれればなんとかなる」
あまりに簡単に言ってのけるものだから、唖然としてしまった。
「ダメでしょそれ!そもそも、絶対に人に正体を見せるなって父さんから言われてるのに!」
澄まし顔で私の言葉を無視しているレオンの横顔を睨んでいると、「次!」と声がかかった。ようやく私達の番か。
「はぁー。緊張した....」
はい、なんとか無事に入れました。門の下通るときとか心臓ばくばくでどうにかなると思ったよ。
「とりあえず今日は宿でもとってから、明日物件探し始めるぞ。並行してやることも多いし、明日からは忙しくなるから覚悟しとけよ」
「....精神的に疲れたから、とりあえず早く休みたい」
レオンにため息をつかれた。
ぐだぐだ続きます....
いつになったら孤児院できるのやら