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聖樹の国の禁呪使い  作者: 篠崎芳
聖樹の国の禁呪使い えくすとらっ!
172/284

Ex10.「くんれんがっしゅく!(2)」


 学園長室のドアをノックする。


「クロヒコです。今大丈夫ですか?」

「あら、クロヒコ? ええ、どうぞ」


 ドアを開けて中に入ると、マキナさんが書類とにらめっこをしていた。

 マキナさんが書類を机に置く。


「どうしたの? 明日は前期試験だけど、そっちの方の準備は大丈夫なの?」

「筆記はセシリーさんから個人指導を受けたので、なんとかなりそうです」


 実は先日貴重な時間を割いてもらい、成績優秀なセシリーさんに家庭教師をしてもらった。

 戦闘授業の実技試験はともかく、まだ俺はこちらの世界の知識が乏しい部分もあり、筆記試験の方にはまだ不安があった。

 そこで勉強を進めながら、試験に出そうな場所と、コツみたいなものを教えてもらった。

 ある意味集中力に欠ける時間ではあったものの、それでも最終的にはセシリーさんのおかげで筆記試験対策を無事済ませることができた。

 また、宙ぶらりんになっていた聖素が扱えない俺の術式実技試験は、この学園関係の有力な貴族出身の術式使いや学者たちに禁呪を披露するという内容で代替されるらしい。

 目的は学術的な研究のためだし、当日の現場にはマキナさんやクラリスさんも居合わせるそうだから、特に警戒する心配もなさそうだ。


「セシリーにね……あの子は特に成績優秀だものね。でも……くすっ、大丈夫? あの子が《個人教官》で、ちゃんと集中できたの?」


 マキナさんの視線には、からかいの色。


「えー……正直けっこう大変な個人授業でした」


 人には多くを語りたくない過去というものがある。

 セシリーさんはやはり自覚と無自覚の混在した、恐ろしい天使系小悪魔なのだと思い知った。

 いずれ語る機会も――ないと信じたい。

 マキナさんが背もたれに体重をあずけて「で……」と切り出す。


「あなたが呼び出し以外で学園長室を訪ねてくるってことは、何か相談事かしら?」


 食事や他愛ない雑談、愚痴の発散の場合だとマキナさんが俺の家を訪ねてくるパターンが多い。

 逆に俺が学園長室を訪ねるケースだと、何か相談事を持ちかけるパターン多かった。

 俺は早速イオワ養地に行く件と、マキナさんをそれに誘いたい旨を伝えてみた。


「へぇ? 今の時期によくあそこの空き部屋を取れたわね。ずっと前から計画していたわけじゃないんでしょ?」


 生徒会長の計らいで特別に部屋を空けてもらった話をすると、


「ふぅん……聖武祭で満点評価を与える件といい、ドリストスはあなたに好意的なのかしらね? 特に今聞いた親族が泊まる部屋を都合してもらったというのは、簡単な話ではないでしょうに。ま、あなたはいつも意外な相手から好意的な反応を引き出すからね。あのヒビガミを筆頭に」

「ドリストス会長には改めてちゃんとお礼を言うつもりです。それで……マキナさんは行けそうですか?」

「ん……どうかしらね」


 机上の書類に視線を注ぐマキナさん。

 口元をへの字にして、むむむぅ、と口の端を引き攣らせている。


「最近は聖武祭関係の大分仕事が落ち着いて少し余裕が出来たのだけど、その間に溜まった別件の書類作業がね……その日程だと、そうね……ちょうどイオワ養地行きの最終日に作業が終わる感じかしら」

