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聖樹の国の禁呪使い  作者: 篠崎芳
聖樹の国の禁呪使い えくすとらっ!
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Ex18.「くんれんがっしゅく!(10)」


「ごくっ……では、いきますっ」

「何を緊張している? こんなもの揉み療治と大して変わらんだろう」


 ペアの相手は、キュリエさんだった。


 日焼け止めの薬を手に馴染ませ、敷き物の上でうつ伏せになるキュリエさんにいざ、塗り始めようとしたのだが……俺の手は、そこで止まってしまっていた。

 ハッとするキュリエさん。


「す、水遊着の中まで塗らなくていいんだぞっ?」

「いえ、そ、それはわかっていますが――」


 肌に直接触れるのが少し気恥ずかしい。


「私だってまるで恥ずかしくないわけではないぞ? だが、おまえなら安心だと思っているから我慢できるんだ。ほら、さっさと済ませてくれっ」


 覚悟を決めるか。


「わかりました。では――」


 ニュチッ、ニュチッ。

 日焼け止めの薬を塗り込んでいく。

 キュリエさんの身体に触れていると、不思議な身体つきだと感じる。

 引き締まった身体だが肉づきに硬さはない。

 トップアスリートの身体は意外と柔らかい――以前いた世界でそんな話を聞いたことがある。

 彼女の身体もそういう感じなのだろうか。

 聖素をその身に通す人間は身体能力自体が向上するとも聞いた。

 華奢なセシリーさんがキュリエさんを物陰から引っこ抜く時に発揮した謎の力も案外、聖素による恩恵なのだろうか。


「く、クロヒコっ……」

「はい?」

「塗る手つきが、なんか変じゃないか……?」 

「あ、すみません。少しキュリエさんの身体つきを味わっていたので」

「そうか……ん? なんだと!?」


 そのひと言と同時に、塗り合いをしていた他の女性陣が一斉に反応。


「やっぱり、戦闘用の身体つきですよね」

「あ――ああ、そういうことか……まぎらわしい」


 他の女性陣の殺伐とした気配が――主にセシリーさんとマキナさんだったが――霧散した。


「ま、私は鍛えているからな。胸がもう少し小ぶりだと、戦闘には最適なのだが」


 敷き物の上で、ぐにぃっ、と潰れている豊かな胸に思わず視線がいく。


「なんだ? まさかおまえ……私の胸にも、塗り込みたいのか?」

「いえ、そんなことは――」


 寝そべったまま振り向き――意識的ではないだろうが――蠱惑的な笑みを浮かべるキュリエさん。


「塗り合いにかこつけて……なんだ、私のを触りたいのか?」

「どっちの返答でも後悔しそうなんですが」

「ふふ、今の答えが正解かもしれんな」


 人が悪い。


「――っと、これであらかた塗り終わったかな?」


 身体つきを観察していたせいか、気づけば恥ずかしさもどこかへ吹き飛んでいた。

 前方は自分で塗ることになっている。

 キュリエさんが自分の身体に液状の薬を塗り込んでいく。


「…………」


 なんだかちょっとだけ、エロチックな光景だと思ってしまった。

 煩悩を振り払いつつ俺も自分の身体に塗り込んでいく。


「この薬の白いのは、日光にあたると消えていくんだよな……?」


 薬は透明ではない。

 塗った直後はしばらくヌルヌルした白い粘液を浴びたみたいになってしまう。

 日光を浴びれば、一分もすれば透明になるらしいが。


「おぉ、本当だっ! けっこうすぐに色がなくなっていくんだなっ」


 キュリエさんが立て日よけの外に出ると、薬はあっという間に透明になった。


 その後は、俺がキュリエさんに薬を塗ってもらった。

 最初はいきなり腰に乗ってきたので……すぐ横へどいてもらった。


「む? 私が重いのか?」

「俺の気が重いんです……」

「?」


 セシリーさんはマキナさんに薬を塗ってもらっている間、ぶぅー、といった顔でずっとこっちを眺めていた。


「セシリー、あなたってけっこう引きずる性格?」

「はい、クロヒコ関係だけは」

「ふふ、はっきり言うのね」

「はっきり言わないと彼、気づいてくれませんからねー……」

「鈍くたっていいじゃないの。鋭すぎて嫉妬深いとかに比べたら、何倍も上等でしょ?」

「それは、そうですけど……」


 アイラさんとレイ先輩はきゃいきゃいと談笑しながら塗り合っている。

 あの二人は本当に仲がいい。


「さて、準備は万全だね!」


 そうして、準備が整った。

 アイラさんが元気よく腕を振り上げる。


「よしっ! ではいきますかー!」





 ところで、なのだが。


 海に来て遊ぶというのがいまいち俺にはわからない。

 漫画なんかだとよく互いに水をかけ合ったりするシーンがある。

 あれをすればいいのだろうか?

 異世界でも通用するのかは、わからないが――


「えいっ」


 バシャッ!


「うぷっ!? クロヒコ、いきなり何をするんだ!?」


 キュリエさんがびっくりしていた。


「す、すみません」


 そうなりますか。


「いざ海に入ったはいいけど、何をしたらいいのかわからないって顔ね」


 すいー、と浮き袋に掴まりながら近寄ってきたのは、マキナさん。 

 浮き袋は、浮き輪よりビート板に近いだろうか。


「ああいうのも、遊びの一つよ。ほら」


 ぴっ、とマキナさんが指差した先では、セシリーさんがシンクロナイズドスイミングみたいな動きをしていた。


「あれが《こっち》で言う水遊よ。海に棲む生き物の美しい動きを想像しながら泳いだり、ああして水の中で踊っているような動きをすることを、こっちでは水遊と呼ぶの」


 そうか。

 異世界にはビーチバレーやビーチフラッグ、スイカ割りの文化はないわけか。

 浜辺のアイラさんを見る限り、砂で何かを模す遊びはあるみたいだが。

 あれは……ルノウスレッド城だろうか?


