第3話 赤焼の草原亭
遅くなりました。アヴァロンの騎士です。
実に暑く、暑く、そして暑い………と言うより熱い日が続いていますが、熱中症等には気をつけてください。
では、第2話(*´∀`)つどうぞ
「へぇ、ここが赤焼の草原亭か。外見はなかなか良さそうだな」
目の前の宿屋に感嘆する。レミナは自信満々に、
「そりゃこの街一番の宿ですからね。でも中も凄いですよ?」
「そうか、そりゃ楽しみだな。じゃあ早速チェックインしなきゃな」
中に入ってみると、何とも落ち着いた感じの空間が広がり俺的には好感度up。何かのハーブなのかいい香りが漂っている。
「いらっしゃいませ!!『赤焼の草原亭』へようこそお出でくださいました」
「ああ。1泊いくらだ?」
「はい、一泊銅貨5枚です」
「では、10泊分頼む」
「10泊ですね。では大銅貨10枚です」
ん?と言うことは大銅貨は銅貨5枚分か?銀貨で払ってみよう。
「じゃあこれで頼む」
何となくパーカーのポケットから《ストレージ》で財布を取りだし、銀貨5枚を支払う。さあ、釣りはいくらか……。
「はい。銀貨3枚調度ですね」
成る程、どうやら10進法のようだな。金貨1枚→銀貨10枚、銀貨1枚→銅貨10枚。で大銀貨1枚→銀貨5枚、大銅貨1枚→銅貨5枚。銅貨1枚は日本円で100円くらいか?
「では説明させていただきますね。ご飯は日の出入り一時間以内でお願いします。時間外だと銅貨2枚の別料金です。昼食も別料金銅貨2枚ですね。後は、体を拭くタオルケットは銅貨1枚、お湯も銅貨1枚です。洗濯にも別料金がかかります。外出の際はカウンターに鍵を預けてくださいね。では、こちらがお部屋の鍵になります」
まぁ、確かに金はかかるな。でも丁寧だし、確かに良い宿屋なんだろう。取り敢えず、俺の部屋は351号室か。
「ああ、ありがとう」
説明してくれた定員に礼を言った後、レミナにここで待ってもらい、俺は部屋を見に行く。
「――なかなか広いじゃないか」
広さは12畳位だった。ベッドと机に椅子とシンプルだが、雰囲気を壊さない内装だった。棚もあるな。
取り敢えず一通り見て、レミナのもとへ戻る。
「お待たせ。じゃあ行こうか」
「は、はい♪」
カウンターに鍵を預け、食事処へと向かう。
レミナが最近のお気に入りだと言うお店に入る。大衆食堂にしては上品な所と言うのが印象だった。
――何故過去形?と、思った読者諸君に説明しなければならないな。――何故俺がギルドの修練場でレミナとかなり距離を開けて対峙していると言うこの状況の説明と共に――――
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ピンポンパンポーン!『~30分前~』
運ばれてきた『ボア肉と香草のステーキ』を食べている最中、レミナはこんなことを頼んできた。
『あ、えと……、シオンさんはこのあとどうするのですか?』
『どうするとは?』
『――パーティとか、組まないのかな?……………なんて…』
『パーティか…………今のところは誰とも組む気は無いが、どうしてだ?』
『その、私と、パーティを組んでほしい………と、思いまして………』
『――何故?』
『それは……シオンには嫌かも知れないですけれど、あやかりたいなぁと。私は魔法使いですから、接近されると対処が難しいので』
『……成る程、少なくとも俺には真っ当な理由に思うが、レミナは異性と、それも今日知り合っただけの男で不安はないのか?』
『え?』
『どうした?魔法使いで接近に弱いから接近戦に自信のある人を前に立てれば、自分は魔法による支援に集中出来る。そうすれば、パーティとしてのバランスもよく効率よく討伐出来る――――それのどこが真っ当な理由ではないんだ?俺なら当然だと思うが。それにそれを素直に言えるレミナも少なくとも信用に値する』
『じ、じゃあ……』
『だが、だからと言って組むとは言っていない。ダメだとは言わないが責任もつくため、自分の身は自分で守れる、自分の足で逃げられるヤツじゃなきゃ、組めない。遠距離攻撃はレパートリーは少ないが、いくつか持っているしな』
『そ、そんな……………』
『だから、テストしよう』
『………テスト…ですか?』
『そうだ。それなら早いだろ?レミナの実力をより正確に測ることが出来る。それとも自信がないのか?なら、この話は―――』
『いえ、やります』
『……………良い目だ。じゃあギルド修練場で今から30分後に始めよう。ルールはレミナが魔法で俺を攻撃、俺はそれを避けるまたは防ぐ。レミナが魔力切れを起こすか、俺が膝をつくかでテスト終了。終了後に総合的に見て合否を教える。互いはそれぞれ20メートル離れてスタート。これでどうだ?』
『……わかりました』
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と言う訳だ。レミナは20メートル先で杖を構えている。俺は自然体で剣を鞘に納めたまま担ぐような構えをとっている。
残り10秒で開始だ……レミナ、君の実力を見せてくれ。
…………3、2、1………スタート。
「『ファイアアロー』」
レミナの杖の先端に炎の矢が1……2……3……4………………20!?!?