「その、俺が手伝うとかって……できませんか?」


 苦笑するマキナさん。


「ありがたい申し出だけど、これはクロヒコが一朝一夕でやれるたぐいの作業ではないわね。把握しておく膨大な背景情報が必要になるから」

「そう、ですか……」


 聖武祭と普段の仕事が重なっている中、やはりマキナさんの泊まりは厳しいか……。

 その時、ノックの音がした。


「ミアです」

「ミア? ええ、入っていいわよ?」


 ドアが開き、メイド服姿のミアさんがお辞儀をした。


「失礼いたします」


 ミアさんが部屋の中に入ってきて、俺の隣に立つ。


「イオワ養地の件ですが……せっかくですから、行ってこられてはいかがでしょうか?」

「今の話を聞いていたの、ミア?」

「申し訳ございません。失礼とは思いながら、聞かせていただきました。その……マキナ様がお断りするのではないかと、そう危惧しまして」


 誰かが扉の前にいるのは察知していたけど、ミアさんだったのか。

 ふぅ、とマキナさんが息をついた。


「だったら聞いた通りよ。この話は断らざるをえないわ。何より私の抱えている仕事の量は、他でもないミアが一番把握しているでしょう?」

「はい。ですからわたくしが代替わりできる範囲の仕事がどの程度かも、一番把握しております」


 マキナさんの表情に変化が差す。


「ミア、あなた……」

「さすがはマキナ様でございます。はい。マキナ様がイオワ養地に滞在なさっている間、僭越ながら、わたくしでもできるお仕事を一部引き受けさせてはいただけないでしょうか? そうすれば、マキナ様もイオワ養地に行くのが可能になるのではありませんか?」

「でもそれだと、ミアさんの――」


 ミアさんの負担について俺が指摘しかけると、いち早く何かを察したらしいミアさんがウインクしてきて、大丈夫です、と出かかった俺の言葉を押しとどめた。

 ミアさんが足を揃え、マキナさんに一礼する。


「身の回りの世話だけではなく、使える主の精神状態を慮るのも侍女の務め……わたくしは、そう教わりました。ですのでマキナ様にこの申し出を断られてしまうと、わたくしにはマキナ様の侍女たる資格はなかった――そう判断せざるをえなくなります」