「ん? マキナさん、その手に持っているのは?」


 彼女の小さな手には、鳥を連想させる白い何かが握られていた。


「これは、水遊鳥よ」

「すいゆうちょう?」

「ああやって遊ぶものよ。ほら、あそこを見てごらんなさい?」


 浜辺でワイワイ騒いでいるグループを指差すマキナさん。

 空を飛び回りつつゆっくり落下していく白い水遊鳥を、数人の男女が楽しそうに追いかけ回していた。

 落下してきたかと思うと、また宙へ舞い上がったりしている。

 動きもなかなかアクロバティックだ。


「つまり――あれをみんなで追っかけて、捕まえる遊び?」

「ええ。これは聖素を流し込むと一定時間、動き回るの。弓の使い手が動く獲物を仕留める訓練にも使ったりもするわ」


 激しい水音を立てて近づいてくる者が、もう一人。


「というわけで、水遊鳥を使って景品つきのお遊戯をしようか!」


 意気揚々とそう提案したのは、レイ先輩だった。





 白砂の浜辺に並び立つ美少女たちが、衆目を集めていた。


 横一列に並んでいるのは、四人。

 おさげの金髪少女――レイ・シトノスが四人の前で、水遊鳥を掲げた。


「この水遊鳥はさっき学園長が持っていたのじゃなくて、ボクが独自に入手した特別な水遊鳥なんだ!」


 四人へ順々に視線を飛ばすレイ先輩。


「ところで、ここで一つ。今夜の部屋分けなんだけど……二人部屋が、三部屋だよね? つまりこの中の誰か一人は、クロヒコと同じ部屋に泊まらざるをえないわけだ?」


 泊まらざるをえないって、なんか罰ゲームみたいにも聞こえるんですが。

 キュリエさんが、挙手。


「私は寝具を使わずどこかの部屋の床で寝てもかまわんぞ? 地べたで寝るのにも慣れているからな」

「今回のこの件に限ってボクは、誰のわがままも許さないよ!」

「わ、わがまま……」


 わがまま認定され、キュリエさんがげっそりしてしまった。


「もしどうしても床で寝るってんなら……代わりにキュリエには、王都に着くまでずっとその水遊着でいてもらうよ!」

「そ、それは困る! 非常に、困る!」

「決まりだね!」


 ぐっ、と親指を立てるレイ先輩。


「今ので、他の女性陣にも大体わかっていただけましたかな!?」


 水遊鳥が淡く発光。

 レイ先輩が聖素を送り込んでいるのだ。


「そう! 見事この水遊鳥を捕まえた人には、今夜、クロヒコと同じ部屋に泊まる権利を与えます! あ、ちなみにボクは余った人と一緒の部屋に入るからね?」


 女性陣の顔つきが、四者四様に変わった。


 やれやれ顔のキュリエさん。

 青い炎を静かに燃えたぎらせるセシリーさん。

 むむむむむむ〜、と迷い顔のマキナさん。

 面白そうだし頑張るぞっ、と気合いを入れるアイラさん。


「それと! クロヒコと同室者の間に夜から朝にかけて何か過ちが起こっても、当方は一切関与いたしません! ね、クロヒコ?」

「は、はぁ……」


 この提案を切り出す直前、実はレイ先輩から脅しという名の注意を受けていた。


『みんなが楽しく盛り上がるためだから、クロヒコも協力してね!? 非協力的だったら……今度クロヒコが家で湯浴みしてる時、ボクが裸で突入しちゃうからね!』


 後半の脅し部分の実行は本当に心から困る。

 しかもレイ先輩だと、実際にやりそうなのだ。

 いや、やる。

 なので、今回は協力せざるを得ない。


「それから、水遊鳥を破壊してしまった場合は強制的にボクがクロヒコと同部屋になるからね! もしそうなったら、朝までイイコトしちゃうよっ!?」


 パチリッ、とレイ先輩がウインクを飛ばしてきた。

 普通に可愛いのが、逆に反応に困ります。


「それと、水遊鳥を捕まえてから三つ数えるまでは捕まえたと認めないからね! では、早速――」


 レイ先輩が、射出姿勢に入る。


「開始ーっ!」


 青白い光を放つ水遊鳥が、レイ先輩の手を離れた。

 水遊鳥は砂上に真っ直ぐの軌跡を描きながら、軽快に滑り出す。

 けっこうなスピードだ。


「きゃっ!?」


 いざ駆け出そうとしたマキナさんが、空回り気味に足を滑らせ、前のめりにずっこけた。

 そう――砂浜は足場が悪い。

 普段通りの速度では走れない。

 おぉっ、とどよめきが広がった。

 現在水遊鳥に最も迫っているのは――キュリエさん。


「このくらいの悪い足場、あの頃にもたくさんあったからなっ。足場の悪さは、私にはそう関係がない!」


 あの頃とは、つまりは終末郷時代のことだろう。

 雪国に住んでいる人が、雪道に慣れているみたいなものか。

 キュリエさんがぐんぐん水遊鳥に迫る。


「ここで私だけ勝負から降りるのも、空気が悪かろう。だから――さっさと、終わらせる!」


 さすがの運動神経でキュリエさんがターゲットの捕獲にかかる。


「む!?」


 が、水遊鳥は素早い動きで捕獲を回避する。

 そして、低空飛行から一気に空高く飛翔。


「ふむ……動物の動きとも微妙に違う、か。多少の規則性はあるようだが……あれを捕えるのは、ひと苦労しそうだな」


 再び水遊鳥が落下してきた。

 落下地点目指し、今度はセシリーさんが駆ける。


「水遊鳥は時間が経つにつれ聖素を消費し、動きが鈍ってきます。おそらく、さっきの飛翔で一気に消耗したのでしょう……あの落ち方は弱ってきている動きです――よし、捕まえました!」


