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4話 徐福、あしらう






―――――――――――――――





今日も元気に………かはどうかはさておくとして、馬の世話をする日陰。


そしてそれを遠くから見る影が2つ。


「あれが恋のお気にちゅう男かいな」


「あぁ、詠が言っていたから間違いない」


董卓軍の将、張遼と華雄だ。


「へぇ、なんやただの平凡な男やな」


「いや、あの呂布が気に入るのだぞ?ただの男なわけがあるまい」


「じゃあ、華雄にはあの馬の世話しとる男が凄腕の武人に見えるちゅうんか?」


「いや、それは、見えぬが……」


「まぁ、ええか。直接聞けば分かるこっちゃ」


「そうだな。いつもでもここにいても意味は無いな」


二人は日陰へと近づいていく。








「なぁ、兄ちゃん。ちょっとええか?」


「はい?」


日陰が振り返る。


「兄ちゃんが新しくきた厩の世話役やんな?」


「はい。徐福と言います」


「ウチは張遼や。そんでこっちのが……」


「華雄だ」


「えぇと、張遼さんに華雄さんですね」


と華雄と張遼の順に指す。


「ちゃうちゃう、ウチが張遼や。兄ちゃん、人の話聞いとるんか?」


「あい、すみません。僕は人の顔覚えるの苦手でして………」


「それは苦手どうこうの問題ではない気がするのだが………」


「そうですかね、“張遼”さん?」


「だから私は華雄だ!?何故、こんな近くて間違えられるのだ、貴様は!?わざとなのか?」


「まぁまぁ、そう怒んなや、華雄。それにしても中々おもろいな、自分」


「はぁ……」


日陰にしてみれば真面目にやっているのだが、まぁ仕方のないことだと諦めている部分もあったりする。


「なぁ、自分は何で厩の世話役なんかしとるんや?」


「何故と問われても、何故かとしか答えられませんが………」


あえて言うなら成り行きだろうか。


「なぁ自分、武術とかやっとらんのか?」


「武術ですか?……護身程度ですね」


「ならば私と勝負しろ!」


待ってましたとばかりに華雄が食いつく。


「えぇ。でもまだ仕事がありますのでその後でよろしいですか?」


「うっ。確かにそうだな。よし、待とう」


と華雄はドカッと座る。


「それでは早く仕事を終わらせましょう」


日陰は言葉ではそう言うものの、作業はいたってゆっくりと丁寧にこなしていく。


「………まだなのか?」


「もう少しです」


「………まだか?」


「もう少しです」


「………もいいいのではないか?」


「もう少しです」


「あぁ、焦れったい!貸せ、私も手伝うぞ」


「それは助かります」


そうして日陰と華雄は馬の世話をし始める。


「ふぁ~、ウチは帰るでー」


暇になったのか張遼は帰っていった。










「なんや、自分らまだやっとるんか?」


張遼が様子を見に戻ってくるとまだ馬の世話をしている二人が居た。


「おぉ、張遼。たまには馬の世話もいいものだな」


爽やかな笑顔を向ける華雄。


「そうかいな。そりゃよかったな」


そんな華雄を軽くあしらう張遼。


「華雄さん、今日は本当に助かりました」


「いや、なに、私もいい気分転換になった。気にするな」


「はい、では僕はこれで。失礼します」


と日陰は自室へ帰っていく。


「うん。中々の好感の持てる男だな、徐福は」


うんうんと腕を組み、頷く華雄。


「なぁ、華雄……」


「何だ?」


「勝負は良かったんか?」


「……………あ」







――――――ニヤリ。


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