「ミア……」

「ですのでどうぞ――」


 ミアさんは顔を上げると、にっこりと微笑んだ。


「いってらっしゃいませ、マキナ様」





 ミアさんが気を利かせてくれたおかげで、マキナさんのイオワ養地行きが決定した。

 しかし、先んじて断りの言葉を封じたミアさんの畳みかけは見事のひと言だった。

 マキナさんの性格を熟知しているからこその、あの機転だったのだろう。

 ミアさんは普段ほんわかしているけど、家事や仕事でミスらしいミスもしないし、多岐に渡り何気に優秀な人なのである。

 少なくとも、マキナさんの仕事の一部を代わりに引き受けられるくらいにはできる人なのだ。


 ちなみに参加こそ決まりはしたが、マキナさんは二日目からの参加だ。

 さすがに二泊三日は難しいとのことだった。

 それでも、マキナさんが来てくれるだけで俺は十分だ。

 もちろん今回のイオワ養地息がマキナさんが心のリフレッシュになるのが、一番大事だけど。





 翌日の、前期試験日の朝。

 獅子組の教室でイオワ養地行き最後の一人がマキナさんに決まったと伝えると、キュリエさん、セシリーさん、アイラさんの三人は歓迎の意を示してくれた。

 レイ先輩には試験後に伝える予定だが、あの人も歓迎してくれるはずだ。


 そして……今回のマキナさんのイオワ養地行きを実現させた最大の功労者は、やはりミアさんだろう。

 ……イオワ養地から帰ってきたら、何かお礼をしないといけないな。





 こうして、前期試験は無事に終了。


 今は教室でも廊下でも、皆、鎖から解放されたかのような晴れ晴れとした表情をしている。

 どうやらこっちの世界でも試験は気が重いイベントのようだ。

 試験が受けられる立場ってだけでも、本当はありがたいことなのかもしれないけど……。


「お聞きしたいことが、あるのですが――」

「はい? あ、セシリーさん」


 存在しない眼鏡の蔓を押し上げる仕草をしつつ俺の肩に手を置いたのは、セシリーさんだった。


「こたびの筆記試験……わたしの個人授業の成果はどうでしたか、サガラくん?」


 ついにセシリー・アークライトは、限定的な《くん》付けを習得したのであった。


「ええ、セシリー教官のおかげでばっちりですよ」


 セシリーさんが「ふぅ〜ん?」と俺の顔をねちっこく観察してくる。


「……セシリーせんせ、でしょ?」


 セシリーさんが、くすっ、と形の良い桜色の唇を曲げる。


「うっ……」


 勢いに任せてつまらない知識を植え付けてしまったことを、本当にすまないと思っている……主に、アークライト家の人々に。

 そして俺は、自分の顔がみるみる発熱していく現象を止める術を持っていなかった。


「あはははははっ!」


 突然堪え切れなくなったとばかりに笑い声を上げながら、ぺしぺしぺしぺしっ、と俺の肩甲骨を軽快に叩きまくるセシリーさん。


「クロヒコったら、真っ赤になっちゃって! すみません、ちょっとやり過ぎましたかね?」

「……ひどいですよ、セシリーさん」

「何を言うんですか! ひどいのは、元はといえばクロヒコの方なんですからね!? せっかくわたしが真面目に勉強を見てあげようとしたのに、ぜーんぜん集中できなくて……そしたら、なぜか急に怒り出す始末……しかもその場の勢いなのかなんなのか、いきなり憧れの性癖まで暴露されて……くすんっ、ですよ」


 セシリーさんが目下に手を添え、およよよ、としおらしいポーズをした。


「…………」


 イオワ養地行きメンバー以外の生徒が教室からいなくなった瞬間を見計らってギアチェンジしてくるあたり、さすがによく心得ている。


「だ、だからすみませんってば! ていうかあれは、ろ、露骨な服を着てきたセシリーさんだって悪いでしょ……?」


 さっきの言い方だと、微妙に恣意的な事実改変も行われてるし。


「うわっ! わたしのせいにするんですかっ!? なるほど、こ、これが最高の邪悪なんですね……っ! わたしもようやく、理解しました」


 ふむ。

 架空の眼鏡の蔓をくいっくい押し上げながらキメ顔で『わたしもようやく、理解しました』とか、小ネタを織り交ぜる余裕はある……と。

 しかも《魔王》のサガラ・クロヒコ評がさらっといつの間にか反撃材料に組み込まれている……そういやこの人、過去にもヒビガミの言葉をなぞったりしてたっけ……。


 傍目には口喧嘩みたいに映るかもしれないけど、まあ、これはお互いわかった上でやっている部分もある。

 この阿吽の呼吸が、セシリーさんの美点の一つだろう。


「クロヒコの候補から外れて、もう本当にキュリエの候補になっちゃいましょうか……?」


 阿吽の呼吸の上でのやり取り……ですよね?