 が、空振り。

 水遊鳥は再び、高度を上げた。


「よ、弱ったフリ!? ななな、なんて嫌な性格の水遊鳥なんでしょうかーっ! もぉーっ!」


 むきぃーっ、とセシリーさんが地団駄を踏む。

 顔を真っ赤にして地団駄を踏む姿ですら可憐さを放っているのは、さすがだ。


「わわわわっ!? き、急にこっち来たっ!?」


 水遊鳥が、アイラさんに急接近。

 アイラさんはなぜかびっくりして逃げようとしたが、すぐに、砂をまき散らしながら急停止。 


「はっ!? そ、そうだった! 捕まえるんだった! えいっ!」


 が、捕獲失敗。

 一筋縄ではいかぬ相手らしい。


「あ、言い忘れてた! 度が過ぎなければ、他の子への妨害もアリだからねー!?」


 レイ先輩が呼びかける。

 しかし、互いに妨害を仕掛ける様子はない。

 ふむ、フェアプレイの精神ってやつか。

 その時、踏ん張るに足る固さを持った地面を蹴って、キュリエさんがターゲット目がけて跳躍した。

 

「よし、今だ!」


 突然の突風によって、水遊鳥が風に流された。


「な、なんだ!? 急に、不自然な風が……!?」


 マキナさんが手を前に突き出し、どや顔で立っていた。


「勝つためなら、私は手段を選ばないわ」


 威力を抑えた風の術式で、妨害を働いたらしい。


「身体能力では敵わないからね。風系統の術式で、このまま私の方へ誘導――って、えっ?」


 水遊鳥の俊敏さが、急に増した。

 レイ先輩が説明する。


「あれは術式の聖素をいくらか吸収する特製の水遊鳥なのさ! しかも吸収して聖素が多くなると、性能もぐんと向上するんだ! あ、でも一定量を超えると壊れちゃうからそこは注意してね?」


