表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

早く強くならなくちゃ

運命の小学校時代をここに(日記に)記そう。

 小学校入学式の朝。いつものように起床は五時。魔力を取り戻すため精神統一を二時間こなした。体内に気が十分に行き渡った気がして以前通りできる気がしてきた。

 いや、もう、今日こそ、できる。

「煉獄の焔よ 我に示せ――――――――」

リビング中に鳴り響く怒号で全身全霊を込めて唱える。

「うるさーい! さっさと飯を食え飯を」

父親である大蔵が、負けず劣らずの叫びを放ってきた。

 父上はまるでわかっていらっしゃらない、柴田は大きくため息をついた。

 昨日、偶然見た映像に、俄然ファイトが、湧いてきた。

 まさか、あんなに凄い魔法があるなんて思わなかった。アニメ番組、『タイガーボール』。村 五郎が放つ魔法つるかめ波。まさか星すらも吹き飛ばす程の魔法があるとは。属性は恐らく、光だろう。そして、柴田自身、初めてつるかめ破を放った村 五郎と歳が近づいてきたことに気づいた。

 今日はできると思ったのに。残念だ。

 どうもこの世界ではテレビという、雷属性の魔動機が出回っているらしい。水晶玉のような役割を果たしており、至る所で、強大な戦闘が行われている。

 特に強力な魔法などを放ったりする村 五郎のようなアニメの者たちは、あまりの魔力故からなのか、紙芝居を動かして実況するなど、中々熱心だ。特に村 五郎は、今までに見たことも無いくらい強い。

 父の大蔵が無理矢理掴まれて、強引に座らされそうだったが、とにかくもがいた。成人の男をはねのけるだけの力をつけるのも勇者だ。

「ほらほら、喧嘩してないで。さっさと食べちゃいなさい」

そう言いながら母の弥生がお皿に卵焼きを乗せていたので、観念して、大人しく席に座った。

 今日も魔法が出せなかった。のんびりしてる場合じゃないのに。

 早く村 五郎に加勢して、ミクロを倒しに行かなくちゃいけないのに。こんなんじゃ足手まといだ。

 俺は、早く、強くならなくてはいけない。

 朝飯を手早く済ませ、柴田は家から学校まで、全力で走った。距離は四〇〇メートルの距離。さすがに全力で走りきることはできないが、だんだん距離を伸ばしていけばいい、今日は、一五〇メートル全力で走ろうと決心した。

 途中で転び、傷だらけになりながらも、学校へ到着した。

 一年二組の教室、この部屋を守ることも勇者の務めなのだ。

 始業式が始まり、柴田は熱心に校長の話に耳を傾けた。校長は中々、いい話をする。幼稚園でも思ったことだが、この国の教育はいい。道徳とは素晴らしい考え方だ。この国の大人に育てて頂ければ、みんな素晴らしい人格に育つことは間違いない。

 ただ、惜しむらくはこの国は戦う者がいない。戦乱が無き今、戦いは必要ないと言うのが、この国の考え方だ。素晴らしい考え方だが、厄災とは不意にやってくるものだ。だから俺は強くなってこの国の平和、いや、全世界の平和を守らなくてはいけない。

 今は村 五郎がミクロと戦ってくれているが、一〇日後のミクロゲームの結果次第ではどうなるかわからない。俺も村 五郎の考えている通り、息子の村 八郎が今回のミクロゲームのカギだと思っている。

 こんな事をしている、今この時でも、彼らは激烈な修行に励んでいる。

「あの、聞いてる。大輔君。自己紹介! じ・こ・しょ・う・か・い!」

「自己紹介なんてしてる場合ですか!」

思わず立って先生に叫んでいた。

 結局その日は、廊下でバケツ持ちの修行になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