 若干不安になる俺であった。

 聖武祭の優勝を目指すパートナー同士になってから、二人の仲はさらなる加速を見せていた。

 百合の花が咲き誇る秘密の花園パート2、なのだろうか……。


「な、仲良くしないと駄目だよ! もうすぐせっかくみんなでイオワに行くんだからさ! ね? せ、セシリーも少しおかしいよ?」


 本気で心配した様子のアイラさんが割って入ってきた。

 セシリーさんが苦笑を返す。


「ほ、本気で喧嘩しているわけではありませんから大丈夫ですよ? ふふ、安心してください」

「……そうなの?」

「もちろんです。ですよね、クロヒコ?」

「ええ、もちろん俺は冗談のつもりでした。本気で怒ってたのは、セシリーさんだけで――」

「クロヒコ!? ここで裏切るんですか!?」

「冗談ですって」

「もぅ! もぉもぉもぉ〜っ!」

「……牛の物真似?」

「…………」

「…………」

「なわけあるかぁっ!」


 俺は声を潜めた。


「セシリーさん、水面上に出てきちゃってますよ……」


 挫いた場所がまた挫きやすくなるみたいに、だんだんセシリーさんも地が出やすくなってしまっているのかもしれないな……。


「うぅ〜……あなたのせいでしょっ?」


 ちょっぴりセシリーさんは涙目になっていた。


「す、すみません……少し反省しました」

「なんであなたはわたしにだけそうやっていっつも意地悪するんですかぁ〜っ? もぉもぉもぉ!」


 ポッポコポッポコげんこつを叩きつけてくるセシリーさんをいなしながら、苦笑する。


「セシリーさんって、なんか小規模な意地悪をしたくなることが多くて……いつも、悪いかなぁとは思ってるんですけどね?」

「なんですか、それ〜っ!?」

「そういう反応が可愛らしいので、つい」


 弱々げんこつラッシュが、ぴたっと停止。


「ふふっ、ならばよしですっ」


 一転、満足げなセシリーさんであった。


「…………」


 巧みな誘導によって、さっきの一言を引き出された気もするな……。

 アイラさんが胸を撫で下ろす。


「なんだぁ、本気で喧嘩してたわけじゃなかったんだね……良かったぁ。あはは……恥ずかしながら、アタシ、実はすっごく今回のイオワ行きが楽しみでさ。やっぱり……みんな仲良く、楽しくいきたいよねっ!」

「いらぬ心配をかけて本当にすみませんアイラ…………主にクロヒコが」

「セシリーさん!? ここで裏切るんですか!?」


 ずっと黙って席に座っていたキュリエさんが「おまえらを見てると飽きないよ……」と、一人呆れ顔で呟いた。





 前期試験の評価はすぐには出ない。

 イオワ養地――イオワから帰ってきても、しばらくは各評価点が出揃うのを待つ状態だ。

 俺の禁呪のお披露目もまだ行われておらず、こちらはイオワから戻ってから行われる予定。

 試験が終わって羽を伸ばすという意味でも、今回のイオワ行きは正解だった――と、思っていたのだが、


「アイラさんが体調を崩した……?」

「うん、せっかく天気の方は旅行日和になったんだけどねぇ……」


 前期の締め式の翌日――つまり、イオワ養地へ出発する日。

 待ち合わせ場所の大時計塔(修復中)広場前で、アイラさんの体調が思わしくないとレイ先輩から告げられた。


「イオワに行ったらたっぷり休むから、当日まではいつもと同じ量の鍛錬をやるって聞かなくてさ……当日になって疲れが一気に出た感じかな……? でも、疲労が原因だから、休めば明日には合流できると思うよ」


 レイ先輩が眉尻を下げる。


「体調を崩すに至った最後のとどめは、やっぱり楽しみすぎて最近眠りが浅かったらしいのが原因かなぁ……」


 自分にも心当たりがあり、苦笑してしまう。


「……だとすると、下手に窘めるわけにもいきませんね」


 俺は今、聖武祭が終わるまでのアイラさんの稽古相手を引き受けているのだが、試験前は稽古を休みにしていた。

 いつも頑張りすぎてしまうアイラさんには、訓練のしすぎには気をつけて欲しいと普段から声をかけていた。

 だけど……旅行が楽しみすぎて眠れない日々が続いたのが原因となると、これは窘めるのは難しいだろう。

 期待に胸を膨らませる感情は、おさえるのが難しいものだ。


 ただ体調不良は治癒術式でも治せない。

 だから今は身体を休めてもらうのが先決だろう。

 それに、まだ明日合流できる可能性もあるようだ。

 だから、イオワ養地にアイラさんが来られなくなったと決まったわけではない。


「わかりました。それで……アイラさんの件を伝えるのを出発の直前にしたのは、意図的にですか?」

「あはは、さすがこういうところは鋭いよね。うん。早めに伝えちゃうと、クロヒコたちだと気を遣って様子を見に来たり、場合によっては出発を一日ずらしたりしそうだから、あえて準備が終わった後に伝えて欲しいって、アイラからそう頼まれたんだ」