 遊びじゃないレベルと化した水遊鳥が縦横無尽に飛び回る。


 きゃいきゃいぎゃあぎゃあ声を出しながら、女子陣は気まぐれな模造鳥を追い続ける。

 ギャラリーはその華やかな光景を目の保養として楽しんでいるようだ。

 日差しを浴びて艶やかな髪はキラキラと輝き、健康的な美しい肢体が激しく動き回る。

 一部の女子のあの胸の揺れは、俺を含む男性陣にはいささか刺激的すぎる気もするけど……。


「いやぁ、さすがは我が学園の誇る美少女勢だね! 浜辺の視線を集めまくってるね! ごくごく……っ」


 プリメ水の入った小杯を手にしたレイ先輩が、隣で言った。


「けどあの水遊鳥、遊戯目的にしてはちょっと性能高すぎません?」

「まー訓練にもなるし、いーんじゃないかな?」

「あー、なるほど……言われてみれば」


 砂浜は足場が悪いため、どうしても普段より動きは鈍くなる。

 だけどその分、足腰が鍛えられる。

 バランス感覚も適度に養われそうだ。


「他の人にぶつからないように気をつけながら追いかけるのも、察知や反応の能力向上にはいいと思うな」


 現在は、キュリエさんとアイラさんが、ぷかぷかと水面に浮かぶ水遊鳥を目指して泳いでいた。

 水遊鳥に表情はないのだが、どこかあざ笑っているような憎らしさも感じられる。


「普段使わない筋肉を使うから、水泳も悪くないだろうね! キュリエだってキミと訓練を続けるんだし、身体を鍛えるのは意味があるだろ?」

「何気に、色々と考えているんですね」

「聖武祭も近いしね」



 レイ先輩なりに考えあっての遊戯のようだ。

 ……上手くごまかされた気もするが。

 すると、ぜぇぜぇ息をしながら、今の話を聞いていたらしい学園長がふらふら近寄って来た。


「今の話……私、関係なくない?」

「え? あー、ほら……学園長は……ほら、ええっと……運動不足解消?」

「今あなた無理矢理捻り出したでしょ!?」

「あはは、まいったなぁ――って、うわぁ!? 危ない、クロヒコ!」

「ん?」


 レイ先輩のひと言で、俺は前方へ向き直る。


「――ぉぶっ!?」


 最後に目にした映像は、誰かの胸元だった気がする。

 衝撃が来て、ドサッ、と仰向けに倒れ込む。


「ん、むっ……」

「…………」

「…………あっ!」

「……ん?」


 目を開けると、口元を両手で覆ったセシリーさんが、馬乗りになっていた。


「セシリー、さん?」

「あ……す、すみません……クロヒコ……」

「あ、いえ……」


 こんな近距離で改めてセシリーさんの水遊着姿を見たら、やっぱりドキドキしてしまった。

 しかし……滑らかで軟らかい感触の他に、何か唇に触れた気がするんだけど――


「す、水遊鳥は――ど、どこかなーっ!? あれーっ!?」


 慌てた様子のセシリーさんが、再び、飛び立った水遊鳥を追いかけ出した。

 顔が妙に赤かったけど……まあ、この日差しと気温だしな。