驚いた。20か……すごいな。
「いきなりファイアアローか!」
「これはレミナちゃんの勝ちか?」
ギャラリーも盛り上がっている。要らないが。だが、レミナはなかなか優秀のようだ。
20の炎の矢が雨のように降り注いできた。そして爆発音が鳴り響く。ちなみに、模擬戦での負傷は金がかかるが回復してもらえるそうだ。更に特殊な魔法でこのフィールド内ではダメージが軽減されるようだ。だからこんな状況でも、ギャラリーからは悲鳴などは上がらず、更に盛り上がった。よくみると今朝の三人組もレミナを応援している。
「どうですか!私の魔法は!」
うん、素晴らしいと思った。この数、更にこの威力、才能に溢れているのだろう。
「ああ、すごいな。正直君を見くびっていたよ」
「「「「「「!?!?!?!?!?!?」」」」」」
フィールドで燃えていた炎の中に一筋の切れ目が入り、そこから無傷の俺が姿を表す。その光景に、ギャラリーやレミナは目を疑った。
「威力、発動速度、コントロール、数。見事だとしか言えない。でも、俺にこれでダメージが通ると本気で思っていたのか?」
「そ、そんな。どうやってあの数を」
レミナは信じられないとばかりに声を漏らす。俺はにはしっかりと聞こえたのでちゃんと答えた。
「ああ、切った」
「「「「「き、切った!?!?!?!?!?」」」」」
その声はギャラリーからであった。うるさいな。
「所詮魔法は魔力の集合体だ。なら、魔力操作で魔力の刃を作り、投擲すれば対処は出来る」
「「「「「……………」」」」」
全員が黙る。静かで集中できるな。
「…………終わりか?」
レミナは1度目を瞑り、そして叫んだ。破壊の魔法を。
「『エクスプロージョン』!!!!!!」
杖の先端にエネルギーが集まり、それが尾を引きながら迫る。
確かにこれはさっきのは通用しにくい。が、問題ないのだ。ズルいがね。
「『ディメンション・ゲート』」
剣で光の前の空間を裂く。破壊の光は空間に吸い込まれ、
「『ゲート・オープン』」
で離れた場所に着弾、爆発した。
レミナは大きく目を見開き、膝をついた。
「良かったよ。レミナの実力がわかった。だから…………おやすみ。『ディメンション・ゲート』」
そして『ディメンション・ゲート』でレミナの首筋のところに空間の穴を開けて、自分の右腕でレミナを打撃し気絶させた。
レミナは崩れ、フィールドに横たわる。俺はそれをお姫さま抱っこしてフィールドを後にした。
「―――んぁ?………ぁ、あれ?ここは………」
ん?目を覚ましたか。
「おはよう、レミナ。ぐっすり眠れたか?」
「………???…………………?!?!?!」
レミナが俺の顔をはっきり捉え、そして今の状況がわからずそのまま起き上がった。
「な、なな、ななななんで!?!?!?」
レミナは挙動不審に陥っている。さて、質問には答えたくては。
「覚えてないか?俺がレミナを気絶させてテストを終了した。で、しばらくして寝始めたから俺の膝を枕がわりにして寝かせていた。迷惑だったのか?」
「い…………いえ………/////」
ん?顔が赤いな………熱でもあるのか?