「……そうですか」


 そういう気遣いはアイラさんらしい。


「アイラはさ、自分のせいで楽しいイオワ行きに水を差したくないんだよ。だからまずは何も気にせず三人で楽しんでもらえた方が、アイラもボクも嬉しいかな」


 感じからそんな気はしていたが、やはりレイ先輩も残るつもりのようだ。


「どうせ明日には合流するんだし、クロヒコたちは三人でひと足先に楽しんできなよ。ね?」

「そういうことなら……でも、もし体調が問題なさそうだったら、明日は絶対に来てくださいよ? 約束ですからね?」

「うん、わかってるって! それにさ、明日発つおかげでルノウスフィア家の豪華な馬車に相乗りできるんだから、悪いことばかりじゃないよねっ」


 さすがレイ先輩。

 マキナさんにはすでに話を通してあるみたいだ。

 黙って話を聞いていたキュリエさんが、口を開いた。


「残念ではあるが……事情が事情なだけに、仕方がないか。無理に連れて行って、途中で悪化してもまずいしな」


 セシリーさんが続く。


「そうですね……場の空気をいつも柔らかくしてくれるアイラと一緒に行けないのは残念ですが……こればかりは、仕方ありませんね」

「お嬢様、そろそろお時間でございます」


 馬車の御者台から、懐中時計を手にしたバントンさんがそう呼びかけた。

 イオワまでは、アークライト家の馬車で行くことになっている。


「わかりました、バントン。では、レイ……また明日、お会いしましょう。アイラにも、イオワで会えるのを楽しみにしていると伝えてください」

「だが同時に無理は禁物だと伝えておいてくれ。アイラには聖武祭もあるからな。まあ……」


 キュリエさんが、フン、と鼻を鳴らす。


「もちろんアイラが来てくれたなら、私は嬉しいがな」


 レイ先輩が微笑む。


「わかった。ボクが責任をもって伝えておくよ。じゃあクロヒコ、セシリー、キュリエ、また明日っ」

「アイラさんには、気負いすぎないようにと伝えてください。それと、もし今回無理そうなら……改めて、俺が責任もってイオワにアイラさんを連れて行きますから、と」

「あはは、言うねぇクロヒコっ。うん、それも伝えておくよ。じゃあ、みんなも気をつけてねっ」


 レイ先輩の後ろ姿が見えなくなると、俺たちはアイラさんの体調の心配を口にしながら、荷物を馬車に運び込んだ。


「…………」


 ――眠りが浅い、か。


 実を言うと、俺も最近は眠りが浅かった。

 イオワ行きへの高揚感もないではなかったが、もっと別な精神的原因が大きかった。

 なかなか新技の《双龍》が形にならず、さすがに焦りが出てき始めていたのだ。

 また、就寝前に繰り返しているヒビガミとの戦いのシミュレートも、何回やっても勝てそうにない。

 これが俺の焦りを加速させていた。

 おかげで最近はそれなりに気が詰まり始めていた。

 睡眠不足の危険は俺も良く知っている。


 だが、今日は大丈夫。


 ある対策のおかげで、昨夜は久々にぐっすり眠ることができた。

 なぜなら昨日の夜は、シャナトリス・トゥーエルフが王都に滞在していた頃に彼女から貰った睡眠薬を飲んだからである。


『何もかもを忘れて安らぎの眠りに就きたくなった時は、この薬を飲むと良い。ただし本当に必要な時を選ぶのじゃぞ? 実はその薬は――お、おぉ!? なんじゃあれは!? 見たかクロヒコ!? 見たことのない鳥が今、窓の外を――』


 説明は途中までだったけど、まあ、睡眠薬で間違いないだろう。

 もし副作用があっても、以前のマキナさんみたいに少し背が高くなる程度なら問題ないし。


 多少の予定変更はあったけど、アイラさんとレイ先輩、マキナさんも明日には合流できそうだ。


 うん――


 シーラス浴場に続き、イオワ養地での訓練合宿も楽しくなりそうだ。






 忙しい時期があり更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした……。


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