「ん? 二人とも、どうしたんですか?」


 レイ先輩とマキナさんの視線に、独特の含みがあった。


「本人は気づいてないみたいだし……黙っておきましょうか、学園長」

「そ、そうね……今のは、事故みたいなものでしょう。さて――妨害しまくるわよ!」


 それもどうなんでしょうか、マキナさん……。




 さて、この浜辺で行われた捕獲大会の結果だが――


 勝者は、アイラさんだった。


 経緯はこんな感じである。

 皆あと一歩のところまで行くのだが、なかなか捕まえられない。

 そして、中でも一番エネルギッシュに動き回っていたアイラさんが、ついにスタミナ切れでへたり込んでしまう。

 そこへちょうど聖素が切れ始めた水遊鳥が、ふらふら〜と低空飛行でやって来た。

 最後の力を振り絞ったか、素早く突き出した手が、見事水遊鳥をキャッチ。

 三秒間、アイラさんは水遊鳥をしっかり放さなかった。


「あはは……でもこれ、アタシでよかったのかなぁ?」


 やや棚ぼた的な勝利に、アイラさんは気が引けているようだった。


「とはいえ、勝負は時の運とも言いますしね。運も実力のうちですよ」

「クロヒコの言う通りだよ、アイラ。おめでとう! クロヒコの今夜の同室は、アイラで決まりだね!」


 照れくさそうに、眉尻を下げてアイラさんが微笑む。


「疲れたから、アタシすぐ寝ちゃいそうだけど……今日はよろしくね、クロヒコ?」

「ええ。俺の方こそ」


 一方、他の女子三人は敷き物の上でプリメ水を飲んでいた。


「ごくごく……ふぅ……運動の後のプリメ水は実に美味い……うむ、たまにはこういうのも悪くないな」

「はぁ、残念でした……こくこく……でも、まあ……今回は、思わぬ幸運がわたしにもありましたしねー……ふふ……」

「い、威力抑え目とはいえ……術式の乱発は、さすがに疲れたわね……こきゅこきゅ……ふぅ……」


 負けた結果よりも、やり遂げた女たちの顔になっていた。

 苦笑しながら、俺は立ち上がる。


「敷き物とかの片づけはやっておきますから、みんなは先に戻って休んでいてください。プリメ水の小杯なんかも、俺が返しておきます」


 レイ先輩が、ぽんっ、と俺の背中を景気よく叩いた。


「さすがクロヒコっ、イイ男だねぇ! おねえさんは、とっても感心――」

「何言ってんですか。レイ先輩と俺の二人でやるんですよ」

「えっ!? ボクもっ!?」


 こうして、二人で撤収作業をした。




 次話で「くんれんがっしゅく!」は終わりとなります。

 おつき合いくださりありがとうございました。

 おそらく長期のExはこの「くんれんがっしゅく!」が最後になると思います。


 ちなみに、ジャンルのつけ方(?)が実は未だによくわかっていません……。

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