~~~ちなみに~~~
うわあぁあああぁぁ!!ばかばかばか!!私のバカ!!!!もったいないことを!!せっかくの膝枕を……そんな千載一遇のチャンスに寝ていたとか!!!!ばかばかばか……
ってことみたいだ。素直で可愛らしいがシオンは気づいていないようだ。鈍感ではないはずだが……。
まあ、等の本人は修行ばかりで恋愛などにうつつをぬかさなかったため、この年で未だ恋愛がどういう物か理解できていない。だから、これまで幾らか告白されたが全て断っていた。羨ましい悩みだと思う。
「ん?まあ、問題ないならそれでいい。で、テストの結果だが………」
「っ!?!?!?――――はい……」
レミナはすごく意気消沈としている。それもそうだろう。何せ何も出来なかったのだ。自分が今まで努力して積み上げてきた実力が遠く及ばなかった。自分は彼の隣に立つことは出来ない。~私はダメだった~そんな言葉が心を貫く。既にレミナは目尻に涙を浮かべて俯いていた。
――――だから、次の言葉の意味が、レミナには理解できなかった。
「――レミナ、是非俺とパーティを組んでくれるか?」
その言葉に、ギルド内の人々が思考を停止した。
「―――え?」
レミナも同様であった。ただ疑問の声が思わず漏れてしまった。私は何と言われたの?『不合格』とか『弱い』とかじゃない? え?彼は『パーティを組んでくれるか?』と言ったの?
現実を否定した言葉と、シオンの言葉がレミナの耳に響く。レミナはすぐに理解出来ず、尋ねた。
「――えと、それってどういうことですか?」
シオンはただ、
「合格だ、俺と一緒に上を目指そうと、言ったんだが……」
その一言で、レミナはようやく理解できた、そしてレミナの頬を、温かい涙が流れ落ち、泣き痕が生まれる。たまらずレミナはシオンに抱きつき、そして泣いた。
「………うっ……ひっぐ……よ、よかったぁ……うわぁぁああん!!!!」
「う、うぇ!?!?!?」
シオンはいきなりレミナに抱きつかれ、挙げ句に泣き出されたためどうしていいかわからず、取り敢えず人目に晒されたくなかったので、急いでレミナの手を引きながら宿へと戻ってきた。カギを閉めてレミナをベッドに座らせる。そのあと自分も隣に座ったが、レミナにまた抱きつかれ、戸惑ってレミナに聞いた、
「な、なぁ…どうして泣いてるんだ?俺、何か酷いことを言ったのか?」
シオンはただレミナの頭を優しく撫でていた。どうしたら良いか分からず何となくレミナを優しく撫でる。この場合はそれが正解だった。レミナは段々と落ち着き、やがてゆっくりシオンを解放し、
「……だって、あれだけ無力に終わったのに………パーティ組めないんだって思ったのに……シオンさんと一緒に冒険できるんだって分かった途端に…嬉しくて………」
シオンは黙ってそれを聞いていたが、今のレミナを心ではこう思っていた。
(………可愛い……っ!!可愛い!?!?今までクラスの女子が可愛いとかちっとも思ったことなかったのに!?!?…………そうか、これが『可愛い』なのか……)
かなり酷いがシオンはレミナを可愛い女の子と認識したようだ。
(………??なぜ何もしていないのに、息切れと動悸がするんだ?これは………)
……どうやらレミナにとっては嬉しい誤算のようだ。実際シオンはレミナを好ましく思っていた。自分の荷物を乱暴……ではないが、粗末に預けていたが、普通ならそのまま盗まれても仕方がないような状況の中、しっかりと荷物を守ってくれていた。しかも、初対面であり、かつ異性でありながら実に友好的に接してくれた。―――正確には友好的にというより完全にフラグで既にシオンに堕ちていたのだが……。
「―――そうか、その………ありがとう、レミナ。初対面ながらそんな風に思ってくれて。今日から俺たちは仲間だ。だから、その…………よろしくな」
シオンは努めて笑顔を作る。もちろんレミナを安心させるためだ。しかし、残念ながら……
「……っ!!!!―――は、はい………///」
立ち上がったフラグの根本をセメントで固めてしまったが―――――
やっぱり文才が…………。
レミナはちなみにランクFです。得意な魔法は『火』と『水』、そして特殊の『破壊』です。『破壊』は使用魔力が多くレミナは最大2発までしか『エクスプロージョン』出来ませんが、威力はなかなかです。
レミナの敗因は……まぁシオンが規格外だったのですが……魔力が足りなかったからです。これからもっと増えます!!!!
次回は装備を整えて、狩りに行きます。
既にいくつかお便りが来ていたので、参考にしながらより面白くなるよう努力していきたいと思います。
読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしければ、読んでいただけると嬉しいです。
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~追伸~
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