嘉陽玖苑
玖苑side
ずっとずっと憧れてた
天才と言われるその姿に
力の強い嘉陽家として生まれたのに私にはほんのわずかな魔力しかない
嘉陽の恥さらしと言われ親にも見捨てられた
そんな私が歩きやすいように
苦労しないように
いつも先に立ってレールを敷いてくれたのは兄だった
兄の力は歴代の中でも強く、私とは比べものにならない
まさに嘉陽家の当主になるべき人
周りには厳しくて嫌われがちな兄だったけど私には優しくて大好き
そして鴉蓮
私の好きな人
分家の嘉月の人間
私と兄を守ることが義務の人間
周りの分家の人間は力がなく、失敗作と言われた私にすらへこへこ頭を下げたのに彼は違った
家という概念から逃れようと必死に足掻くその姿が私には羨ましかった
私にもそんな勇気があったらって思った
彼もまた天才と言われた
分家とはいえ、力のある家系には違いないのだから当主になれば幾らかは裕福な生活が送れるのに彼はそうしなかった
そんな彼に私は恋をした
憧れはいつしか恋心に変わってた
私もこうなりたいと強く願った
それから#NAME1#と過ごす時間が増えて私の生活が変わっていった
楽しいって感じることが多くなった
#NAME1#から告白された時は本当に嬉しくて涙が止まらなかったんだ
そんな大好きな#NAME1#だもん
見捨てるなんてできなかったんだよ
あの日の出来事を私は一生忘れない
私達の運命を変えたあの日のことを
私は忘れない
ううん、違う
忘れられない
#NAME1#、大好きだよ




